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今回ご紹介するのは、中国におけるHIV/エイズの実態をNHKの番組プロデューサー、ディレクターがドキュメントとして書籍化した一冊です。

◇本のタイトル:HIV/エイズと中国 感染者たちの挑戦

◇編集者:濱崎憲一  伊吹 淳  子どもの未来社(2006年) ¥780+税

濱崎氏は、NHK番組制作局・文化福祉番組ディレクター。伊吹氏は、NHK番組制作局・番組開発チーフプロデューサー。

 

◇内容

2005年6月12日。NHKで、あるスペシャル番組が放送されました。

「生きるために声をあげる ~中国・HIV感染者たちの挑戦~」

この番組を製作するため、2005年1月から40日間、濱崎氏、伊吹氏は四川省に取材に入ります。そこで両氏が見た中国におけるHIV感染者、エイズ患者への差別と偏見の実態。

このドキュメンタリーは、HIV感染者が猛烈な勢いで増加する中国にあって、言葉では言えないほどの差別や偏見に苦しんだHIV感染者たちが、自ら演じる劇を通して誤解を解いていく姿を追ったものです。

2004年当時、中国のHIV感染者は推計で84万人と言われていました。その急激な増加ぶりから、このままのペースでは2010年にはHIV感染者は1000万人に達すると予想されていたのです。(国連合同エイズ計画の予想による)

当時はそんな予想だったのですが、実際には、2009年12月の中国政府発表ではHIV感染者の数は32万人にとどまっています。ただし、国連合同エイズ計画の推計では74万人とみられており、中国政府の公式発表とは2倍以上の開きがあります。

何しろ広大な面積と人口の国ゆえ、正確なデータを把握することは極めて困難でしょう。しかもHIV感染者は表に出ている数の何倍も隠れているのが常です。

中国におけるHIV感染者の、感染ルートには特徴があります。それは、麻薬患者の注射器使いまわしと、売血による感染が多いことです。

タイ・ミャンマー・ラオス国境にまたがるケシの一大産地に近い、四川省、雲南省ではヘロインが安く手に入り、若者の間では大流行していたのです。彼らは注射器の回し打ちを行い、それで次々とHIVに感染していきました。

また、農村部では都会との経済格差が広がる一方で、生活は苦しく、自分や家族の血を売って現金収入を得ようとする農民が大勢いました。

農村部では、ひと月の収入が日本円で3万円平均なのに、1回売血すれば500円から600円の現金を手にすることが出来ます。2日に1回のペースで売血を繰り返すと、ひと月に7500円から9000円の収入になります。

では、なぜ多くの農民が売血でHIVに感染したのでしょうか。売血では「成分献血」が採用されていました。採血場では、採取した血液を遠心分離器で血漿と赤血球に分離し、血漿のみを取り出して赤血球はまた元の提供者に戻していたのです。

ここで問題だったのは、この工程で、数人から数10人分の血液をまとめて遠心分離機にかけていたことです。血漿を取り出したあとの赤血球を戻す時、本人以外の他人の赤血球が混じっていたのです。この中にはHIVに汚染された赤血球が混じっていました。また、注射器も使いまわしされることがありました。

少し古いデータですが、2003年の中国におけるHIV感染者は43.9%が注射器による薬物使用であり、24.1%は売血による感染です。異性間性行為接触が19.8%、同性間性行為接触が11.1%となっています。(2005年国連合同エイズ計画報告書より)

このドキュメンタリーに登場する若者たちもまた、薬物の注射器と売血によってHIVに感染しました。そして、2005年当時の中国においては、HIVやエイズに関する知識、情報は極めて少なく、厳しい偏見と差別の嵐が吹き荒れていました。

HIVが空気感染すると思われ、隣人はおろか、家族にまで見離されて、住む場所や仕事を失い、生きることさえ危うい状況に追い込まれていくのです。特に麻薬に手を出して感染したHIV感染者に対しては、自業自得だと思われていました。

そんな差別と偏見の中、ある若者たちが立ち上ります。自分たちで演劇をやって、劇を通して周囲のみんなにHIVやエイズの本当の知識を持ってもらおうとする試みを始めたのです。HIV感染者やエイズ患者といっしょに生活しても感染しないことを分かってもらおうとしたのです。

この試みは困難を極めます。何しろ演じる役者がみなHIV感染者、エイズ患者なのです。満足な治療も受けられず、最悪の体調の中で練習をします。その間も容赦なく差別と偏見によって妨害されます。

そんな苦難を乗り越えて、ついに演劇は公演されるのです。そして、その劇を見た人々は、HIVやエイズの本当の情報を知り、段々と差別、偏見を捨てて行くのです。

【目次抜粋】

第1章 HIV感染者爆発-揺れる中国

第2章 感染者たちへの凄まじい差別

第3章 差別と闘う-感染者たちの劇づくり

第4章 生きるために声をあげる

第5章 共生への道

このドキュメンタリーの終わりは、決してハッピーエンドではありません。差別や偏見が全てなくなった訳ではないのです。そう、それは中国だけの話ではなく、私たちが住む日本においても同様ではないでしょうか。

 

◇オススメポイント

あまり情報が伝わってこないお隣中国のエイズの実態。あれだけの人口を抱える大国で、エイズが爆発的に広がったら・・・これはとても隣国だけの問題で済むはずがありません。今や中国と日本は経済的にも非常に密着度が高くなっています。多くの日本人が中国各地に働きに出ています。また、中国からも大勢の観光客が日本を訪れます。

こんな人間の往来が激しい中国と日本の関係において、中国のエイズの実態は・・・。それを知りたい人へ、ほんの部分的な切り口かも知れませんが、中国の実態が見えてきます。

 

◇管理人の満足度(あくまでも主観による独断と偏見の採点です)・・・・90点

ドキュメンタリーとしての内容は十分満足出来る、100点です。ただ、結局のところ、今現在の中国の実態はどうなんだろうか。その疑問が残り、大きくなります。この本の続編を出してもらいたいです。その叶わぬ願いがマイナス10点分です。

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