2012年第1四半期(1月~3月)のエイズ動向が、エイズ動向委員会より発表されました。(5月24日付け)

その概要を速報であなたにお届け致します。最新のエイズ動向としてご覧下さい。

今回新規に報告されたのは、2011年12月26日から2012年3月25日までのエイズ動向実績です。従って2012年の第1四半期(1月~3月)にあたります。

エイズ動向委員会岩本委員長コメントでは、

1.HIV感染者とエイズ患者の報告件数の累計が初めて2万件を超えた。

2.HIV抗体検査件数、相談件数は横ばい傾向にある。

3.HIV感染の早期発見は個人においては早期治療、社会においては感染防止に結びつく。HIV抗体検査・相談の機会を積極的に利用して欲しい。

以上の3点でした。

では、以下エイズ動向委員会から発表されたデータを私が独自に作成したグラフや表を交えてご紹介したいと思います。

今回のデータから、HIV感染のリスクがあなたの日常生活の中に存在することを、改めて知って頂けたらと思います。

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・・1.2012年第1四半期 新規HIV感染者とエイズ患者の人数

項目 1月-3月 昨年同時期 増減
新規HIV感染者数(人) 246 243 +3
新規エイズ患者数(人) 105 117 -12
合計数(人) 351 360 -9
いきなりエイズ発症率(%) 29.9 32.5 -2.6

表1.新規HIV感染者とエイズ患者

2012年第1四半期の新規HIV感染報告件数は246件で、昨年同時期よりも3件の増加であり、過去17位です。
同じく新規エイズ患者報告件数は105件で昨年同時により12件減少し、過去19位でした。

また、HIV感染者とエイズ患者を合わせた報告件数は351件で昨年同時期よりも9件減少し、過去17位でした。
いきなりエイズの発症率は29.9%で、昨年同時期よりも2.6%減少しました。

岩本委員長のコメントにあるように、2012年の第1四半期でHIV感染者とエイズ患者の合計報告数の累計が2万件を超えました。

◇2012年3月25日現在の累計データ
●HIV感染者の累計・・・13,913件

●エイズ患者の累計・・・ 6,371件

●合計・・・20,284件

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・・2.2012年第1四半期 新規HIV感染者とエイズ患者の感染ルート


2-1)新規HIV感染者感染ルート

2012年第1四半期(1月~3月)の新規HIV感染者の感染ルートは以下の通りです。

感染ルート 件数 比率 (%)
異性間性的接触 54 22.0
同性間性的接触 168 68.3
静注薬物使用 0 0
母子感染 0 0
その他 2 0.8
不明 22 8.9
合計 246 100.0

表2.2012年第1四半期 新規HIV感染者の感染ルート

表2をグラフにしたものが図1です。

2012年第1四半期新規HIV感染者の感染ルート
図1.2012年第1四半期 新規HIV感染者の感染ルート

図1をご覧頂いてお分かりのように、新規HIV感染者の約7割近くが同性間の性的接触による感染です。全て男性で、女性による同性間の性的接触による感染はありません。

また、同性間、異性間を合わせた性的接触による感染が全体の9割以上を占めています。

2-2)新規エイズ患者感染ルート

2012年第1四半期(1月~3月)の新規エイズ患者の感染ルートは以下の通りです。

感染ルート 件数 比率 (%)
異性間性的接触 20 19.0
同性間性的接触 60 57.1
静注薬物使用 1 1.0
母子感染 0 0
その他 2 1.9
不明 22 21.0
合計 105 100.0

表3.2012年第1四半期 新規エイズ患者の感染ルート

表3をグラフにしたものが図2です。

2012年第1四半期 新規エイズ患者の感染ルート
図2.2012年第1四半期 新規エイズ患者の感染ルート

HIV感染者同様、新規のエイズ患者においても同性間性的接触が最も多い感染ルートとなっています。全て男性で、女性による同性間の性的接触による感染はありません。

ただし、この集計で同性愛者の定義は「同性愛者+両性愛者」となっているため、実際の感染が同性だったのか、異性だったのは不明です。

異性、同性両方を合わせた性的接触による感染が全体の76.1%を占めています。

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・・3.2012年第1四半期 都道府県別新規HIV感染者・エイズ患者数


