平成24年のエイズ動向、正式版データをお届けします。

8月9日に厚生労働省エイズ動向委員会から平成24年エイズ動向報告が発表されました。すでに5月22日に速報値が発表されており、今回が正式版となります。

本文には詳細データをご紹介していますが、ぜひあなたに知って欲しいデータが3つあります。

1.新規HIV感染者は1,002件(過去6位)、新規エイズ患者は447件(過去3位)。毎日4人がHIVに感染しています。

2.HIVに感染したと報告された人の30.8%は、「いきなりエイズ」を発症しており、4年連続で30%を超えています。
(エイズを未然に防ぐチャンスを逸している。)

3.HIV感染者の86.7%は性行為によって感染している。

この3つがどんな意味を持っているのか、詳しくは本文にて説明します。

この記事は少し長い説明になりますので、目次を用意致します。お時間のない人は、興味のある
項目だけでもご覧下さい。

【 目 次 】

1.エイズ発生動向の概要

2.HIV感染者/エイズ患者の報告状況

3.HIV感染者/エイズ患者の感染ルート

4.HIV感染者/エイズ患者の年齢別分布

5.いきなりエイズ

6.都道府県別の新規HIV感染者とエイズ患者

7.保健所におけるHIV抗体検査件数

8.献血件数と陽性件数

◇総括・・・今回のデータから言えること
(本ページのソースはこちら⇒『平成24年エイズ発生動向年報』

HIV感染者、エイズ患者の動向データが、あなたのHIV感染予防、エイズ発症予防に役立てば幸いです。

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・・1.エイズ発生動向の概要


まずは、平成24年に報告された新規HIV感染者と、新規エイズ患者の件数をご紹介します。

表1をご覧下さい。

平成24年新規HIV感染者・エイズ患者(人) (参考平成23年)
1.新規HIV感染者 1,002 1,056
2.新規エイズ患者 447 473

(表1)平成24年新規HIV感染者・エイズ患者

平成24年の新規のHIV感染者は、平成23年よりも54件減って1,002件でした。これは、過去6番目に多い数字となっています。ちなみに過去最多は平成20年の1,126件となっています。

一方、平成24年における新規のエイズ患者は、平成23年よりも26件増減って447件でした。これは過去3番目です。

では、新規HIV感染者、新規エイズ患者の推移をグラフでご覧ください。

新規HIV感染者とエイズ患者
(図1)新規HIV感染者・エイズ患者の推移

このグラフからは新規HIV感染者もエイズ患者も増加が止まったように見えます。むろん、新規HIV感染者は検査を受けていない潜在的な感染者がいるはずなので、このグラフからただちにHIV感染者が減っているとは言えないと思います。

しかし、日本の医療環境から新規エイズ患者の場合は潜在的な患者というのはいないと思うので、実際に増加が止まっているのではないでしょうか。

エイズ動向委員会の岩本委員長コメントには、

「新規HIV感染者も新規エイズ患者も増加傾向から横ばいに転じている。」

とあります。

そしてHIV抗体検査の啓もう活動普及を各自治体へ呼びかけています。

なお、新規エイズ患者は、過去のHIV感染者とは重複しません。例えば、昨年新規HIV感染者として報告された人が、今年になってエイズを発症したとしても、今年の新規エイズ患者にはカウントされません。その場合には、病変報告として、任意の報告となります。

すなわち、新規エイズ患者とは、HIV感染に気がつかず、「いきなりエイズ」を発症した人です。

平成24年には、HIVに感染したと報告された人の30.8%がいきなりエイズを発症していました。現在の抗HIV治療では、エイズ発症前にHIV感染が分かればかなり高い確率でエイズ発症を防ぐことが可能です。それだけに残念な数字です。

早期のHIV検査はまさしく救命的検査なのです。

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・・2.新規HIV感染者/エイズ患者の報告状況


では、ここからもう少し詳しく平成24年の動向を見て行くことにしましょう。まずは、新規HIV感染者の報告件数を、過去からの推移で男女別に見てみることにします。


(図2)新規HIV感染者の推移

グラフからは平成20年をピークに感染者は横ばい状態になったように見えます。ただし、HIV検査を受けていない潜在的な感染者がもっと多くいると思われます。

次に、新規エイズ患者の推移を見てみましょう。

新規エイズ患者
(図3)新規エイズ患者の推移

冒頭にも書いたように、平成24年の新規エイズ患者は447人で過去3位でした。何度も繰り返しますがエイズ発症前にHIV検査で感染が分かればエイズを未然に防げる可能性が高いのです。

