平成27年(2015年)のエイズ動向(速報値)をお届けします。

2月29日に厚生労働省エイズ動向委員会から平成27年第4四半期のエイズ動向報告が発表されました。

これで第1四半期から通期でデータが揃ったので合計し、ここに平成27年(2015年)エイズ動向速報値としてお届けします。

なお、平成27年第4四半期のエイズ動向はこちでどうぞご覧下さい。

■平成27年第4四半期(10月~12月)

(本ページのソースはこちら⇒『エイズ動向委員会報告』)

【 目 次 】

■エイズ動向委員会 委員長コメント

1.エイズ発生動向の概要

2.HIV感染者/エイズ患者の報告状況

3.HIV感染者/エイズ患者の感染ルート

4.HIV感染者/エイズ患者の年齢別分布

5.いきなりエイズ

6.都道府県別の新規HIV感染者とエイズ患者

7.保健所におけるHIV抗体検査件数

8.献血件数と陽性件数

HIV感染者、エイズ患者の動向データが、あなたのHIV感染予防、エイズ発症予防に役立てば幸いです。

 

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■エイズ動向委員会 委員長コメント

厚生労働省エイズ動向委員会の岩本委員長からのコメントです。主な内容を箇条書きにしてみます。

●新規HIV感染者、新規エイズ患者、共に2014年よりも減少した。

●新規HIV感染者、新規エイズ患者の感染ルートでは性的接触が全体の8割以上を占め、特に男性同士の性的接触による感染が多い。

●HIV感染が分かった人の3割はエイズを発症していた。保健所の無料・匿名検査を利用してもらいたい。

このような内容のコメントがありました。

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1.エイズ発生動向の概要

まずは、平成27年に報告された新規HIV感染者と、新規エイズ患者の件数をご紹介します。

表1をご覧下さい。

平成27年(人) (昨年)
1.新規HIV感染者 990 1,091
2.新規エイズ患者 423 455
合計 1,413 1,546

(表1)平成27年新規HIV感染者・エイズ患者

平成27年の新規のHIV感染者は、平成26年よりも101件減って990件でした。

これは、過去9番目に多い数字となっています。ちなみに過去最多は平成20年の1,126件となっています。

一方、平成27年における新規のエイズ患者は、平成26年よりも32件減って423件でした。

これは過去8番目に多い数字となっています。こちらの過去最多は平成25年の484件でした。

また新規HIV感染者と新規エイズ患者の合計件数は1,413件でした。

これは過去9番目で最多は平成25年の1,590件でした。

こうした数字だけを見ると、平成27年においてはHIV感染者は減少したのかなと思えます。

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2.新規HIV感染者/エイズ患者の報告状況

では、ここからもう少し詳しく平成27年の動向を見て行くことにしましょう。

まずは、新規HIV感染者と新規エイズ患者の報告件数を見てみることにします。平成12年からの推移でグラフ化しています。(図1)

HIV・エイズ推移
(図1)新規HIV感染者・新規エイズ患者の推移

新規HIV感染者は平成18年以来、8年ぶりに1000件を下回りました。

もっとも今回の990件はあくまで速報値なので正式版が出たときにどうなっているか確認する必要があります。

今回の速報値のレベルではHIV感染者もエイズ患者も減少傾向にあります。今後このまま減少傾向が続いてくれるといいのですが。

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3.新規HIV感染者/エイズ患者の感染ルート

3-1)新規HIV感染者の感染ルート

平成27年における新規HIV感染者の感染ルートは以下の通りでした。

感染ルート 件数 比率(%)
異性間性的接触 193 19.5%
同性間性的接触 681 68.8%
静注薬物使用 2 0.2%
母子感染 1 0.1%
その他 22 2.2%
不明 91 9.2%
合計 990 100.0%

(表2)新規HIV感染者感染ルート

同性間の性的接触が68.8%を占めています。この感染ルートは全て男性でした。ただし、ここで言う同性間性的接触者は、同時に異性間の性的接触を持つ人を含みます。

また、母子感染が1件報告されており、これで3年連続1件発生したことになります。

出産前に母親のHIV感染が分かっていれば母子感染は防げます。この1件はどういった事情だったのでしょうか。

表2をグラフにしたものが図2です。

HIV感染ルート
(図2)新規HIV感染者感染ルート

新規HIV感染者の88%が性的接触によって感染しています。いかにセーファーセックスが重要かお分かり頂けると思います。

3-2)新規エイズ患者の感染ルート

平成27年における新規エイズ患者の感染ルートは以下の通りでした。

感染ルート 件数 比率(%)
異性間性的接触 94 22.2%
同性間性的接触 248 58.6%
静注薬物使用 3 0.7%
母子感染 0 0.0%
その他 6 1.4%
不明 72 17.0%
合計 423 100.0%

