感染すると、どうなる? その1
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このページでは、HIVが体内に入るとどうなるのか、感染後の増殖の仕組をお話します。
HIVが体内に入った後の免疫機能との戦いについては、色んな本を読みましたが、とても奥が深いものです。
素人である私がちょっと読んだ程度では到底深いところまで理解することは出来ませんでした。
そこで、私なりに理解した範囲でHIV感染後の状態を簡単にお話したいと思います。
もしかしたら、素人ゆえ勘違いした記述があるかも知れません。
その積りで読んで頂ければと思います。
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1.人間の免疫防御システム
人間は誰でもみな、免疫力というものを持っています。私たちの体内には、とても複雑で高度な免疫防御システムが出来上がっているのです。それは主に私たちの血液中にあります。血球成分の中の白血球がその中心です。白血球は、マクロファージ、顆粒球、リンパ球の3つの免疫部隊を持っています。
実は、私たちの周囲や体内にはそれこそ無数のウィルス、細菌が存在しています。特に細菌は、地球上に5×10の30乗も存在しているそうです。気が遠くなる数です。ですから、この地球上で最も数多く存在する生物は、実は細菌なのです。それゆえ、いや応なしに毎日大量の細菌が体内に入ってきます。
私たちの身体の中に、ウィルスや細菌などが侵入して来ると、白血球にある免疫防御システムがいっせいに侵入者に対して攻撃をしかけ、破壊してしまいます。そのおかげで、私たちは見た目何もなかったかのように健康で暮らすことが可能なのです。
では、先ほどお話した3部隊をもう少し詳しく説明しましょう。ただし、素人の私の理解には限界があるので、その積りでお読み下さい。
まず、次の図を見ながら説明を読んで下さい。
先ほども言いましたが、免疫3部隊は白血球の中にいます。マクロファージ、顆粒球、リンパ球の3つの部隊です。この顆粒球とリンパ球は、それぞれがまた3つの部隊に分かれています。軍隊で言えば、中隊、小隊、みたいなもんでしょうか。私がかってにそうイメージしているだけで、学問上はどうか知りませんけど。
まず、顆粒球中隊ですが、これは好酸球、好中球、好塩基球の3小隊に分かれます。このうち、好中球小隊が、体内パトロールと先制攻撃を担当しています。次に、リンパ球中隊ですが、こちらも3つの小隊に分かれています。それがNK細胞、B細胞、T細胞と呼ばれる3小隊です。更にこのうち、T細胞小隊は、役割が異なる3つのグループに分かれています。ヘルパーT細胞、キラーT細胞、サブレッサーT細胞の3つです。
ここまで読んでくれた人、もういい加減に嫌気がさしていませんか?何層にも続く防御システムがこんなつたない文章では理解出来ませんよね。申し訳ありません。確かに奥が深いのです。血液から始まって、例えばヘルパーT細胞までたどり着くには、
血液>血球成分>白血球>リンパ球>T細胞>ヘルパーT細胞
実に6層構造のシステムです。分かりにくいと思いますので、上の図を見て理解して頂けたらと思います。まぁ、私が作った図なので、あまり分かりやすくないかも知れませんが。とにかく、人間の免疫防御システムは高度でかつ複雑であり、それぞれ役割の異なるいくつかの大隊・中隊・小隊・グループが存在していると思って下さい。
では、それぞれがどんな役割を負っているのか、簡単に説明します。
まず、体内に入ってくるウィルスや細菌などの侵入者を常時体内パトロールで警戒しているのが、マクロファージと顆粒球です。顆粒球はその90%が好中球と呼ばれるものなのですが、これが強力なパトロール部隊であり、同時に攻撃部隊でもあります。侵入者を見つけた好中球は即座に攻撃に入ります。侵入者を取り込んで殺してしまうのです。しかし、相手が手強いとマクロファージの応援を依頼します。
マクロファージは助っ人に行くと同時に、相手の情報をT細胞へ伝えます。この連絡にはサイトカインやケモカインと呼ばれる分子量の小さな物質を放出して行います。しかし、好中球やマクロファージの手に負えない強敵となると、マクロファージから情報を受けたT細胞が応援に繰り出します。
T細胞の中の、ヘルパーT細胞は、免疫制御の司令塔の役割です。B細胞やキラーT細胞に攻撃命令を出します。そしてキラーT細胞はその名の通り、外部からの敵に直接取り付いて、殺してしまいます。いわば殺し屋部隊です。こんなふうに細胞自体で攻撃するので、細胞性免疫と言うそうです。
一方、B細胞は、ヘルパーT細胞からの指示を受けて、次々と抗体を作り出して血液中に放出します。この抗体がウィルスや細菌と戦います。キラーT細胞が自分自身で戦うのに対して、B細胞は、抗体という飛び道具で戦います。地対空ミサイル発射!みたいな感じですかね。こちらを体液性免疫と呼ぶそうです。
このように、実はキラーT細胞もB細胞も、ヘルパーT細胞からの指示を受けて初めて戦えるのです。指示なしではウィルスや細菌と戦えません。人間の戦闘部隊でも同じですね。司令塔からしっかり指示が下りてこなければ、前線部隊は右往左往して、混乱するばかりでまともに戦えません。これとまったく同じです。
