TOP コラム一覧コラム(検査/治療)>HIV感染者・エイズ患者の病変


ここでは、HIV感染者とエイズ患者の病変についてお話します。

エイズ動向委員会からの毎回の報告書の中に、「患者・感染者病変報告情報」と言う項目があります。これは、HIV感染者とエイズ患者の人たちの「病変」を報告した情報です。⇒「エイズ動向委員会報告」

つまり、HIV感染者が、キャリアからエイズ患者へと病変したとき、エイズ患者が死亡したとき、この2つの報告をまとめた情報です。この情報で何が分かるかと言うと、抗HIV療法の効果を見ることが出来ます。

現在の抗HIV療法では、HIV感染者に対してはエイズを発症しないように、またエイズ患者に対しては免疫力の回復を図ります。この治療がうまくいってる間は病変しない訳です。そう言う意味で、「患者・感染者病変報告情報」を見れば、抗HIV治療の効果の程を見てとれる訳です。

ただし、次の2点には要注意です。まず、1点目ですが、この「患者・感染者病変報告」は任意であって、強制ではありません。医療機関において、新規のHIV感染者、エイズ患者が見つかった場合には、7日以内に報告することが義務付けられていますが、その見つかった患者のその後の病変については必ずしも報告の義務はありません。あくまでも任意での報告になります。

2点目ですが、エイズ患者が亡くなったとき、必ずしもエイズが原因で亡くなるとは限りません。全くエイズとは無関係の死因もあり得ます。例えば脳卒中で亡くなったり、心臓まひで亡くなったりすることもある訳です。

そういった点を予めご承知おきして頂いて、報告結果をご覧下さい。

まず、過去3年間と、今年の上半期までの病変グラフです。


(図1)平成19年から平成22年上半期までの病変(エイズ動向委員会データから管理人が作成)

青い棒グラフが、HIVに感染していた人が、エイズを発症した件数です。あくまでも任意報告の集計なので、新規のHIV感染者のように漏れなく報告されている訳ではありません。実際にはもっと多くの発症者がいる可能性はあります。

それにしても、私はこのグラフを見て年間にエイズを発症するHIV感染者は少ないと思いました。ここ数年で言えば、新規のHIV感染者は年間に1000人以上いる訳で、その中で任意報告とは言え、この件数は少ないと思います。むろん、HIVに感染した時期と、エイズを発症する時期とは、数年の間があるとは思いますが。

次に、赤い棒グラフですが、こちらはエイズ患者のうち、エイズが原因で亡くなった人の件数です。昨年が6人、今年上半期では1人となっています。かつて、エイズが死の病だったことを思えば、医学の進歩は素晴らしいものがあります。細かい数字については、下に表を載せておきますので、そちらをご覧下さい。


(表1)平成19年から平成22年上半期までの病変(同管理人作成)

こうした抗HIV治療の進歩が、エイズを慢性疾患と同じようなレベルにまでもっていき、逆に世間の関心を薄れさせてしまった、と言う側面もあるのでしょうか。HIVに感染しても、治療を受ければ大丈夫、みたいな・・・。

昨年、今年と保健所でのHIV検査の件数が対前年比で15%ほど少なくなっています。当初は新型インフルエンザの影響が原因と言われていましたが、どうもそればかりではないことが分かってきました。世間一般のエイズに対する関心の低下があるのではないかと言われています。

でも、それはとても甘い、危険な思い込みですね。専門書を読むと、抗HIV治療はとても大変です。HIVの感染が避けるべきであることには何も変わりありません。

「HIV検査のススメ」=「いきなりエイズ」を防ぐには、早期の検査でHIV感染をみつける以外に 方法はありません。=

HIV感染からエイズ発症までの潜伏期間がどんどん短くなっているデータをご存知ですか? でも、HIV感染は早期に発見できればエイズ発症を抑え る(遅らせる)ことができるようになりました。「いきなりエイズ」の前に、絶対HIV検査を受けてください。

・・増加する「いきなりエイズ」を防ぐには、早期にHIV検査を受ける以外に方法はありません。⇒ 「HIV検査のススメ」








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