TOP コラム一覧コラム(ニュース編)>企業がHIV感染者を積極雇用


今回は、日本の企業がHIV感染者を積極雇用し始めていると言うニュースをお届けします。ニュースソースは8月17日付け読売新聞からです。

皆さんは「障害者雇用促進法」と言う法律をご存知でしょうか。障害者の社会参加を促す目的で昭和35年に制定された法律で、一定の規模の企業に対して障害者の雇用を義務付けています。

今年の6月末までは、常時雇用している労働者が301人以上の企業では、労働者の1.8%にあたる人数の障害者を雇用しなければなりませんでした。

もしも1.8%に満たない場合には、不足人数1名につき月額5万円の納付金を徴収されます。逆に、1.8%を上回る障害者を採用すると、1名につき月額2万7千円が支給されます。

この制度が、今年の7月より法改正となり、企業規模が301名から201名へ拡大されました。更に平成27年4月からは101名以上の企業へと拡大されていきます。

この法改正の背景には、中小企業での障害者雇用が進んでいない実態があるからです。この法改正を受けて、HIV感染者の雇用に乗り出す企業が増えてきたそうです。HIV感染者は、1998年から「免疫機能障害者」として、身体障害者手帳を取得出来るようになっているのです。

関連記事
「HIV・エイズ患者の治療費について」:HIV感染者の障害者認定について説明があります。

読売新聞によれば、東京の人材紹介会社「インテリジェンス」の実績が紹介されています。「インテリジェンス」では、企業が障害者を募集する選考対象に、HIV感染者が含まれるケースは、昨年12月には230件中わずかに2、3件であったのが、今年7月下旬には275件中20件と大幅に増えたそうです。

HIV感染者の雇用が増えたのは、むろん法改正の後押しもあるのですが、抗HIV治療が進んだ現在、適切な治療を受けていれば、HIV感染者は普通に仕事が出来ることも理由になっています。

本サイトの「オススメ図書」でもご紹介した、国立国際医療研究センター「エイズ治療・研究開発センター」の医師、本田美和子さんは、HIV感染者の採用を検討している企業からの依頼でHIVやエイズの説明に行く機会が増えてきたそうです。

本田さんが企業側からよく聞かれる質問は2つあって、ひとつは「職場でHIVに感染しないか」、もうひとつは「HIV感染者が安定した状態で長期に働くことが出来るか」この2点だそうです。

後の質問はともかく、最初の質問をまだ専門医を呼んで企業が確認していることに、何となく日本の現状を見るような気もします。HIVの感染ルートは性行為感染、血液感染、母子感染しかないので、一般企業の職場で感染することはまずありません。

関連記事
「HIV感染ルート」:HIVの感染ルートについて、詳しく解説しています。

後の質問に対しても、「定年までは十分に仕事が出来ます」と言う回答になります。本田さんと同じセンターの岡センター長によれば、20歳から25歳くらいでHIVに感染しても、早期治療を開始すれば平均余命は40年だそうです。健康な人と比べて10年の差しかありません。そして現在もなお、抗HIV治療は進化を続けています。

一方、HIV感染者の側からすると、「障害者雇用促進法」での採用となれば、当然ながらHIV感染は企業側へ周知となります。でも、自分がHIV感染者であることを隠して働くストレスも大きく、周知された方がいいと言う感染者もいるそうです。

例えば、通院したり、体調が悪いときに、会社を休んだり早退したりすることがあります。HIV感染を隠していると、都度何か他に理由を考えなくてはならず、それがストレスになるのです。

HIV感染者に対する言われなき偏見と差別をなくすためにも、今回の企業側の取り組みは意義深いと思います。

関連記事
「エイズ治療について」:エイズの治療について詳しく説明しています。

「いきなりエイズ」を防ぐには、早くHIV検査を受ける以外に方法はありません。⇒ 「HIV検査があなたの命を救います」








←「コラム一覧」に戻る