HIV陽性者の社会生活調査から
HIV検査を受けて陽性と分かった後に、治療のための通院や入院はどうしているのか、あるいは仕事はどうしたのか、などを調査したデータがあります。それをあなたにご紹介したいと思います。
この調査は厚生労働省が行ったもので、2008年12月から2009年6月までの間に全国のエイズ診療拠点中核病院、ブロック拠点病院、エイズ治療・研究開発センターなど、59の病院で1,203人のHIV陽性者にアンケート回答してもらった結果です。(「HIV感染者の早期発見と社会復帰のポイント」医薬ジャーナル社による)
・・1.回答者の属性
◇男性:1,134人 女性:67人 不明:2人 平均年齢:42.2歳
◇男性患者の感染経路:異性間性的接触 10.5% 同性間性的接触 74.8% 血液凝固因子製剤 5.8%
◇女性患者の感染経路:異性間性的接触 75.8% 血液凝固因子製剤2次・3次感染 7.6%
・・2.通院の頻度
◇1ヶ月に2回以上通院している 5.7%
◇1ヶ月に1回通院している 47.0%
◇2ヶ月に1回通院している 27.6%
◇3ヶ月に1回通院している 19.7%
・・3.服薬回数
◇1日1回 47.1%
◇1日2回 34.4%
◇1日3回 1.2%
◇未服薬 17.1%
・・4.入院経験
◇調査時点から過去1年以内に入院した経験のある患者 23.8%
入院経験のある患者を告知された年度別にみると、
◇2008年に告知された患者 54.1%
◇2007年に告知された患者 20.7%
◇2006年に告知された患者 19.0%
このデータから分かることは、告知されて間もない時期は入院することが多いが、1年、2年と経過すると段々と入院の必要がなくなっています。抗HIV治療が安定してくるためと思われます。
・・5.離職率
HIV陽性の告知を受けたあと、職場を離れた人は42.2%にのぼります。そのうちの2割は、本人の意思とは別に辞めざるを得なかったそうです。辞めた理由は、労働条件や、体調維持、健康管理が困難になったためです。また、1.9%ですがHIV陽性を理由に解雇になった人もいます。
・・6.職場でのカミングアウト
HIV陽性者全体の23%が誰かに告白しています。
この調査とは別に、東京都福祉保健局が2010年の11月26日から12月6日までの11日間に渡って東京都民のエイズ意識調査を行っています。モニター人数は290名、うち197名回答。
この調査の中に、「もしもあなたがHIV陽性と診断されたら、そのことをあなたの職場に伝えますか?」と言う質問がありました。回答結果は、「伝えると思う 20.3% 伝えないと思う 79.7%」でした。2つの調査結果は、実績と予想ですがほぼ一致しています。
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かつてHIV感染が致死的疾患であった頃は、HIV陽性の告知は「遠からず死ぬ」ことを意味していました。HIV感染からの平均余命はわずかに7年だったのです。
しかし、1997年頃から始まったHAARTと呼ばれる多剤併用法により、HIV感染は致死的疾患から慢性疾患に変わりました。HIV感染によって亡くなる人は激減したのです。しかし、治療は生涯治療であり、患者本人の負担も軽いものではありません。それをこの調査結果からほんの少しだけ垣間見ることが出来ます。
私が自分自身のHIV感染を疑って不安な日々を過ごしていたころ、HIV陽性だった場合のことも考えました。正直、初めは「HIV感染=エイズ=死」こんな図式が頭いっぱいに広がっていました。
それが色々と調べてみると、薬によってエイズ発症を遅らせることが出来たり、免疫力を回復させることも可能だと分かりました。すぐに死ぬことはないと分かって、ちょっと安心もしました。ただ、治療は生涯治療であり、色んな問題もありそうだと言うことも分かりました。
治療を受ける自分の姿が明確にイメージ出来ず、それはそれで不安が募りました。私の検査結果は幸い陰性でしたが、もしも陽性だったら、専門のスタッフに相談して今後の生活や治療のことを詳しく相談したり、教えてもらっていたと思います。
HIV感染は致死的疾患ではなくなりましたが、完治しない病気であることには何も変わりありません。どうぞあなたはHIVに感染しないようご用心ください。
そして、もしもほんの少しでもHIV感染の不安があったり、思い当たる過去があるのなら、どうぞこの記事を読んでみてください。HIV検査があなたの命を左右するかも知れません。
・・HIV検査が救命的検査である理由はこちらから⇒「HIV検査があなたの命を救います」
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