(表3)新規エイズ患者感染ルート

表3からお分かり頂けるように、感染ルートの58.6%は同性間性的接触です。このルートは女性は0件でした。

表3をグラフにしたものが図3です。

エイズ感染ルー
(図3)新規エイズ患者感染ルート

新規エイズ患者の80.8%が性的接触による感染です。感染ルート不明が17%もあるので、感染ルートが分かっているものはほとんどが性行為感染だと言えます。

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4.HIV感染者/エイズ患者の年齢層

それでは、新規HIV感染者とエイズ患者は、どんな年齢層が多いのでしょうか。

年齢層別に見てみましょう。

4-1)新規HIV感染者の年齢層分布

新規HIV感染者(人) 比率(%)
10歳未満 1 0.1
10-19 7
0.7
20-29 313 31.6
30-39 323 32.6
40-49 238 24.0
50-59 69 7.0
60-69 30 3.0
70歳以上 9 0.9
不明 0 0.0
合計 990 100.0

(表4)新規HIV感染者の年齢層分布

表4をグラフにしたのが下の図4になります。グラフの方がずっと分かりやすいですよね。


HIV年齢
(図4)新規HIV感染者の年齢層分布

新規のHIV感染者は20代から40代が多いのですが、50代以上にも全体の10.9%が存在しています。

高齢者同士だとコンドームを使わないことも多いのではないでしょうか。

4-2)新規エイズ患者の年齢層分布

新規エイズ患者(人) 比率(%)
10歳未満 0 0.0
10-19 1 0.2
20-29 50 11.8
30-39 102 24.1
40-49 157 37.1
50-59 73 17.3
60-69 29 6.9
70歳以上 11 2.6
不明 0 0.0
合計 423 100.0

(表5)新規エイズ患者の年齢層分布

表5をグラフにしたのが下の図5です。

エイズ年齢
(図5)新規エイズ患者の年齢層

新規エイズ患者については30代、40代に多いのですが、50歳以上にも全体の26.8%が分布しています。

まさしくエイズに年齢は関係ありません。

しかも、50代以上ではHIV感染が見つかった人の実に51%がすでにエイズを発症していました。

2人に1人は「いきなりエイズ」だったのです。全体平均が約30%ですから、50代以上は20%も多いことになります。

50代以上のあなた。HIV感染の不安があればどうぞHIV検査を受けて下さい。

年齢がいくと他人の目が気になるものですが、どうしても保健所や病院へ行けないあなたは自宅で使えるHIV検査キットもあります。

最悪なのは不安なまま放置してエイズを発症することです。

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5.いきなりエイズ

次に、新規HIV感染者におけるいきなりエイズの割合を見てみましょう。いきなりエイズ、と言うのはHIVに感染している人が、自分のHIV感染に気が付かずそのまま放置して、文字通りいきなりエイズを発症してしまうことを言います。

いきなりエイズの割合=(新規エイズ患者)/(新規エイズ患者+新規HIV感染者)×100%

では、実際には新規にHIVに感染したと報告された件数のうち、どのくらいいきなりエイズだったのか、過去17年間の推移をグラフで見てみましょう。図6をご覧下さい。

いきなりエイズ
(図6)いきなりエイズの割合

平成27年のいきなりエイズの割合は29.9%で平成26年より0.5%上がりました。この10年間はほぼ30%前後で推移しています。

さらにいきなりエイズの割を50歳未満と50歳以上に分けてみると・・・。

●50歳未満のいきなりエイズ=26.0%

●50歳以上のいきなりエイズ=51.1%

こんな結果になります。50歳以上ではHIVに感染していると分かった時点でほぼ2人に1人はですでにエイズを発症していることになります。

むろん、HIV感染からエイズ発症までの潜伏期間は数年から10年以上と、非常に長いので高齢者にエイズ患者が多いのは分かります。

しかし、何度も繰り返し書いていますがHIVは早期に感染が見つかればエイズ発症を抑えることも可能です。高齢者ほどHIV検査を受けていないのではないかと思われます。「いきなりエイズ」を防ぐ早期のHIV検査は、救命的検査と言えます。

