TOP エイズ関連オススメ図書>HIV感染者の生存・生活・人生

今回は、「HIV感染被害者の生存・生活・人生」と言う本をご紹介します。この本は10年前に出版された本なのですが、最近手にして非常に心打たれました。

内容は、血友病の患者さんたちがHIVに汚染された非加熱製剤を投与されてHIVに感染、エイズを発症した薬害事件を扱った本です。ただ、他の本と違うのは、被害にあった血友病患者さんたちがアンケートに答える形でリサーチに協力されており、生々しい、そして正確な情報が満載されている点です。

薬害エイズの知らなかった側面を教えてくれた一冊です。

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◇本のタイトル:HIV感染被害者の生存・生活・人生

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◇編集:山崎喜比古  瀬戸信一郎  有信堂 (2000年) ¥2,300+税

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◇内容

【目次抜粋】

1章 日本の薬害HIV感染被害の歴史と現状

2章 新しいスタイルと視点の調査研究

3章 薬害HIV感染者の属性と健康状態像

4章 HIV医療体制のあり方

5章 医療への参加とセルフケア

6章 就労・就学・社会参加と生計

7章 差別及び差別不安とその影

8章 サポートネットワークと病気開示

9章 ストレス対処能力SOCと生きがい

10章 HIV感染の告知と説明

11章 被害認識と感情

12章 被害構造と救済・恒久対策

13章 今回の調査研究の意義と今後の課題

まず、編者のお二人をご紹介しておきます。瀬戸 信一郎氏は「はばたき福祉事業団」調査研究事業担当者です。「はばたき福祉事業団」と言うのは、1997年に薬害エイズの被害者の皆さんによって設立され、被害者の救済事業、調査や研究事業を行うものです。被害者の医療・福祉・社会生活の向上を目的として活動を行っています。

山崎 喜比古氏は東京大学大学院医学系研究科健康社会学教室に在籍されていました。瀬戸氏、山崎氏の編集によるこの本は、薬害HIV感染の被害者の実態を明らかにし、問題の原因を深く掘り下げると同時に、あくまでも患者、被害者の視点から本質を見極めようと試みています。

被害の当事者であるHIV感染被害者と、医療研究者がチームを組んで実態究明の調査にあたりました。1998年5月から10月にかけて、血友病のHIV感染被害者500人にアンケートを依頼し、285人から回答を得ました。

そのアンケート用紙は30ページにも及び、ご本人の健康状態はむろん、家族、学校、職場などの環境から人間関係、更には主治医や病院における対応がどうだったのかも質問しています。その回答内容には、薬害エイズ事件の被害者でしか分からない苦難の日々が回答として寄せられています。

特に「10章 HIV感染の告知と説明」での回答には胸を打たれます。もしも自分が当事者だったら・・・そう思うと、当時の医療関係者の対応は到底許せない、憤りを覚えてしまいます。人の命を何と軽く扱っていることか。そう思わざるをえません。

薬害、エイズのみならず、様々な健康被害者や患者、障害者の生活、そして保険医療福祉全般に問題提起を行う一冊となりました。

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◇オススメポイント

いわゆる「薬害エイズ事件」と呼ばれる悲惨な事件の本質が何だったのか。この一冊で少し分かったような気がします。今の日本で、いつまた第二の薬害エイズ事件が起こらないと言い切れるでしょうか。ちょっと怖くなる一冊でもあります。

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◇管理人の満足度(あくまでも主観による独断と偏見の採点です)・・・・100点

今から10年前に、こんな本が出されていたことを知りませんでした。過去の事件だと過去形で終わりに出来ない真実が見えてきます。もしも自分が被害者の立場だったら・・・そう思って読むとやはり、怖くなる一冊です。

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