ツルバダはHIV感染の予防薬としてアメリカで承認されました。

当サイトで5月12日に『HIV感染予防薬ツルバダ』という記事を掲載しました。その時点ではまだアメリカで正式承認はされていなかったのですが、7月16日に米食品医薬品局(FDA)が承認したと報道がありました。

ツルバダについては前回の記事で詳しくご紹介したのですが、簡単におさらいしておきます。

●開発したのはアメリカの製薬会社ギリアド・サイエンシズ(Gilead Sciences)社です。

●ツルバダ(Truvada)は、核酸系逆転写酵素阻害薬であるエムトリシタビン(エムトリバ)と、フマル酸テノホビルジソプロキシル(ビリアード)の2つを合わせた薬です。要するにHIVが感染した細胞内で自分のコピーを作る工程をじゃまして増殖出来ないようにする薬です。

●ツルバダはアメリカで2004年に抗HIV治療薬として承認され、現在では広く使用されています。

●2010年に発表された報告書では、ツルバダを毎日服用した男性同性愛者のHIV感染率は44%低くなったことが明らかになっています。

●日本国内においても日本たばこが輸入し、鳥居薬品が治療用に販売しています。薬価は1錠3,862円。1日1回1錠の服用です。

ツルバダとはこのような薬です。

今回、FDAが予防薬として承認するにあたって以下のような条件がついています。

●服用する前にはHIV検査で陰性だと証明され、その証明から3ヶ月の間が必要である。

●薬の処方前と、服用中は最低3カ月に1回の頻度で服用する人がHIVに感染していないか検査する。

●医師が安全な性行為や感染リスク削減のためのカウンセリングを行う。

以上のような条件がついています。

それにしてもこのツルバダ、私にはちょっと理解できない点があります。そもそも、どういった使われ方をするのでしょうか。ネット上の報道では、

「感染リスクの高い人向けのエイズ予防薬として初めて承認した。」

とあります。男性同性愛者、性風俗従事者など、従来のハイリスクグループとされていた人たちが対象でしょうか。ツルバダを予防薬として承認したアメリカでは、毎年新規のHIV感染者が5万人発生しており、この感染者を減らすことが目的のようです。

しかし、ツルバダの予防効果は100%ではなく、返ってコンドーム使用率が下がることのリスクの方が大きいのではないかと問題視する専門家もいるようです。

私が考えるに、他にもまだ問題点はあります。例えば、ツルバダは元々は治療薬として使われている薬なので、いったん飲み始めたら毎日必ず決められた時間に決められた量を飲み続けなければなりません。

途中で飲み忘れが出ると効果がないばかりか、万一HIVに感染していた場合にはHIVが耐性を持ってしまい、薬を飲んでも効かなくなる恐れがあります。治療用でも忘れずに飲み続けるのは難しいのに、予防用となったときにはいっそう難しいのではないでしょうか。危機感があまりないような気がします。

それから副作用の問題もあります。ツルバダを国内で販売している鳥居薬品のサイトに詳しい説明があります。頭痛、下痢、吐き気、嘔吐、発疹、鼓腸(お腹にガスがたまること)などが代表的な副作用だそうです。あるいは、妊婦や胎児に与える影響については不明だそうです。

どんな薬にも副作用は必ずありますが、特に長期服用する薬については事前に全てを明らかにすることは難しく、今後継続して使用する中で分かってくる副作用もあるでしょう。

いずれにしてもアメリカでは予防薬として承認されたツルバダですが、私が思うに日本国内で予防薬として承認される可能性は少ないと思います。ツルバダを予防薬として厚生労働省が認めることはないと思うからです。

*「生存率」・「いきなりエイズ」・「潜伏期間」

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