2016年第4四半期(10月~12月)のエイズ動向が、厚生労働省エイズ動向委員会より発表されました。(3月29日付け)

その概要を速報であなたにお届け致します。最新のエイズ動向としてご覧下さい。

今回報告されたのは、2016年(平成28年)9月26日から2016年12月25日までの約3ヶ月間のエイズ動向情報です。

従って2016年の第4四半期(10月~12月)にあたります。

情報源はこちらです⇒『エイズ動向委員会報告』

今回の発表では新規HIV感染者は253件、新規エイズ患者は110件となり、新規HIV感染者も新規エイズ患者も前期よりは減少傾向となっています。

詳細は本文にて。

今回の報告でエイズ動向委員会岩本委員長コメントの概要は以下の通りです。

●新規HIV感染者、新規エイズ患者ともに前回より減少した。

●保健所等におけるHIV検査、相談はともに前回より増加した。

●新規HIV感染者、新規エイズ患者ともに10代から80代まで幅広い年齢層において報告された。

今回のコメントで特筆すべき内容はありません。

では、エイズ動向委員会のデータから主要なものをご紹介しましょう。本文のグラフ、表は全て管理人がエイズ動向委員会から公表された数値を元に作成したものです。

また、このページはかなり長文です。そこで目次を作りました。あなたが読みたい項目をクリックすると途中を飛ばして読むことが出来ます。時間のないあなたはどうぞご利用下さい。

◇2016年第4四半期エイズ動向 目次

*2016年第4四半期(10月~12月) 新規HIV感染者とエイズ患者の概要

1.2016年第4四半期 新規HIV感染者とエイズ患者の人数

2.2016年第4四半期 新規HIV感染者とエイズ患者の感染ルート

3.2016年第4四半期 新規HIV感染者・エイズ患者年代別分布

4.2016年第4四半期 都道府県別新規HIV感染者・エイズ患者数

5.保健所などの抗体検査数

6.献血件数、及びHIV抗体検査陽性件数

7.まとめ

*2016年第4四半期(10月~12月) 新規HIV感染者とエイズ患者の概要

まず、2016年の第4四半期までの新規HIV感染者、及び新規エイズ患者の動向を四半期ごとのデータで、昨年と比べてみましょう。

●新規HIV感染者

第4四半期HIVサマリー
図1.四半期ごとの新規HIV感染者動向

図1の青い折れ線グラフが2015年、赤の折れ線グラフが2016年です。

2016年の通期では1,003件となり過去9位でした。

2015年が1,006件でしたから3件の減少です。

ただし、2016年の1,003件は速報値なので、正式版ではもっと増える可能性があります。例年、十数件増えています。

 

●新規エイズ患者

第4四半期エイズサマリー
図2.四半期ごとの新規エイズ患者動向

2016年の新規エイズ患者は437件で過去6位でした。

2015年は428件でしたから、9件の増加です。こちらも2016年の正式版ではもっと増えている可能性が高いです。

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1.2016年第4四半期(10月~12月) 新規HIV感染者とエイズ患者の人数

項   目 7月-9月 前 回 昨年同時期
新規HIV感染者数(人) 253 261 266
新規エイズ患者数(人) 110 113 102
合計数(人) 363 374 368
いきなりエイズの割合 30.3% 30.2% 27.7%

表1.新規HIV感染者とエイズ患者

表中の前回とは2016年7月~9月(第3四半期)を指します。前回から比較すると新規HIV感染者は8人減少、新規エイズ患者は3人減少となっています。

昨年同時期と比較すると、新規HIV感染者は13人減少、新規エイズ患者は5人減少です。

いきなりエイズの割合は30%を超えています。つまり、第4四半期にHIV感染者として報告された人の30%はすでにエイズを発症していたことになります。

それでは個別にデータをみていきましょう。

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2.2016年第4四半期(10月~12月) 新規HIV感染者とエイズ患者の感染ルート

2-1)新規HIV感染者感染ルート

2016年第4四半期(10月~12月)の新規HIV感染者の感染ルートは以下の通りです。

感染ルート 件数 比率 (%)
異性間性的接触 34 13.4
同性間性的接触 186 73.5
静注薬物使用 0 0.0
母子感染 0 0.0
その他 9 3.6
不明 26 9.5
合計 253 100.0

