エイズ治療について

ここではHIV感染者、エイズ患者の治療の実態についてお話します。なお、このページを書いてから、かなり追加で情報や知識を仕入れました。関連記事として、このページの最後に並べましたので、これらの記事も合わせてお読み頂けると、より理解が深まると思います。

さて、かつてはHIVに感染したことが分かっても有効な治療法はなく、観察医療が中心であり、エイズを発症するとおよそ2年くらいで死亡する患者がほとんどでした。しかし、色んな国でいろんな治療の研究が進められた結果、今日ではエイズ治療はめざましい進歩をとげているそうです。それがHAARTと言う抗HIV治療法です。

HAARTとは、Highly active anti-retroviral therapy の略です。この方法は多剤併用法であり、次の3種類の抗HIV薬を組み合わせて患者へ投与します。

◇NRTT:核酸系逆転写酵素阻害薬

◇NNRT:非核酸系逆転写酵素阻害薬

◇PI:プロテアーゼ阻害薬

⇒「抗HIV薬とはどんなものか」:上の3種類の薬について、分かり易く解説しています。

この3種類の薬は、それぞれの分類の中に複数の薬があり、合計で18種類が現在日本国内では使用認可されているそうです。例えば、NRTTから2種類、NNRTから1種類、PIから2種類、合計で5種類の薬を1日1回投与する、といった使われ方をするようです。このため、このHAART療法はカクテル療法とも呼ばれています。飲むカクテルみたいに色々と混ぜるからですね。

なぜ、こんなふうに何種類もの薬を混ぜて投与するかと言えば、ある1種類だけの抗HIV薬品では、簡単に耐性が出来てしまうからだそうです。しかも短期間で新しい形に変わり、薬が効かなくなってしまうのです。そのため、何種類もの薬を同時に投与して、薬の有効性を長期に確保するのです。

専門的なことはよく分かりませんが、NRTTとNNRTは、HIVが自分の遺伝子であるRNAを、感染した宿主細胞のDNAへ転写するのを阻害する働きがあります。つまり、遺伝子をコピーするための転写をじゃまして、コピーさせないようにする働きです。一方、PIは転写された遺伝子を組み立てる段階を阻害する働きがあります。この3種類を同時に使用して、HIVが増殖する入り口と出口の両方を阻害し、複製を作らせないようにじゃまするわけです。⇒「感染すると、どうなる?」のページ参照

この方法が1996年から1997年ころに世界中に広がり、めざましい効果を上げるようになったのです。アメリカでも日本でも劇的にエイズ患者の死亡数が減りました。その成果は次のグラフを見て頂けばよく分かります。厚生労働省がweb上で公開している、1988年から2008年まで、20年間のエイズ患者の病変死亡者人数です。緑色の線が入っている1997年頃から死亡者が減っています。(ただし各医療機関からの任意報告の集計であるため、全ての死亡者数ではない)

1988年(平成元年)から2008年(平成20年)までのエイズ患者病変死亡者数(厚生労働省 エイズ動向委員会報告による

ただし、まったく問題がない訳ではありません。最大の問題は、この治療法も絶対ではない、と言うことです。HIVの増殖を長期に渡って抑える効果はありますが、体内のHIVを根絶するものではありません。従って、患者は一生この薬を飲み続けなければなりません。

また、薬の副作用もあります。例えば、高脂血症による心筋梗塞や肝機能障害、腎機能障害などが報告されているそうです。そもそもHAATR療法が始まって、まだ10年ちょっとしか経っておらず、長期服用による副作用はこれから研究が進むと思われます。

もちろん、新薬開発の研究は今後も継続されるし、新たな成果も期待出来ると思います。ただ、新薬開発には時間がかかるでしょう。決定的な治療薬がまだ見つかっていない現在、まずはHIV感染予防を第一に考えることが重要ではないでしょうか。HIV感染予防と言う観点、そして早期発見・早期治療と言う観点からも、HIV検査をもっと多くの人が受けるようになればと思います。

皆さんご存知のように、保健所なら無料・匿名でHIV検査を受けることが出来ます。また、どうしても保健所に行く時間のない人や、保健所のスタッフと顔を合わせるのが嫌な人は検査キットでも検査は可能です。自分が感染しているのではないかと不安な人は、出来るだけ早く検査を受けるよう、お勧めします。

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