エイズの潜伏期間が短くなる?

エイズの潜伏期間が短くなる

かつてエイズの潜伏期間は5年から10年でした。でも、今では・・・・

もしもあなたに何かの事情があって、HIV感染の不安を感じているなら、ぜひこの記事を読んで
下さい。

あるいはすでにHIV検査を受けようかと思いながら、ついつい先延ばしにしているなら、必ずこの
記事を読んで下さい。

この記事はあなたがHIV検査をすぐに受けることを決心する、大事な情報だと確信しています。
なぜなら、あなたがHIV検査を迷っていると手遅れになるかも知れないと言う情報なのです。

私はこの情報はとても重要だと思うのですが、私の周囲で知っている人はほとんどいません。
どうかあなたはこの記事の重要性を分かって下さい。

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また、「HIV感染者の早期発見と社会復帰のポイント」(医薬ジャーナル社 岡慎一氏編集)
を参考にしました。

これまで、HIVに感染した人が治療をせずに放置しておくと、エイズ発症までの潜伏期間は
5年から10年と言われていました。

でも、近年その潜伏期間はどんどん短くなっているのです。

・・1.短くなったエイズ潜伏期間


エイズの潜伏期間が短くなっていると指摘されているのは、岡慎一氏です。

岡氏は、国立国際医療研究センター戸山病院エイズ治療・研究開発センター長であり、
長年エイズの治療を研究をされています。図書も数多く出されており、私も何冊か読みました。

岡氏によると、HIVに感染した人のCD4陽性リンパ球の減少速度がここ数年、従来よりも
どんどん速くなっているそうです。

この事実を根拠に、エイズの潜伏期間が短くなっているとご指摘されています。

CD4陽性リンパ球と言うのは、人の免疫機能をつかさどるリンパ球です。

このリンパ球はあなたの体内に侵入してくるウイルスや細菌を撃退し、健康な体を維持して
くれます。

あなたの体内のCD4陽性リンパ球が多ければ多いほど免疫力が強く、逆に減ってくると免疫力が
低下していきます。当然色んな病気にかかりやすくなります。

そしてHIVはあなたの体内に侵入すると、このCD4リンパ球に取り付き、感染するのです。

HIVには自己増殖の機能はありません。取り着いた宿主細胞であるCD4リンパ球の増殖機能を
巧みに利用して自分のコピーを作りだしていきます。

HIVが恐ろしいのは、このCD4陽性リンパ球を次々に破壊しながら増殖するからです。
つまり、HIVは感染すると、徐々にあなたの免疫力を奪いながら増えていくのです。

そしてついには免疫不全症候群、すなわちエイズ発症に至ります。(図1参照)

エイズ発症まで
(図1)HIV感染からエイズ発症

このHIV感染からエイズ発症までが、かつては5年から10年と言われていました。
すなわちエイズの潜伏期間は5年から10年だったのです。

では、このエイズの潜伏期間がどのくらい短くなってきたのでしょうか。

岡氏の指摘する内容を詳しく見てみましょう。

まず、専門書によると、健康な人のCD4は、凡そ1立方ミリメートル(1mm×1mm×1mm)の
血中に、800個 から1000個あるそうです。
(700個~1300個とする説もあって、かなり個人差、幅があるようです)

このCD4の量は、例えば800/μLというように表記します。

岡氏が勤務される、国際医療研究センター戸山病院では、HIV感染者の体内で、CD4の数が
血液中で350/μL以下になったら、坑HIV治療を開始し、薬を投与するそうです。(図2参照)

CD4と抗HIV治療
(図2)CD4の値と抗HIV治療

CD4が350以下になってもそのまま治療せずに放っておくと、外部から侵入するウイルスや細菌を
免疫力で退治することが出来なくなりま す。

すると、健康なときならかからないような日和見感染症を発症し、致死的状況となります。

さて、岡氏の調査では、1980年代と2000年前後の2つの時期で、HIVに感染した人のCD4が
感染3年後にどのくらい減少しているかを比較しています。

血友病の治療で1980年代後半からHIVに血液感染した患者と、1997年から2007年にかけて
戸山病院で治療した82人のHIV感染者を比べると、CD4の減り方に大きな差が あったそうです。

◇1988年  HIV感染3年後、CD4が350/μL以下まで減少した患者の割合⇒52.4%

◇2007年  HIV感染3年後、CD4が350/μL以下まで減少した患者の割合⇒86.5%

いかがでしょうか。この2つのデータの比較結果を見ると、一目瞭然ですね。(図3参照)

HIV感染とCD4
(図3)HIV感染3年後のCD4の値

繰り返しますが、HIVに感染してから3年後に、CD4の値が350以下になった人の割合が、
52.4%から86.5%に増えているのです。

この調査結果が何を意味しているかと言えば、HIV感染3年後にエイズを発症する危険性が
増している、すなわちエイズの潜伏期間が短くなっていることを意味しています。

かつてエイズの潜伏期間は5年から10年だったのですが、岡氏によればHIV感染から3年
ほどでエイズを発症する人が増えているのです。

こうしたエイズ発症までの潜伏期間が短くなっていることは、厚生労働省でも把握はしています。

例えば、エイズ動向委員会と言う専門組織が厚生労働省の下に設置されています。

この委員会の岩本委員長が昨年(2010年)11月9日、日本記者クラブにおいてエイズに関する
講演を行っています。その講演の中で、岩本委員長は こうおっしゃっています。

『HIV感染からエイズ発症までは、従来は8年から10年と言われていたが、
近年では4年くらいとする報告が多数寄せられている。』

このような主旨のお話をされています。(YouTubeで見ることが出来ます)

