唾液でHIV検査が出来ると言うニュースをお届け致します。

このニュースは2011年9月14日、日経新聞で報じられたもので、要点としては以下です。

1.唾液10ミリリットルにウイルス1粒子という低濃度でも検知できる。

2.検査結果は最速30分程度で判明する。

3.検査費用は1検体当たり3千円~5千円。

4.今までは感染してから3ヶ月程度たたないと分からなかったがこの方式なら、ごく初期で判明する。

5.唾液を採取するだけなので、痛みもなく、患者の検査への抵抗感が下がる。

6.来年度(2012年)の実用化を目指す。

この検査方法を開発したのは、株式会社スディックスバイオテックと言うベンチャー企業です。

社長の隅田泰生氏は鹿児島大学の大学院理工学研究科の教授でもあります。

私がネットで調べた限りでは、鹿児島大学産学官連携推進機構の中から生まれたベンチャーの
ようです。

今回の検査方法が画期的なのは、従来よりもウインドウピリオドが非常に短いことです。

従来の抗体検査が感染後2ヶ月から3ヶ月しないと検査出来なかったのに比べ、今回の新しい
検査方法では、「ごく初期」とされています。

具体的な日数が書かれていないのですが、ニュアンスからすれば1週間後とか2週間後くらい
なのでしょうか。

どうして今回の唾液検査でこんなに早く検査が可能かと言えば、抗体検査ではなく、HIVを
見つける検査だからです。

すなわち体内で抗体が出来るまで待つ必要がありません。

例えば、血液を採取してHIVの遺伝子検査を行うNAT検査では、感染後11日から検査が
可能とされており、現在最もウインドウピリオドが短い検査とされています。
(献血で採取された血液検査や患者の治療に使われています。)

ただ、NAT検査は費用もかかるし、検査設備は限られた医療機関にしかありません。

今回の唾液検査がNAT検査を上回る短期で検査が可能であればまさに画期的です。

ところで、この唾液検査の原理なのですが、非常に難解です。

一応、原理らしきものを説明したサイトをご紹介しておきます。

『糖鎖固定化金ナノ粒子:ウイルスの超高感度検出のための新規ツール』

スディックスバイオテック社は元々糖鎖固定化金ナノ粒子(SGNP)を応用した検査技術を
開発販売しており、その研究の中から生れたのが唾液によるHIV検査だったようです。

SGNP(Sugar-chain immobilized Gold Nano Particle)は素人の私がいくら調べても
チンプンカンプンでさっぱり理解できませんでした。

よく分からないなりに、私の理解出来た範囲であなたに説明してみます。

今回の検査は唾液と、予めHIVと結合するように作られた糖鎖固定化金ナノ粒子(SGNP)
を混合させます。

もしも検体である唾液にHIVが微量でも含まれていれば、HIVとSGNPが結合します。

そして、唾液の中のHIVと結合したSGNPを同社が開発した独自の遠心分離機で濃縮、分離
させます。

そこでHIVが見つかれば陽性(感染アリ)、見つからなければ陰性(感染ナシ)と判定されます。

こんなイメージだと思うのですが、何分専門知識がないので正しいかどうかは自信ありません。

ただ、唾液によるHIV検査そのものは今回が初めて開発された訳ではありません。
アメリカでは2004年からすでに市販されています。日本でも輸入販売されています。

このサイトでも、『唾液によるHIV検査について』として記事にしています。

ただし、こちらの唾液によるHIV検査は抗体検査であり、ウインドウピリオドは血液検査と同様
3ヶ月とされています。

ですから今回の唾液検査が抗体検査ではなく、HIVを見つける検査であり感染後非常に短い
期間で検査可能と言う点が画期的なのです。

今回の検査でHIVを見つけると言っても、HIVの何を見つけるのか、私が調べた限りでは
分かりませんでした。

NAT検査のようにHIVの遺伝子を見つけるのか、それとも抗原を見つけるのか、分かりません。

そして、私がこの検査方法で最も知りたいこと、それは偽陰性の発生率です。
すなわち、本当はHIVに感染しているのに間違って陰性と判定してしまう率がどのくらいなのか。

新聞記事にはこのデータがありませんでした。

現在広く行われている抗体検査の偽陰性率は250万分の1とされています。
(詳しくは『HIV検査の偽陽性と偽陰性』参照)

そして、現在アメリカで使われている唾液で行う抗体検査では、血液での抗体検査に対する
正確性は99.3%とされています。

今回の新しい検査方法も、その偽陰性率によっては、使用方法、使用範囲が限定されるかも
知れませんね。

例えば、偽陰性発生率が1%だったとしたら、その結果を持って絶対安心出来るでしょうか。

暫定の早期検査には使えるかも知れませんが、やはり最後は抗体検査を受け直すことになる
のではないでしょうか。

ともかく、2012年度に実用化予定とのこと、大いに注目していきたいと思います。

*保健所や病院に行かなくてもHIV検査は可能です

■自宅でHIV検査体験記

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