TOP > エイズ関連オススメ図書>エイズのなにが恐いのか
今回ご紹介する本は1992年7月に出版された「エイズのなにが恐いのか」という本です。1992年と言えば、その数年前に長野、神戸でエイズパニックが起こり、HIVは誰でも性行為によって感染すると分かってきた頃です。
ただし、まだまだ正しい知識、情報が不足しており、HIV感染者やエイズ患者に対する偏見と差別が大きく立ちはだかっていた時代です。この本を読むことで、かつてのエイズに対する意識がどうだったのかを知ることが出来ます。そして、本の出版から20年を経て、エイズに対する偏見や差別はどうなったのか、改めて考えさせられる一冊です。
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◇本のタイトル:エイズのなにが恐いのか
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◇著者:水野 肇 中央公論社(1992年) ¥1,000
医事評論家。出版当時、筆者は厚生省公衆衛生審議会エイズ対策委員会委員をされていました。日本でも急速にエイズが広まる可能性を感じた筆者は、感染拡大防止には正しいエイズの知識、情報が必要不可欠だと思い、急きょ本書の執筆にかかったのです。
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◇内容
1992年当時、新規のHIV感染者は442人、新規のエイズ患者は51人でした。合計で約500人です。その2年前、1990年には合計で97人でしたから、まさに急増していた時代です。
同書によれば、
●お風呂やトイレの共有からHIVに感染すると思っている人・・・40%
●HIV感染者はエイズ患者を刺した蚊から感染すると思っている人・・・62%
●HIV感染者と同じ鍋や皿で料理をつっつくと感染すると思っている人・・・28.5%
●HIV感染者と同じコップで回し飲みすると感染すると思っている人・・・44.8%
このような認識だったのです。従ってHIV感染者、エイズ患者を見る世間の目は厳しく、村八分状態です。実際、HIVに感染したこをが判明した青年に対して、両親が家を出て行って欲しいと頼む実例が書かれています。その青年は家族に迷惑をかけないよう、アメリカに渡るのです。
1990年に日本の男性大学生を対象に行った調査では、
●エイズ患者を社会的に隔離すべきだと思う・・・・23%
だったそうです。ちなみに同時に調査を行ったアメリカの大学生は隔離すべきと答えたのは男女ともに4%台だったそうです。日本ではHIV、エイズの怖さばかりを煽り立て、感染ルートや予防に関する正確な情報が欠落していたのです。
こうしたHIV感染者に対する差別や偏見は、HIV感染症が致死的疾患であり、エイズ発症後2年以内にほぼ100%死んでしまう病気だったからです。
この本が出てから20年。現在ではHIV感染症は致死的疾患ではなくなりました。薬を飲むことでエイズ発症を抑えることができ、慢性疾患に近い病気とまで言われています。
そうした変化に伴って世間の関心は薄れ、HIV検査を受ける人も減少したままです。しかし、その一方でHIV感染者、エイズ患者に対する偏見や差別は完全には払しょくされず、未だに人権侵害の問題としてニュースになることがあります。
20年前も今も変わらず大事なことは、エイズを他人事だと思わず自分自身にも身近な問題だと認識すること、そしてエイズに対する正しい知識と情報を手に入れること、この2つであることが分かります。
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◇管理人の満足度(あくまでも主観による独断と偏見の採点です)・・・・100点
恐らく出版された20年前はかなり画期的な本だったのではないでしょうか。あやふやな知識、情報で差別や偏見を持っていた人がこの本によって考え直したことでしょう。
私自身を振り返ってみると、この本が出版された1992年当時は、エイズなんて完全な他人事、遠い世界のお話だと思っていました。直接差別や偏見を持っていなくても同類であったことは間違いありません。
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