ここではHIV感染者、エイズ患者の治療の実態についてお話します。

かつてHIV感染は感染したことが分かっても有効な治療法はなく、観察医療が中心でした。数年の潜伏期間の後にエイズを発症するとおよそ2年くらいで死亡する患者がほとんどでした。25歳でHIVに感染すると、平均余命はわずかに7年だったのです。

しかし、色んな国でいろんなエイズ治療の研究が進められた結果、今日ではエイズ治療はめざましい進歩をとげています。それがHAARTと言う抗HIV治療法です。HAARTによって、25歳でHIVに感染しても平均余命は40年と言われており、更に余命が延びることが期待されています。

HAARTとは、Highly active anti-retroviral therapy の略です。この方法は多剤併用法であり、次の3種類の抗HIV薬を組み合わせて患者へ投与します。

管理人注記:現在ではART(anti-retroviral therapy)表記の方が一般的に使用されている。(2012/3/31)

◇NRTT:核酸系逆転写酵素阻害薬

◇NNRT:非核酸系逆転写酵素阻害薬

◇PI:プロテアーゼ阻害薬

管理人注記:現在では、上記3種類に加えて、インテグラーゼ阻害薬(INSTI)、侵入阻害薬の2種類が追加されている。詳細については、『抗HIV薬とはどんなものか?』参照のこと。(2012/3/31)

この3種類の薬は、それぞれの分類の中にまた複数の薬があり、合計で18種類が現在日本国内では使用認可されているそうです。

例えば、NRTTから2種類、NNRTから1種類、PIから2種類、合計で5種類の薬を1日1回投与する、といった使われ方をします。このため、このHAART療法はカクテル療法とも呼ばれています。飲むカクテルみたいに色々と混ぜるからですね。

なぜ、こんなふうに何種類もの薬を混ぜて投与するかと言えば、ある1種類だけの抗HIV薬品では、簡単にHIVに耐性が出来てしまうからだそうです。

しかもHIVは短期間で新しい形に変わり、薬が効かなくなってしまうのです。そのため、何種類もの薬を同時に投与して、薬の有効性を長期に確保するのです。

専門的なことはよく分かりませんが、NRTTとNNRTは、HIVが自分の遺伝子であるRNAを、感染した宿主細胞のDNAへ転写するのを阻害する働きがあります。つまり、遺伝子をコピーするための転写をじゃまして、コピーさせないようにする働きです。

一方、PIは転写された遺伝子を組み立てる段階を阻害する働きがあります。この3種類を同時に使用して、HIVが増殖する入り口と出口の両方を阻害し、複製を作らせないようにじゃまするわけです。

すなわちHAART療法とは、HIVそのものを攻撃して撃退するのではなく、コピーのじゃまをして増殖を抑える治療法です。新しいHIVを作らせないことによって、段々と体内のHIVを減らし、免疫力を回復させていきます。

この方法が1996年から1997年ころに世界中に広がり、めざましい効果を上げるようになったのです。アメリカでも日本でも劇的にエイズ患者の死亡数が減りました。その成果は次のグラフを見て頂けばよく分かります。

厚生労働省がweb上で公開している、1988年から2008年まで、20年間のエイズ患者の病変死亡者人数です。緑色の線が入っている1997年頃から死亡者が減っています。(ただし各医療機関からの任意報告の集計であるため、全ての死亡者数ではない)

エイズ病変死亡件数

1988年(平成元年)から2008年(平成20年)までのエイズ患者病変死亡者数(厚生労働省 エイズ動向委員会報告による

でも、HAARTにもまったく問題がない訳ではありません。この治療法はHIVの増殖を長期に渡って抑える効果はありますが、体内のHIVを根絶するものではありません。従って、患者は一生この薬を飲み続けなければなりません。

しかも、毎日決められた時間に決められた量を必ず飲まなくてはなりません。HAARTで投入される薬の血中濃度を常にある範囲に保つ必要があるのです。そうしないとHIVに耐性が出来てしまい、薬が効かなくなってしまうのです。

私たちが風邪薬や頭痛薬を飲み忘れるのとは全く意味合いが違います。これは患者にとってはとても大きな負担となります。

また、坑HIV薬には副作用があります。例えば、高脂血症による心筋梗塞や肝機能障害、腎機能障害などが報告されているそうです。

そもそもHAATR療法が始まって、まだ10年ちょっとしか経っておらず、長期服用による副作用はこれから研究が進むと思われます。

HAARTにはこうした問題点はありますが、しかしHIV感染症を致死的疾患から慢性疾患に近いものへ変えてくれました。HIV感染⇒エイズ⇒死、と言う図式を打ち破ってくれたのです。

そして大事なことは、このHAARTもエイズ発症前に開始した方がより有効だということです。

「HIV感染者の早期発見と社会復帰のポイント」(医薬ジャーナル社)という本の中に、国立国際医療センター エイズ治療・研究開発センターの 2007年のデータが紹介されています。

それによれば、HIVに感染してもエイズ発症前に治療を開始した人は120週(2.3年)後の生存確率が99%なのに対して、エイ ズを発症してから治療に入った人は120週後の生存確率が80%まで下がるのです。(生存確率はエイズ関連以外も含む全死亡による)

だから、もしもあなたにHIV感染の不安があれば、1日でも早く検査を受けて欲しいと思います。いきなりエイズの前に治療を開始することが重要なのです。

しかし、残念ながら日本ではHIVに感染した人の約30%が「いきなりエイズ」を発症しています。あなたには、『もっと早く、エイズ発症前に検査を 受けていれば・・・』と、後で悔やむことがないようにして欲しいと思います。

以上、エイズ治療についての概要をお伝えしました。ここでの結論は、HIVに感染しても早期に発見できれば、エイズの発症を抑え、今まで通りに学校や仕事を続けられる可能性が高いと言うことです。

あなたもご存知のように、保健所なら無料・匿名でHIV検査を受けることが出来ます。でも、あなたがどうしても保健所に行く時間がないとか、保健所のスタッフと顔を合わせるのが嫌なら検査キットでもHIV検査は可能です。大事なことはHIV感染の不安があればすぐに検査を受けることです。

ご参考までに私が自宅で使ったHIV検査キットをご紹介しておきます。あなたが今から検査を受けてみようと思なら、ぜひ一度のぞいて見て下さい。

■自覚症状なし!あなたの不安を解消するのはHIV検査だけです。
■STDチェッカータイプJ(男女共用)
あなたの自宅でいつでもHIV検査が可能です。早期のHIV検査は救命的検査です。

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