世界で2例目、HIV感染症が治癒したと思われた子供から、HIVが検出されました。

当サイトで2013年3月7日に、『世界で2例目?エイズが治った?』という記事を載せました。今回はその続編です。

エイズが完治したと宣言された赤ちゃんが、4歳の子供になって受けたHIV検査で再び・・・

◇2013年3月、世界中が驚いた!

まず、今回のニュースの前に2013年3月のニュースをおさらいしておきましょう。このニュースを知らないと今回のニュースも何のことか分からないはずです。

詳しくは当サイトの、『世界で2例目?エイズが治った?』という記事をお読み頂くとして、ここでは要点をかいつまんで再掲します。

3013年3月当時のニュースによると、それより2年半前にアメリカのミシシッピ州で一人の赤ちゃんが生まれました。母親は自分がHIVに感染していることを知らず、当然治療も受けていませんでした。抗HIV治療を受けないままの出産だったのです。

そして出産後の迅速なHIV検査で赤ちゃんがHIVに感染していることが分かりました。そこでただちに赤ちゃんに対して抗HIV治療が行われたのです。その治療は今までのやり方からすると初期から非常に積極的な薬の投与だったそうです。

その結果、この赤ちゃんは出産から29日目には通常の検査ではHIVが検出できないレベルまで減少しました。その後母親の事情でいったん治療が途切れる事態に陥るのですが、その後の検査でもHIVが全く見つからなかったのです。

つまり、出産後に抗HIV治療を受け、その後治療が途絶えた後でHIV量を測定したらHIVが検出できなかったわけです。これをもってこの赤ちゃんはエイズが治癒した、と宣言されたのですね。

この事例は母子感染によってHIVに感染して生まれてきた赤ちゃんに対して、出産後に積極的な抗HIV治療を行うことでエイズを治療出来るのではないかと世界中から注目されたのです。

この赤ちゃんの前に、全く治療法が異なりますがやはりエイズが治ったとされる男性がいて、この赤ちゃんはエイズが治った2例目だと言われました。

その男性の記事はこちらです。⇒『世界初!HIV感染症が完治した?』

◇かくれていたHIV

生まれてすぐの積極的な抗HIV治療によって、いったんはHIV感染症が完治したと宣言されたこの赤ちゃん。でも、残念ながら2014年7月の定期検査でHIVが再び検出されました。赤ちゃんは4歳の子供になっていました。

むろん、この子供はHIVに再感染した訳ではありません。母子感染したHIVが体内にじっと隠れていたのです。それがまた増殖して検出されたのです。

では、なぜ赤ちゃんのとき、いったんはHIV感染が治ったと宣言されたのでしょうか?

実はこの赤ちゃんに限らず、体内のHIV量を測定する時に「検出限界」というものがあります。つまり、検査精度の壁があって、限りなく体内のHIVがゼロに近い、ということは分かっても、完全にゼロになっているのかどうは分からないのです。

私が調べた範囲では、HIV RNA量という指標を用いて体内のHIV量を測定するのですが、検出限界は20コピー/ml~50コピー/mlのようです。これ以下のHIVの量は測定できません。

従って、先の赤ちゃんの場合も抗HIV治療が途切れたにもかかわらず、HIV量が検出限界以下であることをもって、「エイズ治癒」と宣言したのです。でも、今回のニュースいによれば、HIVは検出限界以下であっても実は体内にまだ隠れていた訳です。

ここで私としてはひとつ疑問があります。HIVに感染しているかどうか、ごく一般的にはHIV抗体検査が使われます。この4歳の子供の場合、HIV抗体検査はどうだったのでしょうか。記事の中には触れられていませんでした。

私が思うに、HIV抗体は一度でもHIVに感染すると体内で生成されたままになり、仮にHIVが完全に除去されても残るのだと思います。何しろこれまでHIVに感染して、その後HIVが完全に除去された実例がないので、実際にどうなのか分かりません。

私の思い通りだとすれば、この赤ちゃんは4歳になるまでずっとHIV抗体検査では陽性のままだったと思います。でもその陽性は過去の感染か、現在の感染か判断が出来なかったのでしょう。

◇母子感染の実態は?

最後に、今回のように母親がHIVに感染したま出産し、生まれてきた赤ちゃんがHIVに感染していた母子感染の実例がどのくらいあるのか、お話したいと思います。下の表を見て下さい。

厚生労働省エイズ動向委員会が公表している、過去10年間のHIV母子感染の実態です。

母子感染件数
2004年 2件
2005年 1件
2006年 1件
2007年 0件
2008年 0件
2009年 0件
2010年 3件
2011年 1件
2012年 0件
2013年 1件

表1.過去10年間のHIV母子感染

現在の日本では年間に凡そ1500人くらいが新規にHIVに感染しています。そんな中で、母子感染は極めて少ない件数となっています。これは出産前の妊婦健診にHIV検査が必ず入っており、母親のHIV感染が分かれば抗HIV治療を行うなどの対処を行うからです。

母親がHIVに感染している場合、何も対処せずに出産すると赤ちゃんに母子感染する確率は15%~35%、あるいは45%とも言われています。

しかし、妊婦健診などで出産前に母親のHIV感染が分かっていれば母子感染の確率を1%以下にまで小さくすることが可能です。それゆえ、日本国内ではHIVの母子感染は少ないのです。

しかし、海外に目を向けると日本と同じような訳にはいきません。HIV検査や治療の医療環境が整っていない国は沢山あります。そうした国では母子感染も多いのです。

それだけに、今回の赤ちゃんがエイズ治療に成功していれば、抗HIV医療のまた大きな前進となるところでした。

今回は残念な結果でしたが、今後の研究成果に期待したいと思います。

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