TOP コラム一覧コラム(検査/治療)>かつてエイズは死の病だった


今回は、かつてエイズが死の病として恐れられていた時代の名残を見つけたお話です。

「エイズ相談マニュアル」なるものを偶然ネットで見つけました。これは、平成5年11月に当時の厚生省保健医療局エイズ結核感染症課で作成されたものです。⇒「エイズ相談マニュアル」

どんなマニュアルかと言うと、保健所におけるエイズ関連業務マニュアルです。つまり、保健所にHIV検査に来る人、エイズの相談に来る人に対して、どんな対応をすればいいのか、細かく解説したマニュアルでした。

そして、平成5年といえば、まだHARRT療法も確立されておらず、HIVに感染するとそのままエイズを発症し、死に至ることが多い時代でした。このページの最後に関連記事を用意していますので、ぜひご覧ください。詳しく説明してあります。

この関連記事を読んで頂くと分かるのですが、平成5年と言えば、いよいよエイズによる死亡者が急増するのではないかと心配された頃です。「エイズ治療について」の中から一部データを転記してみましょう。

◇エイズ患者の死亡報告件数

平成4年 22件 (1992年)

平成5年 36件 (1993年)

平成6年 99件 (1994年)

平成7年 82件 (1995年)

平成8年 116件 (1996年)

平成9年 105件 (1997年)

平成9年(1997年)ごろからHARRT療法が始まり、死者は激減していきます。しかし、マニュアルが作られた平成5年当時は、HIVに感染した時点でかなり高い確率で死を覚悟するしかなかったのです。

それは、「エイズ相談マニュアル」にもはっきりと見て取れます。マニュアルの中に、「検査陽性者への告知」と言う項目があります。つまり、保健所でHIV検査を受けて、HIVに感染していることが分かった人へ、どう検査結果を伝えたらいいのかを説明する項目です。

そこには、次のように書かれてあります。

検査陽性の意味の説明
ここで伝えるメッセージは2つある。1つは、近い将来(半数が10年以内)エイズとして発病し、死に至る可能性が高いこと、2つめは、感染経路を介して他の人にHIVを移す力があることである。』

近い将来エイズを発病し、死に至る可能性が高い・・・・こう告知するようにマニュアルでは解説されています。

当然ながら、現在、全国の保健所で陽性者へこんな告知をする所はありません。これからどんな治療をするのか、メンタル面を含めたフォローを行い、いかにして今までと同じレベルに近い生活を送れるようにするか。この観点から告知するはずです。

「早期発見、早期治療によりHIV感染者も普通の暮らしが送れます、だから何より検査を受けて下さい。」これが今の保健所の立場で私たちへ発信するメッセージです。

しかし、15年前はそうではなかったのですね。HIVに感染していると告知されたら、その時点でもう死を覚悟しなくてはならなかったのです。

私は自分がHIVに感染していると思いこんで、HIV検査を迷いに迷った経験があります。陽性だったらどうしようと怖くて検査がなかなか受けられなかったのです。自分自身がそんな辛い思いを経験しているので、15年前に告知された人の気持ちを考えると、何だか胸が苦しくなります。

医学の進歩には本当に感謝です。そして、更に研究が進んで完治出来るようになる日が来ることを祈ります。

関連記事⇒「自己紹介です」

関連記事⇒「保健所でHIV検査を受けました」

関連記事⇒HIV検査キットを使ってみました」

関連記事⇒「エイズ治療について」

「いきなりエイズ」を防ぐには、早くHIV検査を受ける以外に方法はありません。⇒ 「HIV検査があなたの命を救います」

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