2011年第2四半期(4月~6月)のエイズ動向が、エイズ動向委員会より発表されました。
(9月27日付け)

その概要を速報であなたにお届け致します。

今回新規に報告されたのは、2011年3月28日から6月26日までの期間です。従って2011年の第2四半期(4月~6月)にあたります。

この第2四半期の動向は、新規のエイズ患者が四半期ベースでは過去最多となっています。

これは、最後にご紹介した委員長のコメントにもありますが、瀬在的なHIV感染者が拡大し、かつHIV検査の啓蒙が遅れていることを示しています。

HIV感染があなたの日常生活の中に存在することを、改めて知って欲しいと思います。

なお、今回の第2四半期(4月~6月)のデータは、第1四半期(1月~3月)のデータと合わせて、上半期(1月~6月)のデータとしてまとめてみました。

・・1.2011年第2四半期 新規HIV感染者とエイズ患者の人数

項目 1月-3月 4月-6月 上半期合計
新規HIV感染者数(人) 243 217 460
新規エイズ患者数(人) 117 136 253
合計数(人) 360 353 713
いきなりエイズ発症率(%) 32.5 38.5 35.5

表1.新規HIV感染者とエイズ患者

2011年第2四半期(4月~6月)における新規のHIV感染者は217人で四半期ベースでは過去21位でした。

同じく第2四半期の新規エイズ患者は136人で、こちらは四半期ベースでは過去最多となっています。

当然のようにいきなりエイズ発症率も上がり、実に38.5%にも達しています。

2010年の年間合計でのいきなりエイズ発症率が30.1%でしたから、いかに第2四半期の発症率が高いかお分かり頂けると思います。

なお、「いきなりエイズ」とは、HIV感染者が自分の感染に気がつかず、エイズを発症して初めてHIV感染に気付くことを言います。

現在の抗HIV医療では、早期にHIV感染が分かればエイズ発症を防ぐことも可能になっており、早期のHIV検査によるいきなりエイズ発症率の低減が求められています。

ご参考までに、昨年同時期とのデータもご紹介しておきます。

○2010年上期(1月~6月)の新規HIV感染者数 490人

○2010年上期(1月~6月)の新規エイズ患者数 223人

○2010年上期(1月~6月)のいきなりエイズ発症率 31.3%

昨年の上期における新規HIV感染者とエイズ患者の合計は713人で、今年の上期と同数でした。

ただし、新規エイズ患者は30人少なく、いきなりエイズ発症率も7.2%少ない状況でした。

このデータを見る限り、HIV感染の動向は悪化していると判断出来るのではないでしょうか。

・・2.2011年第2四半期 新規HIV感染者とエイズ患者の感染ルート


2-1)新規HIV感染者感染ルート

2011年第2四半期(4月~6月)の新規HIV感染者の感染ルートは以下の通りです。

感染ルート 件数 比率 (%)
異性間性的接触 39 18.0
同性間性的接触 148 68.2
静注薬物使用 0 0
母子感染 0 0
その他 9 4.1
不明 21 9.7
合計 217 100

表2.2011年第2四半期 新規HIV感染者の感染ルート

これをグラフにしたものが図1です。


図1.2011年第2四半期 新規HIV感染者の感染ルート

図1をご覧頂いてお分かりのように、新規HIV感染者の約7割近くが同性間の性的接触による感染です。全て男性で、女性による同性間の性的接触による感染はありません。

どうして男性の同性間性的接触によるHIV感染が多いかと言うと、コンドームを使用しないことが多く、かつアナルセックスによる出血、傷などによる感染リスクの高さが指摘されています。

2-2)新規エイズ患者感染ルート

2011年第2四半期(4月~6月)の新規エイズ患者の感染ルートは以下の通りです。

感染ルート 件数 比率 (%)
異性間性的接触 43 31.6
同性間性的接触 68 50.0
静注薬物使用 0 0
母子感染 0 0
その他 5 3.7
不明 20 14.7
合計 136 100

