2016年第3四半期(7月~9月)のエイズ動向が、厚生労働省エイズ動向委員会より発表されました。(11月16日付け)
その概要を速報であなたにお届け致します。最新のエイズ動向としてご覧下さい。
今回報告されたのは、2016年(平成28年)6月27日から2016年9月25日までの約3ヶ月間のエイズ動向情報です。従って2016年の第3四半期(7月~9月)にあたります。
情報源はこちらです⇒『エイズ動向委員会報告』
今回の発表では新規HIV感染者は261件、新規エイズ患者は113件となり、新規HIV感染者は前回より増加、新規エイズ患者は微増の結果となっています。詳細は本文にて。
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今回の報告でエイズ動向委員会岩本委員長コメントの概要は以下の通りです。
●新規HIV感染者、新規エイズ患者ともに前回、及び昨年同時期に比べて増加した。
●保健所等におけるHIV検査、相談はともに前回、及び昨年同時期に比べて減少した。
●新規HIV感染者、新規エイズ患者ともに20代から70代まで幅広い年齢層において報告された。
この第3四半期はHIV感染者が前回、及び昨年同時期に比べて増加したようです。ここ数年はHIV感染者が横ばい動向だったのですが、2016年は通期でどうなるのでしょうか。
大幅な増加にならないといいのですが。
では、エイズ動向委員会のデータから主要なものをご紹介しましょう。本文のグラフ、表は全て管理人がエイズ動向委員会から公表された数値を元に作成したものです。
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◇2016年第3四半期エイズ動向 目次
*2016年第3四半期(7月~9月) 新規HIV感染者とエイズ患者の概要
1.2016年第3四半期 新規HIV感染者とエイズ患者の人数
2.2016年第3四半期 新規HIV感染者とエイズ患者の感染ルート
3.2016年第3四半期 新規HIV感染者・エイズ患者年代別分布
4.2016年第3四半期 都道府県別新規HIV感染者・エイズ患者数
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*2016年第3四半期(7月~9月) 新規HIV感染者とエイズ患者の概要
まず、2016年の第3四半期までの新規HIV感染者、及び新規エイズ患者の動向を四半期ごとのデータで、昨年と比べてみましょう。
●新規HIV感染者
図1.四半期ごとの新規HIV感染者動向
図1の青い折れ線グラフが2015年、赤の折れ線グラフが2016年です。2016年は第1、第3四半期で2015年を上回っているのが分かります。
●新規エイズ患者
図2.四半期ごとの新規エイズ患者動向
図2から、2016年の新規エイズ患者は2015年に比べて微増なのが分かります。
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1.2016年第3四半期(7月~9月) 新規HIV感染者とエイズ患者の人数
項 目 | 7月-9月 | 前 回 | 昨年同時期 |
新規HIV感染者数(人) | 261 | 239 | 236 |
新規エイズ患者数(人) | 113 | 112 | 103 |
合計数(人) | 374 | 351 | 339 |
いきなりエイズの割合 | 30.2% | 31.9% | 30.4 |
表1.新規HIV感染者とエイズ患者
表中の前回とは2016年4月~6月(第2四半期)を指します。前回から比較すると新規HIV感染者は22人増加、新規エイズ患者は1人増加となっています。
昨年同時期と比較すると、新規HIV感染者は25人増加、新規エイズ患者は10人増加となっています。
それでは個別にデータをみていきましょう。
重複感染するとより重症化したり、進行が早くなったり! | |
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・HIV・梅毒・B型肝検査。(男女共通) ・HIVと最も重複感染の多い性感染症。 ・ ![]() ![]() |
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2.2016年第3四半期(7月~9月) 新規HIV感染者とエイズ患者の感染ルート