各都道府県別の新規HIV感染者、エイズ患者の報告件数は以下の通りです。

◇2012年第1四半期 都道府県別HIV感染者・エイズ患者

区分 新規HIV感染者 新規エイズ患者
都道府県 1月-3月 昨年同時期 増減 1月-3月 昨年同時期 増減
北海道 6 4 +2 2 4 -2
青森県 1 0 +1 0 0 ±0
岩手県 0 0 ±0 0 1 -1
宮城県 1 3 -2 2 1 +1
秋田県 0 0 ±0 0 0 ±0
山形県 1 0 +1 0 1 -1
福島県 2 2 ±0 0 0 ±0
茨城県 3 2 +1 3 1 +2
栃木県 1 3 -2 3 4 -1
群馬県 1 3 -2 2 1 +1
埼玉県 10 5 +5 7 7 ±0
千葉県 6 9 -3 6 3 +3
東京都 83 91 -8 21 22 -1
神奈川県 17 12 +5 7 5 +2
新潟県 2 1 +1 0 0 ±0
山梨県 2 4 -2 0 1 -1
長野県 2 2 ±0 3 2 +1
富山県 1 0 +1 0 0 ±0
石川県 2 1 +1 2 0 +2
福井県 2 3 -1 0 0 ±0
岐阜県 2 6 -4 1 4 -3
静岡県 5 6 -1 0 2 -2
愛知県 30 17 +13 13 16 -3
三重県 0 0 ±0 0 1 -1
滋賀県 0 0 ±0 0 1 -1
京都府 1 3 -2 0 3 -3
大阪府 35 26 +9 10 11 -1
兵庫県 5 9 -4 3 4 -1
奈良県 2 2 ±0 1 1 ±0
和歌山県 3 0 +3 1 1 ±0
鳥取県 0 0 ±0 0 0 ±0
島根県 0 0 ±0 0 0 ±0
岡山県 3 2 +1 2 3 -1
広島県 4 7 -3 5 3 +2
山口県 0 0 ±0 0 0 ±0
徳島県 1 1 ±0 1 0 +1
香川県 1 1 ±0 1 0 +1
愛媛県 2 0 +2 2 1 +1
高知県 0 1 -1 0 0 ±0
福岡県 2 6 -4 2 5 -3
佐賀県 1 0 +1 0 0 ±0
長崎県 0 1 -1 1 1 ±0
熊本県 0 3 -3 0 0 ±0
大分県 2 1 +1 1 0 +1
宮崎県 0 1 -1 1 2 -1
鹿児島県 1 4 -3 0 2 -2
沖縄県 3 0 +3 2 3 -1
合計 246 243 +3 105 117 -12

表4.都道府県別新規HIV感染者・エイズ患者数

なお、このデータはあくまでも報告件数ベースであり、新規のHIV感染者、エイズ患者が報告された都道府県に居住しているとは限りません。例えば北海道に住んでいる人が東京に遊びに来てHIV感染が見つかれば東京でカウントされます。

表4から、新規のHIV感染者、エイズ患者の多い都道府県は、東京、大阪、愛知などです。

また、あなたのお住まいの都道府県でHIV感染者やエイズ患者が少ないからといって、それはあなたがHIVに感染するリスクが少ないと言うことではありません。どうぞ誤解されないようにお気をつけ下さい。

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・・4.2012年第1四半期 新規HIV感染者・エイズ患者年代別分布


新規HIV感染者とエイズ患者の年代別分布データをご紹介します。

4-1)2012年第1四半期 新規HIV感染者の年代別分布

年齢区分 件数 比率 (%)
10歳未満 0 0
10歳~19歳 3 1.2
20歳~29歳 62 25.2
30歳~39歳 104 42.3
40歳~49歳 46 18.7
50歳以上 31 12.6
合計 246 100.0

表5.2012年第1四半期 新規HIV感染者の年代別分布

表5をグラフにしたものが図3です。

2012年第1四半期 新規HIV感染者の年代別分布
図3.2012年第1四半期 新規HIV感染者の年代別分布

表5、図3からもお分かりのように、新規HIV感染者は20代、30代が最も多くなっています。しかし、50歳以上にも全体の12%以上の新規HIV感染者が存在しています。