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3.新規HIV感染者/エイズ患者の感染ルート


3-1)新規HIV感染者の感染ルート

平成24年における新規HIV感染者の感染ルートは以下の通りでした。

新規HIV 感染ルート 件数 比率(%)
異性間性的接触 180 18.0
同性間性的接触 724 72.3
静注薬物使用 5 0.5
母子感染 0 0.0
その他 18 1.8
不明 75 7.5
合計 1,002 100.0

(表2)新規HIV感染者感染ルート

同性間の性的接触が72.3%を占めています。この感染ルートは全て男性であり、女性の同性間性的接触の感染者はいませんでした。

また、母子感染はゼロでした。平成22年、23年と続けて母子感染が報告されていたのですが、平成24年はゼロでした。

表2をグラフにしたものが図4です。

新規HIV感染者の感染ルート
(図4)新規HIV感染者感染ルート

新規HIV感染者の約90%が性的接触によって感染しています。いかにセーファーセックスが重要かお分かり頂けると思います。

3-2)新規エイズ患者の感染ルート

平成24年における新規エイズ患者の感染ルートは以下の通りでした。

新規エイズ 感染ルート 件数 比率(%)
異性間性的接触 114 25.5
同性間性的接触 238 53.2
静注薬物使用 3 0.7
母子感染 0 0.0
その他 8 1.8
不明 84 18.8
合計 447 100.0

(表3)新規エイズ患者感染ルート

表3からお分かり頂けるように、感染ルートのおよそ半分は同性間性的接触です。このルートは女性は0件でした。

表3をグラフにしたものが図5です。

新規エイズ患者感染ルート
(図5)新規エイズ患者感染ルート

新規エイズ患者の78.7%が性的接触による感染です。

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・・4.HIV感染者/エイズ患者の年齢層


それでは、新規HIV感染者とエイズ患者は、どんな年齢層が多いのでしょうか。

年齢層別に見てみましょう。

4-1)新規HIV感染者の年齢層分布

平成24年新規HIV感染者(人) (参考平成23年)
10歳未満 0 1
10-19 17 16
20-29 289 329
30-39 364 368
40-49 216 201
50歳以上 116 141
不明 0 0
合計 1,002 1,056

(表4)新規HIV感染者の年齢層分布

表4をグラフにしたのが下の図6になります。


新規HIV感染者の年齢分布
(図6)新規HIV感染者の年齢層分布

新規のHIV感染者は20代から30代が多いのですが、50歳以上にも全体の11.6%にあたる感染者がいます。HIV感染に年齢は関係ないことが分かります。

4-2)新規エイズ患者の年齢層分布

平成24年新規エイズ患者(人) (参考平成22年)
10歳未満 0 0
10-19 1 1
20-29 47 48
30-39 120 153
40-49 142 149
50歳以上 137 122
不明 0 0
合計 447 473

(表5)新規エイズ患者の年齢層分布

表5をグラフにしたのが下の図7です。

新規エイズ患者年齢分布
(図7)新規エイズ患者の年齢層

新規エイズ患者については、50歳以上が全体の30.6%を占めています。この値はここ数年では最も多い数値です。確かにエイズ発症までの潜伏期間を考慮すると、HIV感染者よりも高齢化するのは当然です。

しかし、多い理由はそれだけではないような気もします。高齢者になるほどHIV検査を受ける人が少ないと言うことも理由の1つにあるのではないでしょうか。私自身もそうでしたが、高齢者ほど保健所に出向いての対面検査は苦手だと思います。どうしても世間体が悪いと感じたり、恥ずかしいと感じたりします。

あるいは、HIV感染に対する危機感そのものが若い世代に比べて薄いと言えるかも知れません。自分だけは大丈夫みたいな、根拠のない自信を持っている人が多いのではないでしょうか。