まさにこのお話は先の岡氏の指摘と合致します。

しかし、私が思うに日本国内で広く情報提供されているとは思えず、潜伏期間が短くなったことを
知らない人が多いのではないでしょうか。

・・2.エイズの潜伏期間が短くなった理由


では、このようにエイズの潜伏期間が短くなった理由は何でしょうか。岡氏によると、HIVの変異に
原因があるそうです。

その変異とは、人の免疫機能からHIVが逃れるための変異です。

先ほども書きましたが、HIVが感染するのはCD4陽性リンパ球です。このリンパ球は人間の免疫
機能の中枢細胞であり、ヘルパーT細胞とも言います。

HIVはこの免疫システムの中枢細胞に取り付き、これを破壊しながら増殖していきます。

実は人の免疫細胞はヘルパーT細胞だけではありません。キラーT細胞(CTLとも呼ぶ)も免疫
機能を持った細胞です。

HIVに感染されてしてしまったヘルパーT細胞を、キラーT細胞が攻撃して排除しようとします。

このとき、キラーT細胞が、HIVに感染した細胞と、正常な細胞を見分けるのに使う目印がHLAです。

HLAとは、ヒト白血球抗原(Human Leukocyte Antigen)のことで、免疫細胞が外敵を攻撃する
ときに、自分と同じ仲間の細胞か、それとも外部からの侵入者かを見分けるための目印なのです。

よく、臓器移植のときにこのHLAが問題になります。HLAにはいろんな種類があって、人によって
種類が違うのです。種類が完全に一致するのは一卵性双生児くらいだとも言われています。

そのため、せっかく移植した臓器を外敵と見なして免疫細胞が攻撃してくるのです。

HIVに感染してしまったヘルパーT細胞は、このHLAがHIVの一部と結合するため、そのHLAの
異常を見つけてキラーT細胞が攻撃してくるのです。

そこでHIVは変異することを始めたのです。今までは、HLAと言う細胞の目印とHIVが結合した
ときの異常で感染細胞であることがキラーT細胞に知られてしまいました。

そこでHIVはHLAと結合しても、HIVの一部が変異することによってキラーT細胞に見つからない
ようになったのです。つまり免疫細胞の攻撃から逃れるための変異です。

すると、これまではキラーT細胞に破壊されていた感染細胞が破壊されずに、どんどんHIVの
コピーを作り続けます。すなわちHIVの増殖が加速されることになります。

HIVはヘルパーT細胞を破壊しながら増える為、増殖の加速は免疫力低下の加速でもあります。

その結果、HIVに感染してからエイズを発症するまでの潜伏期間が短くなってしまったのです。

・・3.これからどうなる?


現在、日本国内において、自分がHIVに感染していることを知らないまま、HIVが増殖して
エイズを発症する人が、HIV感染者の約30%います。これを「いきなりエイズ」と呼びます。(図4参照)

いきなりエイズ発症率
(図4)いきなりエイズ発症率 エイズ動向委員会データによる

これからエイズの潜伏期間がどんどん短くなっていくと、「いきなりエイズ」は更に増える可能性が
あると思われます。

今までだと、エイズの潜伏期間中に、他の病気で入院したり、手術のための検査でHIV感染が
見つかるケースもありました。

あるいは自分でHIV感染の不安を感じて自ら検査を受けて見つかることもありました。
でも、潜伏期間が短くなれば、そのチャンスも減ってしまいます。

事実、2011年の第2四半期(4月から6月)におけるいきなりエイズの発症率は38.5%と非常に
高い数値になっています。

このデータを発表した厚生労働省エイズ動向委員会からも警鐘が鳴らされています。

現在の医学ではHIV感染を完治させることは出来ません。いったんHIVが感染すると、完全に
駆除することは出来ないのです。

しかし、エイズ発症前にHIV検査で感染が見つかれば、抗HIV治療によってエイズの発症を防ぐ
ことは可能になりました。

HIVによって低下した免疫力を再び上げることが出来るようになったのです。(図5参照)

抗HIV治療
(図5)抗HIV治療によるエイズ防止

当然ながら、エイズを発症する前に治療を開始するのと、いきなりエイズを発症してから治療を
開始するのとでは、その後の経過に大きな差が出ます。

エイズ発症前の治療開始の方が患者の生存率も高いのです。

従って、エイズ発症までの潜伏期間が短くなっている状況の中で、私からあなたにお願いしたい
ことは、

「もしもあなたにHIV感染の不安や、思い当たる過去があるのなら、
どうぞ早期にHIV検査を受けて下さい」

と言うことです。

HIV感染からエイズ発症までの潜伏期間が短くなった今、まさに、早期のHIV検査はあなたが
HIVに感染していれば救命的検査となります。

かつての私がそうだったように、あなたにとってもHIV検査を受けることはとても怖いことだと思い
ます。その不安な気持ちは私には痛いほどよく分かります。

でも、あなたが最も恐れるべきは、HIV検査の結果ではなく、検査を受ける前にいきなりエイズを
発症することです。

あなたがHIV検査を先延ばしにしても、あなたにプラスになることは何ひとつありません。
どうか、あなたも勇気を振り絞ってHIV検査を受けて下さい。

もし、あなたがどうしても保健所には行きたくない理由や、行きたくても行けない理由があるのなら、
あなたの自宅でHIV検査を受けることも可能です。

実は私も自宅でHIV検査を受けたのです。

いきなりエイズの発症を防ぐため、あなたにとって、最も早期にHIV検査が可能な手段を選んで下さい。

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