表2.2016年第4四半期 新規HIV感染者の感染ルート

毎回説明していますが、新規HIV感染者の最大感染ルートは同性間の性的接触です。この感染ルートが全体の73.5%を占めています。

今回もまた186件全て男性同士の性的接触となっています。

男性同士の性的接触によるHIV感染が多い理由は毎回述べているので省略させて頂きます。

表2をグラフにしたものが図3です。

第4四半期HIV感染ルート
図3.2016年第3四半期 新規HIV感染者の感染ルート

図3の黄色と青が性的接触による感染です。この2つの感染ルートで全体の約9割近くを占めています。いかに性的接触による感染が多いか分かります。

従ってHIV感染の予防はいかに性的接触による感染を防ぐか、と言うことに尽きます。

それなのに、未だにHIVの感染ルートを性的接触、血液感染、母子感染と並列で説明しているサイトが多数あります。

確かに血液感染、母子感染も感染ルートとしては存在しますが、実体としては圧倒的に性的接触が多数を占めている訳です。

そこをしっかり説明しないと何の役にも立たない情報になってしまうと思います。

2-2)新規エイズ患者感染ルート

2016年第4四半期(10月~12月)の新規エイズ患者の感染ルートは以下の通りです。

感染ルート 件数 比率 (%)
異性間性的接触 30 27.3
同性間性的接触 67 60.9
静注薬物使用 0 0.0
母子感染 0 0.0
その他 0 0.0
不明 13 11.8
合計 110 100.0

表3.2016年第4四半期 新規エイズ患者の感染ルート

新規エイズ患者の感染ルートもまた男性同士の性的接触が最大感染ルートとなっています。(女性同士の性的接触による感染なし)

その理由はHIV感染同様、毎回説明してきたので今回は省きます。

表3をグラフにしたものが図4です。

第4四半期エイズ感染ルート
図4.2016年第4四半期 新規エイズ患者の感染ルート

新規エイズ患者の感染ルートも性的接触による感染が圧倒的に多く、全体の9割近くに達しています。(黄色と青の合計)

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3.2016年第4四半期(10月~12月)新規HIV感染者・エイズ患者年代別分布

新規HIV感染者とエイズ患者の年代別分布データをご紹介します。

3-1)2016年第4四半期 新規HIV感染者の年代別分布

年齢区分 件数 比率 (%)
10歳未満 0 0.0
10歳~19歳 3 1.2
20歳~29歳 75 29.6
30歳~39歳 86 34.0
40歳~49歳 60 23.7
50歳~59歳 21 8.3
60歳~69歳 8 3.2
70歳以上 0 0.0
不明 0 0.0
合計 261 100.0

表4.2016年第4四半期 新規HIV感染者の年代別分布

この表だけでは分布が直観的に分かりづらいのでグラフにしてみました。図5をご覧下さい。

表4をグラフにしたものが図5です。

第4四半期HIV年齢別分布
図5.2016年第3四半期 新規HIV感染者の年代別分布

グラフを見てもお分かりのように、やはり20代から40代にHIV感染者が多く集まっています。

しかし、50代以上であっても全体の11.5%を占めています。

HIV感染に年齢は関係ないことがよく分かります。

3-2)2016年第4四半期 新規エイズ患者の年代別分布

年齢区分 件数 比率 (%)
10歳未満 0 0.0
10歳~19歳 1 0.9
20歳~29歳 12 10.9
30歳~39歳 22 20.0
40歳~49歳 37 33.6
50歳~59歳 19 17.6
60歳~69歳 15 13.6
70歳以上 4 3.6
不明 0 0.0
合計 110 100.0

表5.2016年第4四半期 新規エイズ患者の年代別分布

こちらも表では感覚的に分かりずらいのでグラフをご覧頂きましょう。

表5をグラフにしたものが図6です。

第4四半期エイズ年齢別分布
図6.2016年第4四半期 新規エイズ患者の年代別分布

図6をご覧頂いてお分かりの通り、50代以上にもエイズ患者は多く存在し、実に全体の34.5%を占めています。

つまり、新規にエイズ患者として報告された人の3人に1人は50歳以上だったことになります。

これも毎回説明していますが、50代以上の中高年にエイズ患者が多いのは、HIV検査を受ける率が低くて「いきなりエイズ」を発症しているからです。

現在の抗HIV医療ではHIVに感染していても、エイズ発症前に治療をすればエイズ発症を防ぐことが出来ます。

つまりエイズ患者として報告された患者は治療を受けなかった方々がほとんどであり、それはHIV検査を受けていなかったと言うことに他なりません。

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4.2016年第4四半期 都道府県別新規HIV感染者・エイズ患者数

