「東京都エイズ通信」最新号から
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東京都福祉保健局健康安全部感染症対策課では、不定期で「東京都エイズ通信」と言うメールマガジンを発行しています。
6月28日付けで最新の32号が配信されているのですが、その本文の中に、とても興味深い記事がありました。皆さんにもご紹介したいと思います。
下のグラフを見てください。エイズ動向委員会から発表された、平成11年から平成21年までのHIV感染者とエイズ患者の件数です。(赤と青の棒グラフ)
どちらも、その年に新規に報告された件数です。そして、エイズ患者の件数とHIV感染者の件数は重複していません。つまり、HIVに感染していると分かっていた感染者がエイズを発症しても、それはエイズ患者の件数には含まれていないのです。
自分が感染していることに気付かず、発症してから病院で診察を受けて初めて感染していたことに気が付いたエイズ患者を意味します。いわゆる、「いきなりエイズ」と呼ばれる患者です。
さて、赤の折れ線グラフを見て下さい。このグラフは、HIV感染者とエイズ患者の合計件数に対する、エイズ患者の発生率を表しています。
発生率=(エイズ患者報告件数)÷(HIV感染者報告件数+エイズ患者報告件数)
「東京都エイズ通信」の記事で興味深いと思ったのは、このエイズ患者の発生率についての分析です。
グラフをご覧頂くと分かる通り、平成11年から平成20年まで、HIV感染者はほぼ毎年増加傾向にありました。また、エイズ患者も増加傾向にありました。ただ、エイズ患者発生率は年々減少傾向にありました。つまり、いきなりエイズは減少していたのです。
これは何を意味しているのでしょうか?
HIV感染を自ら知った人は、感染を他の人に広めてはいけないと、セーファーセックスを心がけるでしょう。また、坑HIV治療を受けるため、体内のHIV量は抑えられます。この2つの理由によって、自分が感染していることを知った感染者からは、他への感染は広がりにくくなると考えられます。
逆に、自分が感染していることを知らないHIV感染者は、セーファーセックスへの配慮が足りないかも知れません。また、体内ではHIVが増殖を続けるので、体液中のウイルス量は増えてより感染させる可能性が高くなります。
こう考えると、HIV感染者の多くが、自分は感染していると気が付けば、社会全体としてはHIV感染が広まりにくくなります。つまり、「いきなりエイズ」を減らすよう、感染者は自分の感染を知ることが重要と言う訳です。むろん、本人の治療開始からも早期に分かることは大事です。
さて、平成21年はHIV感染者、エイズ患者、ともに前年の20年よりも減少しました。しかし、エイズ患者発生率、「いきなりエイズ」発生率は上がっています。平成20年 27.7%⇒平成21年 29.4%
言うまでもなく、この数字は自分がHIVに感染していることを知らない感染者の割合が増えていることを意味します。それは社会全体で見れば、HIV感染が広まっていると見てとれます。
平成21年にHIV感染者の報告件数が減ったのは、保健所で行っているHIVの無料・匿名検査数が15%も減ったことが原因であると見られています。決して、感染者の実数が減った訳ではないのです。そして、「いきなりエイズ」の発生率は上がっています。これはHIV感染拡大の警告と見るべきでしょう。
以上が、「東京都エイズ通信」の最新号に載っている記事の趣旨です。
こちらではバックナンバーもご覧頂けます。⇒「東京都エイズ通信」
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