何が危険か知らないことが、最も危険です。

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・・5.いきなりエイズ


次に、いきなりエイズの報告率を見てみましょう。いきなりエイズ、と言うのはHIVに感染している人が、自分のHIV感染に気が付かず、そのまま放置して、文字通りいきなりエイズを発症してしまうことを言います。

現在ではHIV感染が早期に分かれば、早期治療によって免疫力低下を抑えることができ、エイズ発症を防ぐことが出来るようになっています。

しかし、いきなりエイズの場合には、すでに免疫力がかなり低下して発症に至っている訳で、そこからの治療はより困難になります。

さて、いきなりエイズの報告率をご覧頂きましょう。図8をご覧下さい。

いきなりエイズ
(図8)いきなりエイズ報告率

「いきなりエイズ報告率」とは、HIVに感染したと報告された人の中で、すでにエイズを発症していた人の割合を言います。

((新規エイズ患者)÷(新規HIV感染者+新規エイズ患者))×100%

平成24年のいきなりエイズ報告率は30.8%で平成23年とほぼ同じ割合でした。何度も書いていますが、現在の医学ではHIVに感染しても早期発見が出来ればエイズの発症を防ぐことが可能です。従って、いきなりエイズはとても残念な結果です。

エイズ動向委員会の岩本委員長もコメントの中で、

『HIV感染症は適切な治療によりAIDSの発症を抑えることができることから、AIDSを発症する前にHIV感染を早期発見することが重要である。』

と述べられています。

エイズを発症する前に抗HIV治療を開始出来るか、それともいきなりエイズ発症後に治療を開始するか、治療開始時期によってその後の生存率にも大きな差が出ます。

それゆえ「いきなりエイズ」を防ぐ早期のHIV検査は、救命的検査と言えます。

関連記事:HIV検査があなたの命を救います

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・・6.都道府県別の新規HIV感染者とエイズ患者


平成24年の都道府県別の新規HIV感染者、エイズ患者は以下の通りです。平成23年のデータ、及び昭和60年(1985年)からの累計データといっしょにまとめてみました。

区分 新規HIV感染者 新規エイズ患者
都道府県 2012年 2011年 累計 2012年 2011年 累計
北海道 20 18 193 7 10 122
青森県 3 3 45 1 1 24
岩手県 3 0 25 1 2 29
宮城県 5 12 101 7 5 67
秋田県 3 2 20 1 2 23
山形県 1 1 21 1 1 23
福島県 6 4 59 2 1 40
茨城県 16 16 488 9 8 298
栃木県 9 14 216 11 8 170
群馬県 9 7 155 6 8 119
埼玉県 25 28 426 17 16 294
千葉県 29 35 657 24 21 449
東京都 372 320 5,539 92 84 1,750
神奈川県 66 58 1,001 34 25 504
新潟県 8 6 77 0 4 50
山梨県 2 9 103 2 1 43
長野県 10 13 288 7 6 182
岐阜県 11 21 112 4 12 88
静岡県 17 32 350 12 12 171
三重県 6 7 124 2 5 76
愛知県 79 76 863 40 50 441
富山県 3 2 30 1 2 25
福井県 7 4 43 2 2 24
石川県 3 7 59 6 4 28
滋賀県 5 2 59 4 4 43
京都府 8 10 193 3 6 94
大阪府 124 169 1,794 56 65 582
兵庫県 27 29 310 18 17 175
奈良県 7 8 86 4 5 57
和歌山県 6 5 48 3 3 41
鳥取県 0 1 12 1 0 9
島根県 0 4 16 0 0 4
岡山県 11 9 88 4 7 60
広島県 10 17 167 14 8 76
山口県 2 3 50 1 3 16
徳島県 1 7 24 3 0 17
香川県 4 5 40 4 5 32
愛媛県 5 6 62 6 4 46
高知県 1 1 28 2 2 16
福岡県 43 40 342 17 19 165
佐賀県 4 3 16 0 3 12
長崎県 2 5 38 2 2 23
熊本県 5 6 62 3 5 46
大分県 5 4 35 2 3 19
宮崎県 2 7 29 1 5 22
鹿児島県 5 7 63 3 6 42
沖縄県 12 12 149 7 11 82
合計 1,002 1,056 14,706 447 473 6,719

