2015年第3四半期(7月~9月)のエイズ動向が、厚生労働省エイズ動向委員会より発表されました。(11月24日付け)

その概要を速報であなたにお届け致します。最新のエイズ動向としてご覧下さい。

今回報告されたのは、2015年6月29日から2015年9月27日までの約3ヶ月間のエイズ動向情報です。従って2015年の第3四半期(7月~9月)にあたります。

情報源はこちらです⇒『エイズ動向委員会報告』

今回の発表では新規HIV感染者は236件、新規エイズ患者は103件となり、どちらも前回(2015年第2四半期)よりも減少しています。詳細は本文にて。

今回の報告でエイズ動向委員会岩本委員長コメントの中では過去になかった次のようなコメントが掲載されています。

「新規HIV感染者報告数の感染経路は同性間性的接触に集中しており、今回累計が10,000件を上回った。」

と言うことです。

私の手元にあるデータでは、1985年から2015年9月末までに報告された新規HIV感染者は17,627人です。(新規エイズ患者を含まず)従って全体の56.7%が同性間性的接触による感染と言うことになります。

もっとも、近年では同性間の感染比率はもっと上がっており、新規HIV感染者全体の70%を超えています。

また、岩本委員長のコメントとしては定番となっていますが、やはり重要だと思うので今回もご紹介したいと思います。

『早期発見は個人においては早期治療、社会においては感染の拡大防止に結びつく』

もう、何と言ってもこのコメントに尽きますね。今やHIV感染予防、治療はいかに早く感染を見つけるか、と言うことが重要になっています。

では、エイズ動向委員会のデータから主要なものをご紹介しましょう。本文のグラフ、表は全て管理人がエイズ動向委員会から公表された数値を元に作成したものです。

また、このページはかなり長文です。そこで目次を作りました。あなたが読みたい項目をクリックすると途中を飛ばして読むことが出来ます。時間のないあなたはどうぞご利用下さい。

◇2015年第3四半期エイズ動向 目次

1.2015年第3四半期(7月~9月) 新規HIV感染者とエイズ患者の人数

2.2015年第3四半期 新規HIV感染者とエイズ患者の感染ルート

3.2015年第3四半期 新規HIV感染者・エイズ患者年代別分布

4.2015年第3四半期 都道府県別新規HIV感染者・エイズ患者数

5.保健所などの抗体検査数

6.献血件数、及びHIV抗体検査陽性件数

7.まとめ

1.2015年第3四半期(7月~9月) 新規HIV感染者とエイズ患者の人数

項目 7月-9月 前回 昨年同時期
新規HIV感染者数(人) 236 267 291
新規エイズ患者数(人) 103 118 119
合計数(人) 339 385 410
いきなりエイズの割合(%) 30.4% 30.6% 29.0%

表1.新規HIV感染者とエイズ患者

表中の前回とは2015年4月~6月(第2四半期)を指します。前回から比較すると新規HIV感染者は31人、新規エイズ患者は15人の減少となっています。

では、2015年の第1四半期(1月~3月)、第2四半期(4月~6月)、第3四半期(7月~9月)の新規HIV感染者、新規エイズ患者の推移をグラフで見てみましょう。

サマリー

図1.2015年第3四半期までの推移

第3四半期までの合計

●新規HIV感染者 724人

●新規エイズ患者 321人

両方の合計は1,045人となっています。2014年(平成26年)の合計が1,546人だったので、この分なら2015年の合計は前年から減少しそうです。

それでは個別にデータをみていきましょう。

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重複感染するとより重症化したり、進行が早くなったり!
タイプO ・HIV・梅毒・B型肝検査。(男女共通
・HIVと最も重複感染の多い性感染症。

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2.2015年第3四半期 新規HIV感染者とエイズ患者の感染ルート

2-1)新規HIV感染者感染ルート
2015年第3四半期(7月~9月)の新規HIV感染者の感染ルートは以下の通りです。

感染ルート 件数 比率 (%)
異性間性的接触 39 16.5
同性間性的接触 178 75.4
静注薬物使用 0.0
母子感染 0.0
その他 2.1
不明 14 5.9
合計 236
100.0

表2.2015年第3四半期 新規HIV感染者の感染ルート

表2をご覧頂いてお分かりのように新規HIV感染者の最大感染ルートは同性間の性的接触です。178件全て男性同士の性的接触となっています。

また新規HIV感染者は前回より31件減っているのですが、男性間の性的接触に限って言えば逆に9件増えています。やはり最も感染リスクの高いルートの1つと言えます。

ではなぜ男性同士の性的接触によるHIV感染が多いのか?毎回その理由を説明していますが、避妊の必要がないのでコンドームを使用しないことが多い、アナルセックスは小さな傷や出血が多い、こうしたことがHIV感染の確率を高めています。