そしてHIVは、恐ろしいことに、この司令塔であるヘルパーT細胞に取り付き、機能と数を減らしていきます。これが免疫不全に陥る原因となるのです。
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2.HIV vs ヘルパーT細胞
さて、では実際にHIVが体内に入ってきたら、先に説明した体内防衛軍とどんな戦争になるのかを見てみましょう。
まず、HIVに限らずウィルスはみな自己増殖機能がありません。感染して取り付いた細胞をうまく利用してどんどん自分のコピーを作って増えていくのです。でも、ウィルスはどんな細胞にも感染できるわけではありません。実は、ウィルスの種類はいろいろとありますが、それぞれのウィルスが感染できる細胞は限定されていて、それ以外の細胞には感染出来ないのです。ウィルスが細胞内に入れない、と言ったほうがいいかも知れません。
ウィルスが感染しようとする細胞の中に入るには、細胞の表面にそのウィルス用の目印、足がかりとなる構造物が必ず必要なのです。例えて言うなら、ウィルスはカギを1個持っています。そして、細胞にはカギ穴が1個あります。このウィルスのカギで開いてしまうカギ穴を持った細胞に感染することが出来るのです。カギ穴が合わなければ、細胞内に侵入することは出来ません。
HIVの場合には、免疫部隊の司令塔であるヘルパーT細胞に取り付くのです。ヘルパーT細胞には、CD4と呼ばれる目印が表面にあって、このCD4めがけてHIVが襲ってくるのです。HIVのカギは、CD4と言うカギ穴とピッタリ、合ってしまうのです。そして、ヘルパーT細胞の中にまんまと入りこんだHIVは、自分の遺伝物質をヘルパーT細胞の中に挿入します。
HIVはRANウィルスと呼ばれ、遺伝子はRNAしか持っていません。生物はDNDとRNAの2種類の遺伝子を持っているのですが、ウィルスにはRNAかDNAか、どちらか1種類しかないのです。そしてHIVはRNAだけを持っています。このRNAをヘルパーT細胞の中へ送り込むのです。
そして、HIVのRNA情報をヘルパーT細胞のDNAへコピーします。DNAを持たないHIVはこうしてヘルパーT細胞のDNAを利用して自分の複製を作ろうとするのです。
HIVの情報を書き込まれてしまったヘルパーT細胞は、どんどんHIVのパーツを作り始めます。あたかもHIVの遺伝子と言う設計図を与えられた部品製造工場みたいになってしまうのです。そして、次々と出来上がってくるパーツは細胞内で組み立てられ、新たなHIVが複製されていきます。
ひとつの細胞から1000個以上のHIVが複製されるのです。そして、それらの複製されたHIVは次の感染先に取り付きます。従って、この増殖スピードはそら恐ろしいものがあります。感染初期に1日で10億から100億個もHIVが増えるのはこういった増え方をするからです。
そして、HIVの複製を作らされてしまったヘルパーT細胞は、最後は破壊されてしまいます。
では、司令塔であるヘルパーT細胞のこの悲惨なやられ方を他の免疫部隊は援けに行かないのでしょうか。実は、行きたくても行けないのです。殺し屋部隊のキラーT細胞も、飛び道具が得意のB細胞も、司令塔であるヘルパーT細胞からの指示が来ないので見殺しにするしかないのです。こうしてHIVはヘルパーT細胞という司令塔を次々に攻撃し、自分のコピーを作っては増殖しながら、侵入した細胞を壊していきます。
しかし、人間の免疫系も、HIVが侵入してから数週間後に抗体を作って対抗します。ヘルパーT細胞は次々と破壊されるのですが、同時にまた新しいヘルパーT細胞が誕生もします。こちらも一日に何十億というヘルパーT細胞を作って応戦するのです。
しかし、この戦いはやがてHIVが優勢となり、免疫不全へと進行してしまいます。
5年、10年と長い戦いになることもあるのですが、残念で悲しいことに、最後には必ずHIVが勝ってしまうのです。
HIVとヘルパーT細胞の戦い、お分かり頂けたでしょうか。司令塔を攻撃して前線部隊を使えなくしてしまう・・・
何とも怖い話ではないでしょうか。
HIVは自分の力だけでは増殖することが出来ないため、宿主である人間の細胞を利用して増えていきます。
その増える時間を稼ぐため、なかなかエイズを発症させないような気がします。
感染したことに気付かずに、他の誰かにまた感染させてしまう。それがHIVの狙いのような気がします。
こうやって、どんどん自分のコピーを増やし続けていくのです。もっと詳しく知りたい人はこちらから⇒「HIVはこうして増殖する」
生物学上は、ウィルスは生物とは言えないそうですが、なんか冷酷でずるがしこい生き物ののような気がしてなりません。
私が素人だからこんなふうに思ってしまうのかも知れませんけど。
さて、体内では以上説明してきたような、免疫機能とHIVとのすさまじい戦いを繰り広げるのですが、では感染した身体にはどんな症状、異常となって現れてくるのでしょうか。「感染するとどうなる?その2」をご覧下さい。
また、最近の研究では、HIVが変異を起こしてキラーT細胞の攻撃をかわすようになり、その結果エイズの潜伏期間が短くなっていると言う報告もあります。詳細はこちらからどうぞ。⇒「エイズの潜伏期間が短くなる?」
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