今回は『HIV診療の「リアル」を伝授します』のご紹介です。

この本は医療の初学者、ベテラン、双方に有用な情報を発信するために企画された本です。

最大の特徴は長年多くのHIV感染症患者、エイズ患者に向き合ってきた専門医、看護師、薬剤師、MSWなど各方面の現場の知恵、知識が満載されていることです。

単なる学問上の教科書ではありません。

『HIV診療の「リアル」を伝授します』 丸善出版 2016年

協力 青木 眞

監修 福武勝幸・山元泰之

編集 天野景裕・村松崇・赤石雄

この専門書を素人の私たちが読むことにどんな意味があるのか?

それは本文にて。

 

◇本の目次

その1 序論

1.HIVの概念

2.HIVの疫学

3.HIVの検査・診断

その2 HIV感染症、診断のコツ

1.総合診療の視点から

2.皮膚科の視点から

その3 各症例から見つけるHIV

1.血球減少

2-1.消火器症状

2-2.肝炎

3.呼吸器症状

その4 日和見感染症のプライマリケア用マネジメント

1.PCP(ニューモシスチス肺炎)

2.サイトメガロウイルス感染症・カポジ肉腫

3.神経症状をともなうAIDS症例

その5 HIV感染症の告知方法

その6 HIVをめぐるコメディカルの関わり方

1.看護師

2.薬剤師

3.MSW

その7 HIV感染者の針刺し事故への対応

その8 ARTの考え方

その9 HIV治療開始後の長期合併症対策

その10 症例検討会

 

◇本の概要

この本は東京医科大学病院でHIV診療を行っている臨床検査学科で毎年行われている「基礎から学ぶHIV感染症セミナー」の内容を本にしたものです。

元々セミナーの目的が、「HIV感染症の日常診療で必要な様々な知識と知恵を学ぶこと。」です。

従って、本書も実用的な現場ですぐに役立つ情報、それも最新の情報が満載されています。

当サイトで何度も繰り返し述べてきたように、かつては致死的疾患であったHIV感染症は今では慢性疾患になりつつあります。

いや、すでに慢性疾患になったと言い切る専門医も多くいます。

そうした中で、いかに早期にHIV感染を見つけるか。患者の命を救うために最も必要なことはそれです。

HIV患者を見つける為の技術、知識はエイズ拠点病院に限らず町の中に多数存在するプライマリケアの現場でこそ必要とされているのです。

そうした必要性に応えるべく出版されたのが本書だと言えます。

 

◇おススメポイント

冒頭にも書いたように、本書はHIV医療、エイズ医療に携わる幅広い医療従事者を対象に書かれた本です。

素人の私たちを読者対象とはしていません。

しかし、私が本書を読んでみて大変参考になりました。それは、いかにして医師の立場からHIV感染を見つけるか、と言う観点が学べたからです。

それは裏を返せば現在はどこが抜け落ちてHIV感染を見過ごしているか、と言う情報に他なりません。

私たちは病院へ行ったら医師に全てを任せます。医師の指示通りに薬を飲んだり、治療に専念します。

でも、その信頼すべき医師が常に私たちを診察するときHIV感染を念頭に置いているとは限りません。

私たちが自分のことを「まさかHIVなんて・・・」と思っているように、医師もまた「まさかこの患者がHIVなんて・・・」と思っている可能性があるのです。

だからこそ、自分の身は自分守る必要があるのです。

HIV感染のリスクは医師よりあなた自身がより感じているケースもあるはずです。

いつ、誰と、どんな危険行為を行ったのか。それを知ってるのはあなただけなのですから。

 

◇管理人の満足度(あくまでも主観による独断と偏見の採点です)・・80点

やはり一番役に立ったと言うか、読んでよかったと思ったのはHIV感染症を見つけるための情報です。

医師は患者のどこに注目すればHIVを見逃さないか。それを知ることが出来ました。

この手の本は過去にも多く出版されており、私も何冊か読んできました。

しかし、今までにはない着目点もあって、驚いた記事も少なくありませんでした。

ただ、やはり医療従事者向きの本であり、読んでも理解できない難解な専門用語、記述が出てきます。

当たり前と言えば当たり前ですが、そこをもう少し易しく分かりやすく書いてくれたらいいのになと感じました。

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