中高年においてはHIV、エイズに対する認識・知識不足から感染リスクが高いのではないかと指摘されているところです。

50歳以上のあなた、ご自分だけは絶対大丈夫などと、根拠のない自信を持っていませんか?それが一番危険です。くれぐれもご用心下さい。

4-2)2012年第1四半期 新規エイズ患者の年代別分布

年齢区分 件数 比率 (%)
10歳未満 0 0
10歳~19歳 1 1.0
20歳~29歳 11 10.5
30歳~39歳 25 23.8
40歳~49歳 30 28.6
50歳以上 38 36.2
合計 105 100.0

表6.2012年第1四半期 新規エイズ患者の年代別分布

表6をグラフにしたものが図4です。

2012年第1四半期 新規エイズ患者の年代別分布
図4.2012年第1四半期 新規エイズ患者の年代別分布

新規のエイズ患者については、エイズ発症までの潜伏期間が入るため、新規のHIV感染者に比べると高齢化しています。しかし、このように50歳以上が最も多い分布になっているのは過去に記憶がありません。

この新規エイズ患者とはすなわち「いきなりエイズ」患者を指しています。高齢者になればなるほど、HIV検査を受ける割合が低いのではないでしょうか。そのために自分のHIV感染に気が付かず、「いきなりエイズ」発症となっているような気がします。

これはあくまで私の推測であって裏付けとなるデータはありません。しかし今回のデータから、HIV感染、エイズ発症が年齢を問わないことだけは明確です。

高齢者のあなたも、少しでもHIV感染の不安があればいきなりエイズ発症前にHIV検査を受けて下さい。エイズ発症までの潜伏期間は近年短くなる傾向にあり、かつての7年、10年から2,3年でエイズを発症する事例が増えています。

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・・5.保健所などの抗体検査数


2012年第1四半期(1月~3月)に保健所や地方自治体の実施するHIV抗体検査を受けた件数は以下の通りでした。

◇2012年1月~3月の保健所などにおける抗体検査件数

時期 1月ー3月 昨年同時期 増減
件数(件) 31,995 31,155 +840

表8.保健所抗体検査数(保健所以外の自治体が実施する検査を含む)

ご覧のように、昨年同時期に比べると840件の増加になっていますが、四半期ベースの前期に比べると減少しており、全体としては横ばいであるとエイズ動向委員会では判断しているようです。

早期のHIV検査は救命的検査であり、エイズ発症前にHIV感染が分かればエイズ発症を防ぐことも可能です。

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・・6.献血件数、及びHIV抗体検査陽性件数


2012年の1月~3月に献血を受けた件数、及びHIV陽性が発見された件数をご紹介したいと思います。

◇2012年1月~3月の献血件数

時期 献血件数(HIV陽性) 昨年同時期 増減
件数(件) 1,325,793(14) 1,327,109(29) -1,316(-15)

表9.献血件数とHIV陽性件数

献血におけるHIV検査では年間に約100件前後のHIV陽性が見つかっています。血液センターではNAT検査という非常に検査精度の高い検査方法を使っていますが、それでもHIV感染直後の血液は検査をパスする可能性があります。

もしもあなたにHIV感染の不安があるなら献血に行くのは絶対に止めて下さい。あなたの最寄の保健所では無料・匿名でHIV検査を受けることが出来ます。

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・・7.まとめ


冒頭ご紹介したように、エイズ動向委員会岩本委員長のコメントが次のように出されています。

「HIV感染の早期発見は個人においては早期治療、社会においては感染防止に結びつく。HIV抗体検査・相談の機会を積極的に利用して欲しい。」

保健所や地方自治体で実施するHIV抗体検査の件数はここ数年の減少傾向からやっと横ばい状態になったようです。

現代医学はエイズ発症前に治療を開始すればエイズの発症を防ぐことが可能になっています。早期のHIV検査こそ、あなたにとって救命的検査になるかも知れません。

どうしても保健所や病院に行きたくなければ、あなたのご自宅でもHIV検査は可能です。

*「生存率」・「いきなりエイズ」・「潜伏期間」

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