TOP コラム一覧コラム(保健所/血液センター)>保健所代わりに献血でHIV検査?


今回は献血で保健所のHIV検査の代わりが出来るか、と言う古典的なお話です。

皆さんご承知のように、保健所では無料・匿名でHIV検査を受けることが出来ます。最近では即日検査をしてくれる保健所も増えて、後日結果を聞きに行くと言う二度手間も不要になりつつあります。だからHIV感染が心配な人は保健所に行けばいいのです。

しかし、いまだに保健所に検査に行かず、献血でHIV検査をしようと思っている人がいます。とんでもないお話です。実は、管理人の身近にもそんな人がいたのです。

その人は、50代の主婦で、仕事も持っています。色んな事情があって、管理人はその女性にHIV検査を勧めました。どう考えても感染しているかも知れない危険があったからです。管理人は、その女性の最寄の保健所をネットで調べ、電話番号と検査日を教えてあげました。

でも、その知人女性は保健所にはなかなか行きませんでした。いつ行くのかなと思っているうちに、3ヶ月が過ぎてしまったのです。会うたびに「検査に行った?」と聞くのですが、いい返事が返ってきません。そのうち、検査には行きたくないと言いだしました。知人の住んでる町は小さな町なので、保健所で誰かと顔を合わせるのが嫌だし、知ってる職員がいるかも知れないと言うのです。

管理人は、HIVに感染しているかどうかは、検査するしか分からないと再度説得しました。すると、その知人女性は、言うのです。

「もう何回も献血してるけど、一度も何か言われたことがない。だからHIVには感染していないはず。」

正直、管理人はあきれました。ネットでよく見かける、保健所の検査代わりに献血。まさか自分のこんな身近にそれをやってる人間がいるなんて。献血じゃ感染していても教えてくれないんだと、再度説明し、結局この知人女性には検査キットで検査を受けさせました。幸いにも結果は陰性でした。

この知人女性のように、献血でHIV感染を教えてくれると思いこんでいる人がいます。いくら血液センターの正式な案内にHIV検査の結果は教えない、と書かれてあっても、本当は教えてくれるもんだと信じている人がいます。

HIVに感染しているのに、教えないままにして二次感染したら大変だから、建前は教えないとなっているけど、本当は教えてくれるはずだ。そう信じている人たちがいます。

現在、献血でHIV陽性が見つかるのは年間に100件ほどです。ただし、傾向としては年々増えており、やはりHIV検査代わりに使っている人がいるのかも知れません。

この、献血でHIV検査の陽性を教えてくれるのか、教えてくれないのか、と言う古典的な問いは、ネット上で検索すると、それこそ山のように関連記事が見つかります。いろんなブログ、掲示板に書き込まれています。そして、その内容も教えてくれる、教えてくれない、両方があります。

例えば、血液センターに勤務していたと言う人が、教えていなかった、と書き込みをしたり、献血を受けたすぐ後に保健所でHIV検査を受けたら陽性だったけど、献血をしたセンターからは何も連絡はなかった、などといった当事者の書き込みさえ目にします。

しかし、当然ながらこういったネット上での書き込みはどこまで信用出来るか大いに疑問であり、事実であるかどうかは定かではありません。明らかにインチキくさい書き込みも相当あります。ネットの書き込みですから、そうしたいい加減なものが多いのはある意味当然かも知れません。

一方、公的機関、医療機関などの信頼性の高いサイトでこの古典的問いの答えを探すと、まず間違いないく「教えてくれない」と言う答えしか見つかりません。これも当然ですね。もしも「教えてくれる」と書いてあったら、それこそ献血をHIV検査代わりに使う人が急増するでしょう。

しかし、管理人が随分とネット上で探した中に、たった一つ、公的機関のサイトで従来にない回答を見つけました。けっこう、大きな有名サイトなのでご存知の方もいらっしゃるでしょう。

それは、「HIVマップ」と言うサイトです。このサイトの中に、「検査基礎知識」と言うページがあります。このページの一番最後に、こんなQ&Aが載っています。

Q:献血でHIV検査をしてくれると聞いたのですが・・・・・?

