厚生労働省では毎年1回、保健所におけるHIV検査の実態調査を行っています。

■HIV 検査相談に関する全国保健所アンケート調査報告書(平成27年度)

今回は平成27年度(2015年)の調査報告書から概要を抜粋であなたにお伝え致します。あなたが保健所でHIV検査を受けるとき、ぜひ参考にして下さい。

最初に、過去16年間の保健所におけるHIV検査の受検数の推移を見て頂きます。

保健所HIV検査
グラフ1.保健所におけるHIV検査・相談数

保健所におけるHIV検査は平成20年(2008年)をピークに下げ止まったまま横ばい状態が続いています。

 

◇保健所HIV検査結果の概要

平成27年度における保健所アンケート調査の概要を説明しましょう。まず、今回の調査は全国565箇所の保健所にアンケート依頼を行い、そのうち484箇所から回答がありました。(グラフ2)

保健所アンケート
グラフ2.保健所HIV検査アンケート

そしてアンケート回答のあった484箇所の保健所のうち483箇所でHIV検査を行っています。実施率は99.8%でした。

この前年のアンケートでもHIV検査の実施率は99.6%であり、100%ではありませんでした。

HIV検査をやっていない保健所って、その理由が何かを知りたいですね。

また、HIV検査を行った483箇所のうち119箇所でHIV陽性者がありました。

割合にすると24.6%です。

つまり、保健所の約3/4ではHIV陽性者が1年間に一人も出ていないことになります。

まぁ、HIV陽性者は都道府県別のデータを見てもかなり分布が偏っているので、それから思えば保健所でも多い、少ないは当然出て来るでしょう。

では保健所HIV検査のデータをもう少し中身を見てみましょう。(グラフ3)

保健所HIV検査概要
グラフ3.保健所HIV検査の概要

グラフ3からお分かりのように保健所におけるHIV検査の陽性者は254人で陽性率は0.29%でした。

また、平成27年の新規HIV感染者は1,006人でしたから、約25%が保健所のHIV検査で見つかったことになります。

そして、HIV陽性だった254人のうち238人にHIV陽性の告知を行ったということです。

と言うことは16人はHIV陽性だったのに、その検査結果を伝えることが出来なかったことになります。

実は前年もまた同じ16人に検査結果陽性を伝えることが出来なかったのです。

その16人がどうなったのか、気になりますね。

でも、匿名検査だからご本人が検査結果を聞きに保健所に来ない限り伝えることは出来ません。

次に陽性結果を伝えた238人のうち208人については専門機関で受診したことを確認できたそうです。

本来はこの数字も限りなく100%確認にしたいところですよね。

 

◇特設検査機関におけるHIV検査の概要

さて、次は特設検査機関におけるHIV検査です。

特設検査機関というのは各自治体が独自にHIV検査を行うために開設したもので、例えば東京都南新宿検査・相談室などが該当します。

特設検査機関は全国に24あって、このうち20箇所からアンケート回答がありました。

そして70%にあたる14箇所でHIV陽性者が見つかりました。(グラフ4)

特設HIV検査アンケート
グラフ4.特設検査機関HIV検査アンケート

HIV検査に特化して開設されているせいでしょうか、保健所に比べるとHIV陽性率が高いようです。次のグラフ5をご覧ください。

特設HIV検査概要
グラフ5.特設検査機関のHIV検査概要

保健所のHIV陽性率が0.29%だったの対して特設検査機関では0.5%と2倍近くも多くなっています。

もっとも特設検査機関は新宿みたいな比較的他よりHIV陽性者の多い地区に設置されているので、当然と言えば当然です。

 

◇通常検査と即日検査の割合

さて、次は保健所における通常検査と即日検査の割合です。(特設検査機関は除く)グラフ6をご覧ください。

保健所HIV検査通常・即日
グラフ6.保健所HIV検査通常・即日の割合

●通常検査 採血をして1週間から10日ほど後に検査結果を再度聞きに行く必要あり。

●即日検査 採血の後1時間ほどで検査結果が分かります。1回だけで済みます。

2014年の調査では、

●通常検査のみ 30.8%

●即日検査のみ 41.8%

●通常+即日検査 27.4%

でした。

これからすると微増ではあるけど即日検査が増えています。

でも、HIV検査の利便性を向上させるべく、もっと増やせないものでしょうか。

どこの自治体も人件費、設備費の予算確保が難しいのかも知れませんね。

 

