TOP エイズ関連オススメ図書>ぼくもあなたとおなじ人間です。

今回ご紹介するのは、南アフリカ共和国における、あるHIV陽性少年の短く終わってしまった人生のドキュメンタリーです。作者はアメリカ人ジャーナリストのジム・ウーテンです。

あなたもご承知のように南アフリカ共和国は世界中で最もHIV感染者が多い国と言われています。人種差別と貧困の中で広がり続けるHIV感染。生まれたときからHIV感染者としての運命を背負った一人の少年が国中を感動させたそのスピーチとは。

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◇本のタイトル:ぼくもあなたとおなじ人間です。-エイズと闘った小さな活動家、ンコシ少年の生涯-

エイズと闘った小さな活動家

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◇著者:ジム・ウーテン 訳者 酒井泰介 早川書房(2006年) ¥1,600+税

アメリカ人ジャーナリスト。ABCニュース「ナイトライン」の上級特派員。2002年に優れたジャーナリズムに贈られる「ジョン・チャンセラー賞」を受賞。また、本作品にて2004年-2005年度「ロバート・F・ケネディ賞」を受賞した。

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◇内容

1989年、南アフリカ共和国の貧しい土地に住むズールー族に一人の男の子が生まれます。男の子の名前はゾラニ・ンコシ。ンコシは生まれたときからHIVに感染していました。この国では珍しくもない母子感染です。

やがてンコシ少年は女性活動家ゲイル・ジョンソンに引き取られ、愛情豊かに育てられます。ゲイルとンコシは周囲の人種差別、エイズ差別と闘いながら自分たちの道を切り開いていきます。

その偏見との闘いぶりはやがて周囲の人々の関心を集め、反エイズ運動のシンボルとなっていきます。そして、2000年南アフリカ共和国のダーバンで開催された第13回国際エイズ会議において、11歳のンコシ少年はスピーチを行うのです。サッカー場を埋め尽くした大勢の関係者や国中が注目するその前で、ンコシ少年はしっかりとした声でこう言ったのです。

『ぼくもあなたとおなじ人間です。』

『ぼくたちも人を愛し、笑い、傷つき、泣き、生き、そして死ぬんです。』

『どうか僕たちを拒まないでください。ぼくたちだってみんな人間なんです。あなたとおなじ、人間です。』

観衆は総立ちとなり、拍手と涙と感動で包まれます。

この本の中でンコシやゲイルの対局として登場するのが、当時の南アフリカ共和国大統領ターボ・ムベキです。ムベキはンコシ少年がスピーチを行い、人々が感動の嵐にいる中、席を立ちます。ムベキは大統領として抗HIV薬の使用を認めず、そのために多くのエイズ患者が死に、ンコシと同じような母子感染を生みました。

私はこの本を読む前からムベキの驚くべきエイズ思想を色んな記事で読んでいました。ムベキは抗HIV薬を使わせなかったばかりか、HIVとエイズの関係さえも否定したのです。

当時、南アフリカ共和国ではすでに400万人のHIV感染者がいました。1日あたり1,700人が新にHIVに感染し、妊婦の5人に1人はHIV陽性者でした。そのため、毎年7万人以上の母子感染によるHIV陽性出産が生まれ、毎月7,000人の赤ちゃんが死んでいたのです。

こうした想像を絶する劣悪なエイズ環境の中、12歳で死んでいったンコシ少年と養母ゲイルにスポットを当て、南アフリカ共和国におけるエイズの現実を淡々とあぶりだしています。

とても悲しいンコシ少年の死で終わるのですが、決して涙を誘うだけの記事にはなっていません。そもそも、最初からハッピーエンドが望めない本なのです。悲しい結末は百も承知で読み進む本なのです。日本から遠く離れた南アフリカ共和国で起こったことを知ることにどんな意味があるのか、そこから考えさせられる一冊でした。

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◇オススメポイント

あまりに身構えてしまうと最後まで読めないかも知れません。まずはHIV感染者が世界中で最も多い国がどんな実態を抱えているのか、それを知るだけの積りで読んでみるのがいいと思います。人種差別や貧困といった背景がエイズを広める要因になっていることが分かってきます。

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◇管理人の満足度(あくまでも主観による独断と偏見の採点です)・・・・90点

正直、私には翻訳が読み辛かったです。言い回しや文章の運びが気になって落ち着いて読めませんでした。もし、私が英語に堪能で、原文のまま読めたらもっと理解は深まったかも知れません。

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あなたにとって早期のHIV検査がどれほど大事か、ぜひ次の記事をご覧ください。HIV検査を遅らせることであなたにプラスになるこは何ひとつありません。いかに危険ばかりが大きくなっていくか、お分かり頂けるはずです。

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