(表6)都道府県別新規HIV感染者と新規エイズ患者

仮にあなたのお住まいの都道府県で、HIV感染者が少なかったとしても、だからと言ってあなたが安全だと言うことにはなりません。かつて私もそうでしたが、何となく勘違いしてしまいがちです。くれぐれも誤解なきようお願い致します。

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・・7.保健所などにおけるHIV抗体検査件数


続いて、平成24年における保健所など自治体でのHIV抗体検査の件数をご紹介します。ここ数年減少傾向でしたが、歯止めはかかったのでしょうか。

保健所におけるHIV検査

(図9)保健所でのHIV抗体検査件数

グラフをご覧頂くとひと目でお分かりの通り、横ばいの状況です。

●平成20年 177,156件

●平成21年 150,252件

●平成22年 130,930件

●平成23年 131,243件

●平成24年 131,235件

というように、平成24年は平成23年とほぼ同数でした。平成20年をピークに減少し、下げ止まったものの増加には転じていません。

一方では自宅で使えるHIV検査キットが年々利用数を伸ばしており、平成23年には65,000個も使用されています。保健所なら無料であるにも関わらず、有料の検査キットを購入する人が増え続けているのです。

この事実から保健所でのHIV検査受検数が減少しているのはその利便性に問題があるのかも知れません。私の住んでいる地方都市ではHIV検査が可能なのは保健所1ヶ所だけで、しかも平日の午前、午後だけです。

完全予約制で検査日は毎週1回だけです。これでは仕事の忙しい人はなかなか保健所に行ってHIV検査を受けることが出来ません。ここはもっと利便性を向上させて欲しいと思います。

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・・8.献血件数と陽性件数


次は、平成24年に全国の血液センターなどで行われた献血の件数と、その中から見つかったHIV陽性件数をご紹介します。

献血件数とHIV陽性件数
(図10)献血件数とHIV陽性件数

図10では1987年から2012年(平成24年)までの献血件数、及び献血で見つかったHIV陽性件数を表しています。グラフをご覧頂いてお分かりのように、2008年(平成20年)をピークにHIV陽性件数は減少しています。

この献血におけるHIV陽性件数の持つ意味は、潜在的なHIV感染者の動向を表しているとされています。何しろ年間に500万件以上の不特定多数の献血を行った中でのHIV陽性です。潜在的なHIV陽性者の動向を反映している一面はあると思います。

それからすると、潜在的なHIV感染者は減少しているのかも知れません。冒頭にご紹介したエイズ動向委員会の岩本院長のコメントを裏付けるデータでもあります。

ただ、このサイトでも幾度となく記事にしてきましたが、献血を受けてもHIV検査の代わりにはなりません。どうぞあなたはHIV感染が少しでも心配、不安であれば献血に行かずに保健所へ行って下さい。どうしても保険所に行けないのなら、自宅で検査キットを使う方法もあります。

決して献血をHIV検査の代用にしないようお願いします。

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以上、平成24年の新規HIV感染者、新規エイズ患者の動向報告をお届け致しました。厚生労働省エイズ動向委員会が8月9日に発表した正式版のデータを元に私が編集したものです。ソースはこちら⇒『平成24年エイズ発生動向年報』

最後にもう一度繰り返します。あなたに何も自覚症状がなくてもHIV感染の不安や心当たりがあるなら、早期のHIV検査をお勧め致します。本文の中でもご紹介しましたが日本では新規のHIV感染者として報告された人の30%以上が、自分の感染に気が付かないまま、「いきなりエイズ」を発症しています。あなたのHIV感染は検査を受けるしか判定する方法はありません。

早期のHIV検査は救命的検査です。

あなたが、HIV検査を受ける決心はついたけど、どうしても保健所に行く時間がなかったり、誰にも知られず、誰にも会わずにHIV検査を受けたいと思うならこんな方法もあります。かつて私が深刻なHIV感染疑惑に陥ったときにも使いました。

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HIV検査のみ

■HIVと最も重複感染が多い梅毒、B型肝炎。症状がより重症化することがあります。

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HIV・梅毒・B型肝炎が同時に検査できます。

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