みなさんすでにご承知の通り、1月17日に大分市保健所において、HIV検査を 受けにきた人に間違ってB型肝炎の検査を行ってしまい、その上検査を受けた1人に「HIV陽性」の誤通知をしてしまいました。

もう少し詳し く説明します。この日大分市保健所にHIV検査を受けに来た人は全部で10人いました。担当の係員はHIV検査を行うための検査キットと、B型肝炎の検査 キットを間違って使い、10人全員にB型肝炎の検査を行ってしまいました。

すると10人のうち1人だけ陽性が出ました。これはB型肝炎の検 査キットで陽性となったのですから、当然B型肝炎の疑いありです。しかし担当の係員はHIV検査をやっている積りなので、この陽性者に対して「HIV陽 性」と告げたのです。

全員が保健所から帰った後になって、係員は検査キットが間違っていたことに気が付きます。そこで残っていた10人の血 液を再度HIV検査しました。すると10人とも陰性だったのです。

保健所のHIV検査は匿名検査なので、間違って「HIV陽性」を告げた人 に連絡しようにも連絡先が分かりません。そこで大分市保健所はマスコミ各社を通じて検査が間違っていたこと、すぐに連絡して欲しいことを呼びかけます。

幸 い、翌18日になって本人から保険所に連絡があり、謝罪すると同時にHIV検査の結果が陰性であったことを伝えたそうです。

この信じられな いようなミス、あなたはどう思いますか?確かに、HIV用の検査キットと、B型肝炎用の検査キットは似ています。テレビのニュースで実物が映し出されてい ましたが、包装はほぼ同じで表記だけが異なります。

「よく似ているから間違った」

と言ういい訳ですが、要するに「表記を読ん でいなかった」と言うことです。大分市保健所では、

「包装に検査名をわかりやすく明記したりするなどして、再発防止に努める。」

と 再発防止を説明したそうです。でも、これは型通りの謝罪、説明であって本当に有効か疑問です。全くの素人やアルバイトがやってるなら「分かり易く」す る必要もあるでしょうが、プロがこんな初歩的なミスを犯すなんて。

いかにプロと言えども、しょせんは人間、ミスもある。もしかしたらあなた はそう思われるかも知れません。それもまた事実です。ならば、「検査名をわかりやすく明記」と言う再発防止策は疑問です。そもそも、今回は表記を読んでい ないのですから、分かり易いか、分かりにくいか、と言う問題とは違うと思います。

ちょっと話は飛びますが、私は以前電子部品の製造工場で働いて いたことがあります。そこで最終の検査工程を任されていたのですが、製品の混入については万全の対策をほどこしていました。

検査前の製品と 検査済みの製品、良品と不良品、これらが万一にも混入したり入れ替わったりしたら大変なことになります。しかし作業者は人間です。100%完璧はあり得ま せん。

こうした製造現場では初めから間違う可能性があることを大前提に対策を施します。例えば、

1.検査前、検査済みの製品 は同じ場所に保管しない。(仮置きもしない)

2.良品、不良品は入れ物(容器)の色、形状が丸きり異なる。(間違ってもセットが出来ない。)

3.間違いがないかチェックは同じ人間ではなく、別の人間が行う2者確認とする。

こんな感じです。つまり、作業者が 「次から気をつけます。」程度の再発防止策ではなく、もっとシステム的に間違わない仕組みを作ることが大事です。こんなことは、製造現場ならどこの工場で もやっていることで当り前です。品質管理の初歩中の初歩と言ってもいいです。

保健所は私たちの健康、命に関する仕事をしているところです。 電子部品の取り違えはクレームだけで済みますが、HIV検査の誤検査はとんでもなく重大です。

私は自分がHIV感染の不安でノイローゼ寸前 までいった経験があるので、今回誤通知を受けた人がどんな気持ちだったか、それを思うとたまりません。

この種のミスはこれが初めで はありません。記憶に新しいところでは、昨年7月に名古屋で陰性の人に間違って陽性と伝えるミスが発生しています。このときは、管理番号の「0」と「6」 を読み間違えたのが原因でした。

いくつかのブログでも医師が心配して書かれていますが、こうしたミスが続くと保険所で検査を受ける人が減っ ていきます。ただでさえ、最近は保健所で検査を受ける人が減っているのです。

「まさかそんなミスが起きるなんて・・・」

そ う、その「まさか」に備えるのがプロの仕事です。「そこまでしっかりチェックしてるのか!」と、私たちが驚くくらいの厳重管理をお願いしたいものです。

HIV検査の持つ意味はとても重いものがあります。今回の保険所のミスがどれだけ重大なミスだったか、あなたにも知って欲しいと思います。
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