ここ数日、中国で起きたHIV感染者に対する差別と偏見がネットで話題になっています。

8歳の男児がHIVに感染していることが分かり、村人から追い出されようとしています。この差別、あなたはどう思いますか?

◇8歳の男児がHIV感染で村から追放に

報道によると、中国四川省西充県の村で、村民203人が連名でHIVに感染した8歳の男児を村から追い出すことを求めて署名・押印していたそうです。中国国内でも男児に何も罪はない、可哀そうだと村人に対する非難の声が上がっているそうです。

この男児は母親からの母子感染でHIVに感染したらしいのですが、その母親と父親は出稼ぎに行ったまま行方不明だそうです。男児は祖父母の元で育てられていたのですが、2011年に転んで目を怪我し、入院したときにHIV感染が分かったそうです。男児にはHIV感染のことは知らされていません。

村人は男児からHIVが感染することを恐れ、誰も近寄りません。自分の子供にもいっしょに遊ばないように言い聞かせ、その上男児が小学校に通うことも認めませんでした。

村人は男児を「時限爆弾」と呼び、徹底的に避けたのだそうです。報道によれば村の幹部はこうした対応について、「男児に同情はするがエイズは恐ろしすぎる」と話しているそうです。

あげくのはてには、村長が村民を集めて男児を村から追い出してよそで治療を受けてもらうという要望者を連名で作成したというのです。男児の祖父も仕方なしに署名させられたそうです。

こうした村の対応が明るみに出ると、「エイズに対してあまりに無知だ」との批判の世論が出ているそうです。

中国における農村部ではまだまだHIVやエイズの知識、情報が正しく行き渡っていないのでしょう。今回の男児のようにHIVに感染していることが世間に知れるとひどい差別を受けるため、自分がHIVに感染していると分かっても隠して治療を受けようとしないことも珍しくないそうです。

いえ、それ以前にHIV感染が分かることを恐れて検査を受けるこ とも拒否するのです。

当サイトのオススメ図書「HIV/エイズと中国 感染者たちの挑戦」の中にもこうした中国農村部での実態が出てきます。

◇かつて日本でも・・・

今ご紹介した中国での話はつい最近の話です。こうした中国の村人たちの対応をあなたはどう思いますか?男児が可哀そうだと思う反面、村長初め村人たちの対応があまりにHIVやエイズに対して無知すぎると思うかも知れませんね。

しかし、かつて日本国内でも今回の中国と全く同じような事態は発生していたのです。それは「エイズパニック」と呼ばれ、1986年長野県松本市で起きました。今からもう28年も前のことです。

松本市にフィリピンから出稼ぎに来ていた女性がフィリピン帰国後にHIVに感染していたことが判明します。そして、その女性が長野で売春行為を行っていたと報道されました。女性の実名も公表され、女性が働いていたとされる店や、そこに行った客までも探そうとマスコミが殺到したのです。

つまり、そのフィリピン女性から感染した日本人がいるのではないかと関心をあおり立てたのです。テレビのワイドショーは連日この話題ばかりでした。その前年、1985年に日本国内で初めてのエイズ患者が見つかっており、松本市の出来事はいっきにエイズの恐怖を日本中に広めました。

そのフィリピン女性のお客だったと噂が広まった男性は付近住民から村八分状態にされました。また、長野県内では外国人であるという理由で銭湯やスーパー、飲食店などが入店を拒否したり、更には長野県在住というだけで全国のホテル、旅館が宿泊を拒否するようになりました。

これらの松本市でのエイズパニックは今回ご紹介した中国の四川省で起きた出来事と何ら変わりません。まるでHIVが風邪と同じ空気感染するかのような扱いでHIV感染者を差別したのです。HIVやエイズに関する無知が恐怖を呼び、偏見を増大させていきます。

もしもあなたが30歳以上なら、もうエイズパニックなど知らないかも知れませんね。今回の中国の話を随分ひどい話だ、中国だから起きる話で日本ではあり得ないと思うかも知れませんね。

しかし、現に28年前日本でも全く同じことが起きていたのです。松本市でのエイズパニックの翌年、1987年には神戸、高知でも同じようにエイズパニックが起きます。まだまだHIVやエイズのことが正しく情報共有されていない時代だったのですね。

◇本当に怖いものは・・・

今回の中国におけるHIV感染者への差別と偏見は程度の差こそあれ、未だに日本でも存在します。HIVに感染していることを理由に職場から退職勧奨を受けたり、著しく不利な職場環境に配置転換されたり。こうした差別は明確に禁止されているのですが後を絶ちません。決して中国だけの問題ではないのです。

私たちにとって本当に怖いものはHIVやエイズではなく、HIVやエイズを怖がる人間の心です。その心が偏見と差別を生み出します。私はそう思います。

医学の進歩はHIVに感染してもエイズ発症を防ぐことを可能にしました。HIVに感染しても亡くなる人は激減し、感染前と同じように普通に日常生活を送っている人が増えています。日本国内でHIV感染者の累計はとっくに2万人を超えています。平成25年末の段階で23,015人です。

残念ながら日本では新規のHIV感染者は未だに増加を続けています。今後も増える可能性があるのです。それは私やあなたもHIV感染者とこの社会に共存することを意味しています。そこに意味のない差別や偏見を生まないためには、HIVやエイズに対する正しい知識、情報が不可欠だと思います。

このサイトが情報源として少しでもお役に立てれば幸いです。

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