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この『薬害エイズ「無罪判決」、どうしてですか?』と言う本は、前回ご紹介した『薬害エイズ事件の真実』と言う本の対局に位置する本です。

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◇本のタイトル:『薬害エイズ「無罪判決」、どうしてですか?』

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◇筆者:櫻井よしこ他    中央公論新社(2001年)   ¥700+税

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◇内容

薬害エイズ事件、及び安部医師の裁判については『薬害エイズ事件の真実』で詳しく書きましたので、そちらを読んで下さい。ここでは改めて説明することを省きます。

『薬害エイズ事件の真実』が、安部医師の弁護団にいた弁護士らによって書かれた本で、安部医師完全無罪を主張するのに対して、この本は全く逆の立場で安部医師有罪を主張しています。

安部医師が業務上過失致死罪によって起訴されたのが1996年、一審無罪判決が出たのは2001年でした。そして、この本が出版されたのも2001年です。つまり、裁判所が出した「無罪判決」に対して、まさに本のタイトル通り「どうしてですか?」と問いかける内容になっています。

筆者は、ジャーナリストの櫻井よしこ氏を始め、医師、弁護士、大学教授などの共著となっています。

【目次抜粋】

はじめに

薬害エイズ事件と二つの判決・・・ジャーナリスト*山科武司

判決はどう受けとめられたのか・・・ジャーナリスト*櫻井よしこ

「無罪判決」の論調を検証する・・・・弁護士*大井暁

薬害を引き起こす科学者の不正・・・・医師*浜六郎

安部医師の無罪理由はどこにあるのか・・・・広島大学教授*甲斐克則

専門科の責任・・・・弁護士*清水勉

以上の6氏がそれぞれの視点で安部医師無罪の判決について、その問題点を指摘しています。6氏とも安部医師有罪を確信しているので、その論旨は当然ながら安部医師に過失があったとするものです。

一審無罪判決の根拠となった、当時の医療水準では危険予知は不可能であった、とする判断が、あまりにも医者や医療機関の側に偏り過ぎているとの指摘が6氏の共通点です。

裁判所や弁護団の主張は、極端に言うと死者が少ない段階では危険予知は難しく、もっと大勢患者が死んでいないと危険とは見なされない。それなら、いったい患者は何人死なねばならないのか。それが医療従事者として患者に向き合う姿勢なのか。こういったことを、6氏はそれぞれの立場、観点から問うているのです。

弁護側が、「亡くなった患者には同情するが、それと医師の法的責任は別問題である」、としているのに対し「あまりに医師として無責任であり、厳しくその責任が問われなければならない」と主張する6氏とは決定的に対立しています。

さて、私が読んだ感想なのですが、結論は「薬害エイズ事件の真実」を読んだときと同じです。安部医師が本当は有罪なのか、それは分かりませんでした。本に書かれてあることが全て真実かどうか、私には知るすべもない。

ただ、同じ事件でも立場が異なると、こうも主張が違うものかと思い知らされました。この2冊の本を同時に、交互に読み進めたのですが、まるで裁判で検察側、被告側の主張を聞いているようでした。

裁判も結局、安部医師の死去により一審で終わってしまいました。仮に安部医師が生きていて、二審でどんな判決が出ても、恐らく最高裁までいったと思います。いったい、最高裁ではどう判断したでしょうか。

この本の前書きに、本を読んだあとに、「安部医師が有罪か無罪か、あなたに判定して欲しい」と書かれてあります。もし、この本だけを読んで直後に判定すれば、かなりの確度で「有罪」と判定していたのでしょう。でも、「薬害エイズ事件の真実」と言う対局にある本も読んでいるので、そう単純には判定出来ません。

薬害エイズ事件、安部医師についての色んな知らなかったことが分かりました。有罪だと思う理由も、無罪だと思う理由もありました。しかし、最後の判定までは到達出来なかった、と言うのが私の正直な感想です。

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◇オススメポイント
薬害エイズ事件の真相に興味を持つ人、もっと深く事件を知りたいと思う人にオススメです。また、最近になって「薬害エイズ事件の真実」を読んだ人にも特にオススメです。なぜなら、「薬害エイズ事件の真実」を読んで、安部医師が無罪だと思うようになったとしたら、その前にぜひこの本も読んでから、判断して欲しいからです。

物事には、必ず両面があるものです。どちらか一方だけしか見ない、知らないと、判断を間違うこともあり得ます。

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◇管理人の満足度(あくまでも主観による独断と偏見の採点です)・・・・80点
「薬害エイズ事件の真実」と同様、色んな新しい側面を知ることが出来ました。でも、最後の結論、安部医師は有罪、なのかどうか、それは私には分かりませんでした。

関連記事:「薬害エイズ事件」・・「エイズの歴史」・・「ひと目でわかるエイズ年表」

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