表3.2011年第2四半期 新規エイズ患者の感染ルート

これをグラフにしたものが図2です。


図2.2011年第2四半期 新規エイズ患者の感染ルート

HIV感染者同様、新規のエイズ患者においても男性の同性間性的接触が最も多い感染ルートとなっています。

・・3.2011年第2四半期 都道府県別新規HIV感染者・エイズ患者数


各都道府県別の新規HIV感染者、エイズ患者の報告件数は以下の通りです。

区分 新規HIV感染者 新規エイズ患者
都道府県 1月-3月 4月-6月 合計 1月-3月 4月-6月 合計
北海道 4 2 6 4 1 5
青森県 0 0 0 0 0 0
岩手県 0 0 0 1 0 1
宮城県 3 1 4 1 1 2
秋田県 0 0 0 0 0 0
山形県 0 0 0 1 0 1
福島県 2 0 2 0 0 0
茨城県 2 6 8 1 5 6
栃木県 3 0 3 4 1 5
群馬県 3 1 4 1 5 6
埼玉県 5 6 11 7 5 12
千葉県 9 5 14 3 9 12
東京都 91 59 150 22 28 50
神奈川県 12 15 27 5 8 13
新潟県 1 1 2 0 1 1
山梨県 4 1 5 1 0 1
長野県 2 1 3 2 1 3
富山県 0 1 1 0 1 1
石川県 1 2 3 0 2 2
福井県 3 0 3 0 1 1
岐阜県 6 1 7 4 3 7
静岡県 6 2 8 2 2 4
愛知県 17 18 35 16 17 33
三重県 0 2 2 1 3 4
滋賀県 0 1 1 1 0 1
京都府 3 1 4 3 0 3
大阪府 26 45 71 11 14 25
兵庫県 9 8 17 4 5 9
奈良県 2 2 4 1 1 2
和歌山県 0 3 3 1 0 1
鳥取県 0 1 1 0 0 0
島根県 1 3 4 0 0 0
岡山県 2 0 2 3 1 4
広島県 7 3 10 3 4 7
山口県 0 2 2 0 2 2
徳島県 1 2 3 0 0 0
香川県 1 1 2 0 1 1
愛媛県 0 5 5 1 1 2
高知県 1 0 1 0 1 1
福岡県 6 7 13 5 4 9
佐賀県 0 0 0 0 2 2
長崎県 1 2 3 1 0 1
熊本県 3 1 4 0 0 0
大分県 1 0 1 0 0 0
宮崎県 1 1 2 2 2 4
鹿児島県 4 1 5 2 3 5
沖縄県 0 4 4 3 1 4
合計 243 217 460 117 136 253

表4.都道府県別新規HIV感染者・エイズ患者数

なお、このデータはあくまでも報告件数ベースであり、新規のHIV感染者、エイズ患者が報告された都道府県に居住しているとは限りません。

例えば北海道に住んでいる人が東京に遊びに来てHIV感染が見つかれば東京でカウントされます。

表4から、新規のHIV感染者、エイズ患者の多い都道府県は、東京、大阪、愛知などです。

・・4.2011年第2四半期 新規HIV感染者・エイズ患者年代別分布


新規HIV感染者とエイズ患者の年代別分布データをご紹介します。

4-1)2011年第2四半期 新規HIV感染者の年代別分布

年齢区分 件数 比率 (%)
10歳未満 0 0
10歳~19歳 3 1.4
20歳~29歳 74 34.1
30歳~39歳 72 33.2
40歳~49歳 42 19.4
50歳以上 26 12.0
合計 217 100

表5.2011年第2四半期 新規HIV感染者の年代別分布

表5をグラフにしたものが図3です。


図3.2011年第2四半期 新規HIV感染者の年代別分布

表5、図3からもお分かりのように、新規HIV感染者は20代、30代が最も多くなっています。しかし、50歳以上にも全体の12%の新規HIV感染者が存在しています。

中高年においてはHIV、エイズに対する認識・知識不足から感染リスクが高いのではないかと指摘されているところです。

50歳以上のあなた、ご自分だけは絶対大丈夫などと、根拠のない自信を持っていませんか?それが一番危険です。くれぐれもご用心下さい。

4-2)2011年第2四半期 新規エイズ患者の年代別分布

年齢区分 件数 比率 (%)
10歳未満 0 0
10歳~19歳 1 0.7
20歳~29歳 15 11.0
30歳~39歳 37 27.2
40歳~49歳 47 34.6
50歳以上 36 26.5
合計 136 100

表6.2011年第2四半期 新規エイズ患者の年代別分布

表6をグラフにしたものが図4です。

図4.2011年第2四半期 新規エイズ患者の年代別分布

新規のエイズ患者については、エイズ発症までの潜伏期間が入るため、新規のHIV感染者に比べると高齢化しています。

ただし、エイズ発症までの潜伏期間は近年短くなる傾向にあり、かつての7年、10年から2,3年でエイズを発症する事例が増えています。

また、中高年においてはHIV検査を世間体を気にして受けないケースもあり、HIV検査を受けないままにエイズ発症に至る事例もあります。

・・5.保健所などの抗体検査数


2011年第2四半期(4月~6月)に保健所や地方自治体の実施するHIV抗体検査を受けた件数は以下の通りでした。

○1月~3月 31,155件

○4月~6月 31,553件

○1月~6月合計 62,708件

1月から6月までの上半期合計を昨年同時期と比較すると、

○2010年1月~6月合計 61,962件

となっており、746件増加している。

ただし、昨年、一昨年とHIV抗体検査を受ける件数は減少傾向にあり、昨年同時期に比べて微増程度ではHIV検査を受ける人はまだ少ないと言えます。

そのことがいきなりエイズの増加につながっていると考えらるのではないでしょうか。

・・6.献血件数、及びHIV抗体検査陽性件数


2011年上期(1月~6月)に献血を受けた件数、及びHIV陽性が発見された件数をご紹介したいと思います。

○2011年1月~6月 献血件数 2,647,381件

○同HIV陽性件数 50件

ご参考までに、2010年のデータを記載しておきます。

○2010年 献血件数 5,318,586件

○同HIV陽性件数 86件

・・7.まとめ

エイズ動向委員会委員長のコメントが次のように出されています。

『新規エイズ患者報告数の増加は、潜在的な感染者数の増加とHIV抗体検査の遅れを示唆している。』

すなわち、委員長のご指摘されるHIV検査の遅れが新規エイズ患者136人、四半期ベースでは過去最悪と言う結果に結びついているものと考えられます。

保健所や地方自治体で実施するHIV抗体検査の件数は伸びないまま、潜在的なHIV感染者は増え、いきなりエイズ発症のリスクを抱えたままになっています。

どうかあなたはいきなりエイズを発症する前に、HIV検査を受けて下さい。

現代医学はエイズ発症前に治療を開始すればエイズの発症を防ぐことが可能になっています。

どうしても保健所や病院に行きたくなければ、あなたのご自宅でもHIV検査は可能です。

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