2-1)新規HIV感染者感染ルート
2016年第3四半期(7月~9月)の新規HIV感染者の感染ルートは以下の通りです。
感染ルート | 件数 | 比率 (%) |
異性間性的接触 | 44 | 16.9 |
同性間性的接触 | 190 | 72.8 |
静注薬物使用 | 0 | 0.0 |
母子感染 | 0 | 0.0 |
その他 | 1 | 0.4 |
不明 | 26 | 10.0 |
合計 | 261 | 100.0 |
表2.2016年第3四半期 新規HIV感染者の感染ルート
表2をご覧頂いてお分かりのように新規HIV感染者の最大感染ルートは同性間の性的接触です。この感染ルートが全体の72.8%を占めています。190件全て男性同士の性的接触となっています。
男性同士の性的接触によるHIV感染が多い理由は毎回述べているので省略させて頂きます。
表2をグラフにしたものが図3です。
図3.2016年第3四半期 新規HIV感染者の感染ルート
図3の黄色と青が性的接触による感染です。この2つの感染ルートで全体の約9割を占めています。いかに性的接触による感染が多いか分かります。
従ってHIV感染の予防はいかに性的接触による感染を防ぐか、と言うことに尽きます。
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2-2)新規エイズ患者感染ルート
2016年第3四半期(7月~9月)の新規エイズ患者の感染ルートは以下の通りです。
感染ルート | 件数 | 比率 (%) |
異性間性的接触 | 26 | 23.0 |
同性間性的接触 | 64 | 56.6 |
静注薬物使用 | 1 | 0.9 |
母子感染 | 0 | 0.0 |
その他 | 2 | 1.8 |
不明 | 20 | 17.7 |
合計 | 113 | 100.0 |
表3.2016年第3四半期 新規エイズ患者の感染ルート
新規エイズ患者の感染ルートもまた男性同士の性的接触が最大感染ルートとなっています。(女性同士の性的接触による感染なし)
その理由は毎回説明してきたので今回は省きます。
表3をグラフにしたものが図4です。
図4.2016年第3四半期 新規エイズ患者の感染ルート
新規エイズ患者の方も性的接触による感染合計は約8割(黄色と青の合計)であり、不明を除いた感染ルートが分かっているものだけで言えば、実に97%が性的接触による感染です。
まずはこれだけ検査すれば一安心。感染ルートは皆同じ。 | |
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3.2016年第3四半期(7月~9月)新規HIV感染者・エイズ患者年代別分布
新規HIV感染者とエイズ患者の年代別分布データをご紹介します。
3-1)2016年第3四半期 新規HIV感染者の年代別分布
年齢区分 | 件数 | 比率 (%) |
10歳未満 | 0 | 0.0 |
10歳~19歳 | 4 | 1.5 |
20歳~29歳 | 79 | 30.3 |
30歳~39歳 | 74 | 28.4 |
40歳~49歳 | 63 | 24.1 |
50歳~59歳 | 24 | 9.2 |
60歳~69歳 | 16 | 6.1 |
70歳以上 | 1 | 0.4 |
不明 | 0 | 0.0 |
合計 | 261 | 100.0 |
表4.2016年第3四半期 新規HIV感染者の年代別分布
この表だけでは分布が直観的に分かりずらいのでグラフにしてみました。図5をご覧下さい。・
表4をグラフにしたものが図5です。
図5.2016年第3四半期 新規HIV感染者の年代別分布
グラフからお分かりの通り、20代から40代に新規HIV感染者が多く分布しています。しかし、50歳以上にも全体の15.7%が分布しています。
つまり、新規HIV感染者として報告された人の6人に1人は50歳以上だったことになります。いかにHIV感染に年齢は関係ないか分かります。
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3-2)2016年第3四半期 新規エイズ患者の年代別分布
年齢区分 | 件数 | 比率 (%) |
10歳未満 | 0 | 0.0 |
10歳~19歳 | 0 | 0.0 |
20歳~29歳 | 11 | 9.7 |
30歳~39歳 | 31 | 27.4 |