A:検査のために献血をしても、望ましい形で結果を受け取る事はできません。検査結果も基本的に知らされないと考えておいた方が良いでしょう。

こんな回答になっています。更に、続きに解説があって、「実際には陽性だった場合のみ、呼び出されて結果を告知される事もあるようです」と書かれています。

誤解がないように念を押しますが、決してここでの回答は献血がHIV検査代わりになると言う内容ではありません。仮に献血でHIV陽性を教えてくれることがあったとしても、保健所のように陽性者に配慮した告知は出来ない、だから保健所で検査を受けて下さい、と言うことを主旨とした回答になっています。

この「HIVマップ」と言うサイトは、個人やいい加減な団体が運営しているサイトではなく、「エイズ予防のための戦略研究事務局」が運営する公的なサイトです。それだけに、「告知されることもあるようです」と言う表記にちょっと驚きました。

しかし、先ほども書きましたが、結局は保健所でのHIV検査の代わりにはならないのです。もしも検査結果が陽性だったとき、保健所では専門スタッフがいて、カウンセリングしてくれるし、何より個人のプライバシーを保護してくれます。当然ながら献血はHIV検査を目的としていませんから、仮に告知があるとしてもカウンセリングもプライバシーの保護も保証されません。

でも、それじゃ献血して何も連絡がなかったら、HIV陽性ではなかった、と言うことになるのか?感染していなかった、と言うことは分かるのか?

残念ながら、そうではありません。「HIVマップ」の回答をよく読めばわかるのですが、「告知されることもあるようです」と言う表現であり、「必ず告知がある」と保証するものではありません。むしろ、「告知されないこともある」または「告知されないことの方が多い」と言うことを意味する表現です。

結局、この古典的質問に対する絶対正しい回答としては、

「献血を受けても、保健所で受けるHIV検査の代わりにはならない。」

と言うことです。仮に、どこかの血液センターではHIV陽性を告知してくれたとしても、それは保健所での告知とは丸きり性質の違うものだと言うことです。むろん、必ず告知してくれる保証もありません。

やはり、HIVに感染しているかどうか心配なら、献血は絶対に止めて保健所に行くか、病院に行くか、検査キットを使うか、いずれにしてもHIV検査を受ける以外に方法はありません。

そして、かつては致死的疾患だったHIV感染も、早期に発見できればエイズ発症を抑える薬が開発されています。きちんと検査を受けて、万一の場合にも自分の命、生活を守ることが大事ではないでしょうか。

今回の記事の中では、なぜ献血をHIV検査代わりに使ってはいけないのか、そこには触れていません。献血で集めた血液をHIV検査しても、感染した血液がすり抜ける可能性があります。もし、HIV検査目的の人が献血するとその可能性が更に高くなり、輸血された人がHIV感染する危険があるのです。詳しくはこちらから⇒「ウインドーピリオド」

もしも、あなたも保健所でのHIV検査は気が重い・・・と考えているのなら。献血を代用するなどと考えるより、「HIV検査キット」を考えてみてはいかがでしょうか。管理人も使いましたが、誰にも顔を合わせず、自分の都合のいいときに検査が出来ます。検査の信頼性も保健所なみです。発見が遅れてエイズを発症する前にどうぞ検査を受けて下さい。

「HIV検査のススメ」=「いきなりエイズ」を防ぐには、早期の検査でHIV感染をみつける以外に 方法はありません。=

HIV感染からエイズ発症までの潜伏期間がどんどん短くなっているデータをご存知ですか? でも、HIV感染は早期に発見できればエイズ発症を抑え る(遅らせる)ことができるようになりました。「いきなりエイズ」の前に、絶対HIV検査を受けてください。

・・増加する「いきなりエイズ」を防ぐには、早期にHIV検査を受ける以外に方法はありません。⇒ 「HIV検査のススメ」








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