2016年第4四半期(10月~12月)の都道府県別HIV感染者、エイズ患者の動向を表にしてあります。また今回までの累計データも載せました。赤字は特に感染者の多い都道府県です。

区分 新規HIV感染者 新規エイズ患者
都道府県 今回 累計 今回 累計
北海道 4
292 6 174
青森県 1 51 1 32
岩手県 0 30 0 32
宮城県 4 132 1 91
秋田県 0 23 0 24
山形県 1 28 0 23
福島県 3 75 2 50
茨城県 2 537 0 326
栃木県 0 246 0 199
群馬県 3 195 1 143
埼玉県 3 528 1 355
千葉県 11 798 6 542
東京都 86 7,017 13 2,119
神奈川県 16 1,264 9 619
新潟県 0 92 0 60
山梨県 2 115 0 49
長野県 0 305 1 200
富山県 1 40 1 31
石川県 0 80 0 38
福井県 0 48 0 34
岐阜県 4 161 2 124
静岡県 2 423 1 208
愛知県 18 1,116 7 576
三重県 1 157 2 89
滋賀県 3 79 2 65
京都府 2 244 1 121
大阪府 46 2,417 17 785
兵庫県 8 406 4 229
奈良県 0 108 0 73
和歌山県 0 66 0 50
鳥取県 0 15 0 17
島根県 0 19 1 8
岡山県 2 141 1 76
広島県 4 224 0 113
山口県 1 64 0 22
徳島県 2 41 1 22
香川県 0 61 0 46
愛媛県 1 78 3 59
高知県 1 40 1 28
福岡県 11 509 12 277
佐賀県 2 33 3 20
長崎県 0 49 1 34
熊本県 6 91 3 62
大分県 0 54 1 29
宮崎県 0 52 1 41
鹿児島県 1 85 3 65
沖縄県 3 222 1 113
合計 253 18,851 110 8,493

表6.都道府県別新規HIV感染者・エイズ患者数

なお、このデータはあくまでも報告地ベースであり、居住地ではありません。

また、HIV感染者の累計とエイズ患者の累計合計は27,344人となっています。

最近になって厚生労働省が、自分のHIV感染に気付いていない潜在的なHIV感染者が約5,800人存在するという推計を発表しています。

それからすると、国内のHIV感染者の累計は33,000人を超えていることになります。

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5.保健所などの抗体検査数

2016年第4四半期(10月~12月)に保健所や地方自治体の実施するHIV抗体検査を受けた件数は以下の通りでした。

◇2016年10月~12月の保健所などにおける抗体検査件数

時期 今回 前回 昨年同時期
件数(件) 32,263 27,600 35,240

表7.保健所抗体検査数(保健所以外の自治体が実施する検査を含む)

ご覧のように、前回から4,663件の増加、昨年同時期から2,977件の減少となっています。

毎年第4四半期には世界エイズデーが含まれるのでHIV検査を受ける人が他の四半期よりも増えます。

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6.献血件数、及びHIV抗体検査陽性件数

2016年の1月~12月に献血を受けた件数、及びHIV陽性が発見された件数をご紹介したいと思います。

◇2016年1月~12月の献血件数

時期 献血件数 HIV陽性件数 10万人当り
件数(件) 4,841,600 48 0.991

表8.献血件数とHIV陽性件数

2016年通期の人口10万人当りのHIV陽性件数は0.991でした。

まだ速報値であり、確定値ではもう少し増えると思いますが、もしも1,0以下になれば1998年(平成10年)以来、18年ぶりとなります。

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7.まとめ

以上、厚生労働省エイズ動向委員会が3月29日付で発表した2016年の第4四半期(10月~12月)のエイズ動向をご紹介しました。

これで第1四半期から第4四半期までが揃い、2016年の通期速報値となります。

その主要数値を最後にまとめておきます。

●新規HIV感染者 1,003件(過去9位)

●新規エイズ患者 437件(過去6位)

●新規HIV感染者と新規エイズ患者の合計 1,440件(過去9位)

●「いきなりエイズ」の割合 30.3%

●保健所HIV検査の受検数 117,860件(保健所以外の自治体検査施設も含む)

●献血件数とHIV陽性件数 4,841,600件 48件

以上、今回は2016年第4四半期エイズ動向についてお伝えしました。

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