40歳~49歳 | 34 | 30.1 |
50歳~59歳 | 21 | 18.6 |
60歳~69歳 | 13 | 11.5 |
70歳以上 | 3 | 2.7 |
不明 | 0 | 0.0 |
合計 | 113 | 100.0 |
表5.2016年第3四半期 新規エイズ患者の年代別分布
こちらも表では感覚的に分かりずらいのでグラフをご覧頂きましょう。
表5をグラフにしたものが図6です。
図6.2016年第3四半期 新規エイズ患者の年代別分布
図6をご覧頂いてお分かりの通り、新規エイズ患者はHIV感染者以上に50歳以上に分布しています。50歳以上で全体の32.7%を占めています。
つまり、新規にエイズ患者として報告された人の3人に1人は50歳以上だったことになります。
いきなりエイズの全体平均は30.2%ですが、50歳以上では47.4%であり、HIV感染が見つかった時には2人に1人がすでにエイズを発症していたことになります。
むろん、HIV感染からエイズ発症までの潜伏期間が長いので、HIV感染より高齢でエイズを発症するのは当然です。しかし、単にそれだけがいきなりエイズの多い理由ではないと思います。
50歳以上ではHIV検査の受検率が低いのではないでしょうか。早期にHIV感染が分かればエイズ発症を防ぐことも可能であり、いきなりエイズを防ぐことが出来ます。
中高年のあなたはぜひHIV検査を受けて下さい。どうしても若い人に比べて世間体を気にしたり、人に知られたくないという気持ちが強いと思います。
そんなあなたは自宅で誰にも知られず使えるHIV検査キットもあります。早期のHIV検査は救命的検査であることを忘れないで下さい。
まずはこれだけ検査すれば一安心。感染ルートは皆同じ。 | |
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4.2016年第3四半期 都道府県別新規HIV感染者・エイズ患者数
2016年第3四半期(7月~9月)の都道府県別HIV感染者、エイズ患者の動向を表にしてあります。また今回までの累計データも載せました。赤字は特に感染者の多い都道府県です。
区分 | 新規HIV感染者 | 新規エイズ患者 | ||
都道府県 | 今回 | 累計 | 今回 | 累計 |
北海道 | 7 |
288 | 5 | 168 |
青森県 | 1 | 50 | 0 | 31 |
岩手県 | 0 | 30 | 0 | 32 |
宮城県 | 3 | 128 | 0 | 90 |
秋田県 | 0 | 23 | 0 | 24 |
山形県 | 0 | 27 | 0 | 23 |
福島県 | 3 | 72 | 0 | 48 |
茨城県 | 2 | 535 | 0 | 326 |
栃木県 | 0 | 246 | 3 | 199 |
群馬県 | 1 | 192 | 1 | 142 |
埼玉県 | 11 | 525 | 6 | 354 |
千葉県 | 8 | 787 | 3 | 536 |
東京都 | 98 | 6,931 | 30 | 2,106 |
神奈川県 | 15 | 1,248 | 8 | 610 |
新潟県 | 0 | 92 | 1 | 60 |
山梨県 | 2 | 115 | 0 | 49 |
長野県 | 2 | 305 | 2 | 199 |
富山県 | 0 | 39 | 0 | 30 |
石川県 | 2 | 80 | 0 | 38 |
福井県 | 0 | 48 | 0 | 34 |
岐阜県 | 3 | 157 | 2 | 122 |
静岡県 | 3 | 421 | 1 | 207 |
愛知県 | 15 | 1,098 | 13 | 569 |
三重県 | 1 | 156 | 1 | 87 |
滋賀県 | 1 | 76 | 1 | 63 |
京都府 | 4 | 242 | 2 | 120 |
大阪府 | 28 | 2,371 | 11 | 768 |
兵庫県 | 6 | 398 | 2 | 225 |
奈良県 | 1 | 108 | 0 | 73 |
和歌山県 | 5 | 66 | 0 | 50 |
鳥取県 | 0 | 15 | 0 | 17 |
島根県 | 0 | 19 | 0 | 7 |
岡山県 | 2 | 139 | 1 | 75 |
広島県 | 5 | 220 | 0 | 113 |
山口県 | 4 | 63 | 0 | 22 |
徳島県 | 1 | 39 | 0 | 21 |