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6.都道府県別の新規HIV感染者とエイズ患者

平成27年の都道府県別の新規HIV感染者、エイズ患者は以下の通りです。昭和60年(1985年)からの累計データといっしょにまとめてみました。

やはり東京、神奈川、大阪、愛知など人口の多い大都会に集中しているようですね。

区分 新規HIV感染者 新規エイズ患者
都道府県 2015年 累計 2015年 累計
北海道 35
270 12 155
青森県 1 49 2 30
岩手県 1 28 3 32
宮城県 6 123 8 88
秋田県 1 22 0 23
山形県 2 25 0 23
福島県 5 68 2 45
茨城県 12 528 7 321
栃木県 6 242 4 193
群馬県 9 188 2 134
埼玉県 22 502 13 341
千葉県 31 766 23 523
東京都 357 6,652 70 2,022
神奈川県 54 1,208 33 593
新潟県 5 90 1 58
山梨県 2 108 3 47
長野県 3 303 2 196
岐阜県 14 141 9 118
静岡県 21 408 6 201
三重県 5 149 0 84
愛知県 61 1,047 42 544
富山県 1 37 3 29
福井県 1 48 3 34
石川県 4 76 2 38
滋賀県 4 73 6 61
京都府 10 231 8 114
大阪府 165 2,277 52 738
兵庫県 21 386 7 214
奈良県 10 107 4 71
和歌山県 5 61 3 49
鳥取県 1 14 2 16
島根県 1 18 0 7
岡山県 16 131 4 74
広島県 5 209 10 111
山口県 4 58 2 21
徳島県 6 35 1 21
香川県 7 57 8 45
愛媛県 5 74 4 54
高知県 1 35 5 24
福岡県 30 465 26 230
佐賀県 3 30 1 14
長崎県 3 49 4 32
熊本県 3 77 3 57
大分県 2 50 1 26
宮崎県 8 49 7 38
鹿児島県 4 79 5 59
沖縄県 17 205 10 108
合計 990 17,848 423 8,056

(表6)都道府県別新規HIV感染者と新規エイズ患者

仮にあなたのお住まいの都道府県で、HIV感染者が少なかったとしても、だからと言ってあなたが安全だと言うことにはなりません。

かつて私もそうでしたが、何となく勘違いしてしまいがちです。くれぐれも誤解なきようお願い致します。

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7.保健所などにおけるHIV抗体検査件数

続いて、平成27年における保健所など自治体でのHIV抗体検査の件数をご紹介します。ここ数年減少傾向でしたが、歯止めはかかったのでしょうか。

保健所HIV検査
(図7)保健所でのHIV抗体検査件数

平成26までは2年連続受検者が増えていたのですが、平成27年にはまた減少しました。

今の所平成20年をピークに、平成22年以降減少したまま横ばい状態が続いているようです。

全国の保健所では無料・匿名検査が可能です。

また、梅毒やクラミジアなどの性感染症も同時に検査出来るところが多くあります。ぜひあなたも最寄の保健所をご利用下さい。

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8.献血件数と陽性件数

次は、平成27年に全国の血液センターなどで行われた献血の件数と、その中から見つかったHIV陽性件数をご紹介します。

献血HIV陽性
(図8)献血件数とHIV陽性件数

図8をご覧頂いてお分かりのように、献血でみつかるHIV陽性は平成20年をピークに減少し続けています。これは潜在的なHIV感染者が減少しているからでしょうか。

あるいはHIV検査目的の献血が減ってきたからでしょうか。

ただ献血件数も減少しているので、その影響もあるかも知れません。

図1の新規HIV感染者、新規エイズ患者の動向と図10を合せてみると、少なくとも今の日本でHIV感染者が爆発的に増加している様子はありません。

しかし大きく減少している様子もないですね。私の目からは何となく横ばい状態のように見えます。

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以上、平成27年のエイズ動向速報値をお届けしました。

最後にもう一度繰り返します。あなたに何も自覚症状がなくてもHIV感染の不安や心当たりがあるなら、早期のHIV検査をお勧め致します。

本文の中でもご紹介しましたが、平成27年もまた新規のHIV感染者として報告された人の約30%が、自分の感染に気が付かないまま、「いきなりエイズ」を発症しています。

あなたのHIV感染は検査を受けるしか判定する方法はありません。

早期のHIV検査は救命的検査です。

あなたが、HIV検査を受ける決心はついたけど、どうしても保健所に行く時間がなかったり、誰にも知られず、誰にも会わずにHIV検査を受けたいと思うならHIV検査キットと言う方法もあります。

かつて私が深刻なHIV感染疑惑に陥ったときにも使いました。

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