 

◇保健所のHIV検査利用時間帯

私の最寄りの保健所ではHIV検査は平日の昼間のみ、それも月に2回だけです。では全国的にはどうなのでしょうか。グラフ7をご覧ください。

保健所HIV検査利用時間
グラフ7.保健所HIV検査の利用時間帯

まず、前年度2014年のデータも見てみましょう。

●平日昼間のみ 49.7%

●平日夜間検査 35.3%

●土日検査 15.0%

ここでもわずかではありますが、平日夜間検査が3%近く増え、平日の昼間だけの検査は2%ほど減っています。

少しかも知れませんが利便性が高まっています。

やはりここでも費用と利用者数の問題があるのでしょうね。

 

◇HIV以外の性感染症検査

案外知られていないのが、保健所でHIV以外の性感染症検査も無料・匿名でやってくれることです。

私も2010年に初めて保健所でHIV検査を受けたときには知りませんでした。

グラフ8のように、85.1%の保健所ではHIV以外の性感染症検査を行っています。

保健所性感染症検査
グラフ8.保健所でHIV以外の性感染症検査をしているか

「行っている」は前年の2014年が85.7%でしたから、ほぼ横ばいで変わらずです。

では実際にはどんな性感染症の検査を行っているのでしょうか。それがグラフ9です。

保健所性感染症検査詳細
グラフ9.保健所で行うHIV以外の性感染症検査

グラフ9からお分かりの通り、保健所では梅毒、クラミジア、淋菌、B型肝炎、C型肝炎、HTLV-1の検査を受けることが出来ます。

私が調べた限り、梅毒、クラミジア、淋菌はHIVとの同時検査が条件で無料・匿名検査が可能です。

また、B型肝炎、C型肝炎、HTLV-1については匿名不可だったり、一部費用自己負担の保健所もあるようです。

あなたの最寄りの保健所でご確認下さい。

 

◇未成年者のHIV検査

では最後に未成年者のHIV検査です。HIV検査は匿名検査であり個人情報を出す必要はないのですが、年代は聞かれます。そこで10代と答えれば未成年であることが分かります。

あなたが未成年で保健所へHIV検査を受けに行った場合、どんな対応になるのでしょうか。それがグラフ10です。

保健所HIV検査未成年対応
グラフ10.保健所における未成年者の検査希望の対応

2014年の調査では、「希望通り検査」が75.4%でした。今回は3%ほど増えています。

このアンケートの「特別な配慮」が具体的に何を指すのか不明です。ここ、知りたいですね。

普通に考えると検査結果が陽性だったとき、通常よりも手厚いフォローを行う、みたいな配慮でしょうか。

未成年であるがゆえに自分がHIV陽性と告知されてパニックになることを防ぐための配慮ではないかと思います。

管理人注記(2017年2月4日)

追跡調査で特別な配慮の内容が分かりました。以下の通りです。

●陽性時には親にも説明
25件
26.9%

●保護者の同意を得られているか(確認する?)
18件
19.4%

●丁寧なカウンセリング
13件
14.0%

●年齢により対応を考える
12件
12.9%

以上のような対応です。

さて、今回は平成27年度の全国の保健所や特設検査機関におけるHIV検査の実態を厚生労働省の報告書から一部抜粋でご紹介しました。

厚生労働省エイズ動向委員会の報告によれば、依然としてわが国ではHIV感染が分かったときにすでにエイズを発症している人が約30%います。

抗HIV治療が進歩してエイズで亡くなる人は激減していますが、それでもなおエイズ発症前にHIV感染が分かった方が生存率は高いし後遺症のリスクも減ります。

早期のHIV検査は救命的検査となります。どうぞあなたもHIV感染の不安があれば保健所でHIV検査を受けて下さい。

それでもどうしても時間がないというあなたは、自宅で使えるHIV検査キットもあります。決してHIV感染不安を放置しないで下さいね。

関連記事:保健所HIV検査2014年

関連記事:保健所HIV検査2013年

関連記事:保健所HIV検査2012年

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