香川県 | 0 | 61 | 0 | 46 |
愛媛県 | 0 | 77 | 1 | 56 |
高知県 | 2 | 39 | 0 | 27 |
福岡県 | 14 | 498 | 12 | 265 |
佐賀県 | 0 | 31 | 2 | 17 |
長崎県 | 0 | 49 | 0 | 33 |
熊本県 | 1 | 85 | 2 | 59 |
大分県 | 1 | 54 | 1 | 28 |
宮崎県 | 2 | 52 | 1 | 40 |
鹿児島県 | 3 | 84 | 1 | 62 |
沖縄県 | 4 | 219 | 0 | 112 |
合計 | 261 | 18,598 | 113 | 8,383 |
表6.都道府県別新規HIV感染者・エイズ患者数
なお、このデータはあくまでも報告地ベースであり、居住地ではありません。
表6から、新規のHIV感染者、エイズ患者の多い都道府県は、東京、大阪、神奈川、千葉、愛知などです。
HIV感染者の累計とエイズ患者の累計合計は26,981人となります。
また、あなたのお住まいの都道府県でHIV感染者やエイズ患者が少ないからといって、それはあなたがHIVに感染するリスクが少ないと言うことではありません。どうぞ誤解されないようにお気をつけ下さい。
まずはこれだけ検査すれば一安心。感染ルートは皆同じ。 | |
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5.保健所などの抗体検査数
2016年第3四半期(7月~9月)に保健所や地方自治体の実施するHIV抗体検査を受けた件数は以下の通りでした。
◇2016年7月~9月の保健所などにおける抗体検査件数
時期 | 今回 | 前回 | 昨年同時期 |
件数(件) | 27,600 | 28,294 | 29,337 |
表7.保健所抗体検査数(保健所以外の自治体が実施する検査を含む)
ご覧のように、前回から694件減少、昨年同時期から1,737件の減少となっています。依然として保健所HIV検査は受検数が下げ止まったままという感じでしょうか。
しかし保健所でのHIV検査は無料・匿名だしスタッフも揃っています。まずは保健所でのHIV検査がオススメです。
でも、どうしても保健所に行けないあなたには自宅で使えるHIV検査キットもあります。心配や不安があれば放置しないで必ずHIV検査を受けて下さい。
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6.献血件数、及びHIV抗体検査陽性件数
2016年の7月~9月に献血を受けた件数、及びHIV陽性が発見された件数をご紹介したいと思います。
◇2016年1月~9月の献血件数
時期 | 献血件数 | HIV陽性件数 | 10万人当り |
件数(件) | 3,628,227 | 28 | 0.772 |
表8.献血件数とHIV陽性件数
2015年通期の人口10万人当りのHIV陽性件数は1.080件でした。2016年は9月までのデータでは0.772件となっています。
このまま1.0以下になれば1998年(平成10年)以来、17年ぶりとなります。
献血は年間に約500万件ほど行われています。ここでのHIV陽性件数が減少していれば、それは潜在的なHIV陽性者もまた減少していると言えるのではないでしょうか。
7.まとめ
以上、厚生労働省エイズ動向委員会が11月16日付で発表した2016年の第3四半期(7月~10月)のエイズ動向をご紹介しました。前回(2016年4月~6月)と比較すると新規HIV感染者、新規エイズ患者ともに増加しています。
特に50歳以上の中高年に増加が見られました。
●50歳以上の新規HIV感染者
・第2四半期 34件
・第3四半期 41件
●50歳以上の新規エイズ患者
・第2四半期 24件
・第3四半期 37件
エイズ動向委員会、岩本委員長のコメントにもありますが、新規HIV感染者、新規エイズ患者、共に幅広い年代層から報告があります。
どうぞHIV感染予防にご注意下さい。そして、少しでもHIV感染の不安があるなら放置せず、必ずHIV検査を受けて下さい。
どうしても保健所や病院へ行けないあなたには自宅で使えるHIV検査キットもあります。
早期のHIV検査はあなたにとって救命的検査であることを忘れないで下さい。
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