また、今回母子感染は0件でした。前回は1件発生していました。

表2をグラフにしたものが図2です。

HIV感染ルート
図2.2015年第3四半期 新規HIV感染者の感染ルート

図2の黄色と青が性的接触による感染です。合計91.9%となります。不明が5.9%ありますから、分かっている感染ルートで言えばほぼ全て性的接触によるものだと言えます。

従ってHIV感染の予防はいかに性的接触による感染を防ぐか、と言うことに尽きます。

2-2)新規エイズ患者感染ルート

2015年第3四半期(7月~9月)の新規エイズ患者の感染ルートは以下の通りです。

感染ルート 件数 比率 (%)
異性間性的接触 23 22.3
同性間性的接触 60 58.3
静注薬物使用 0.0
母子感染 0.0
その他 1.0
不明 19 18.4
合計 103
100.0

表3.2015年第3四半期 新規エイズ患者の感染ルート

新規エイズ患者の感染ルートもまた男性同士の性的接触が最大感染ルートとなっています。その理由は先ほど説明した通りです。

表3をグラフにしたものが図3です。

エイズ感染ルート
図3.2015年第2四半期 新規エイズ患者の感染ルート

新規エイズ患者の方も性的接触による感染合計は80.6%であり、不明が18.4%であることを考えると、ほとんど性的接触によって感染していることが分かります。

 

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・一番怖い病気と一番感染者が多い病気

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3.2015年第3四半期 新規HIV感染者・エイズ患者年代別分布

新規HIV感染者とエイズ患者の年代別分布データをご紹介します。

3-1)2015年第3四半期 新規HIV感染者の年代別分布

年齢区分 件数 比率 (%)
10歳未満 0.0
10歳~19歳 1.3
20歳~29歳 73 30.9
30歳~39歳 79 33.5
40歳~49歳 64 27.1
50歳~59歳 10 4.2
60歳~69歳 2.1
70歳以上 0.8
不明 0.0
合計 267
100.0

表4.2015年第3四半期 新規HIV感染者の年代別分布

この表だけでは分布が直観的に分かりずらいのでグラフにしてみました。図4をご覧下さい。

表4をグラフにしたものが図4です。

HIV年齢分布
図4.2015年第3四半期 新規HIV感染者の年代別分布

第3四半期の特徴はHIV感染者が20代~40代に集中していることです。この年代だけで90%を超えています。むろん、この世代は常に感染者が多いのですが、今回は特に集中しています。その分、50代以上の感染者が減っています。

今回の発表では50歳以上の全体に占める割合は7.2%であり、一桁でした。これはたぶん今回だけに見られる傾向ではないかと思います。

3-2)2015年第3四半期 新規エイズ患者の年代別分布

年齢区分 件数 比率 (%)
10歳未満 0.0
10歳~19歳 0.0
20歳~29歳 8.7
30歳~39歳 24 23.3
40歳~49歳 39 37.9
50歳~59歳 18 17.5
60歳~69歳 8.7
70歳以上 3.9
不明 0.0
合計 103
100.0

表5.2015年第3四半期 新規エイズ患者の年代別分布

こちらも表では感覚的に分かりずらいのでグラフをご覧頂きましょう。

表5をグラフにしたものが図5です。

エイズ年齢分布
図5.2015年第3四半期 新規エイズ患者の年代別分布

図5をご覧頂いてお分かりの通り、新規エイズ患者は50歳以上にも多く分布しています。全体の30.1%を占めています。先ほどの図4と比較すると、その差がよく分かります。

50歳以上ではHIV感染が分かった人の実に64.6%がすでにエイズを発症していたことになります。つまり、3人に2人がいきなりエイズだったのです。

毎回50歳以上の「いきなりエイズ」の割合は全体平均より高いのですが、今回は特にその傾向が顕著でした。どうぞ中高年のあなたはお気をつけ下さい。HIV感染の不安が少しでもあれば早期のHIV検査を受けて下さい。エイズ発症前のHIV検査は救命的検査となります。

 

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4.2015年第3四半期 都道府県別新規HIV感染者・エイズ患者数

2015年第3四半期(7月~9月)の都道府県別HIV感染者、エイズ患者の動向を表にしてあります。また今回までの累計データも載せました。赤字は特に感染者の多い都道府県です。

区分 新規HIV感染者 新規エイズ患者
都道府県 今回 累計 今回 累計
北海道 12 256 152
青森県 48 30
岩手県 27 31
宮城県 120 84
秋田県 21 23
山形県 25 23
福島県 68 45
茨城県 522 320
栃木県 242 192
群馬県 184 133
埼玉県 495 337
千葉県 756 517
東京都 90 6,551 15 2,009
神奈川県 14 1,203 12 588
新潟県 90 58
山梨県 107 47
長野県 303 196
富山県 37 28
石川県 74 36
福井県 48 34
岐阜県 137 117
静岡県 404 199
愛知県 1,031 526
三重県 148 84
滋賀県 73 60
京都府 226 112
大阪府 43 2,232 21 724
兵庫県 383 213
奈良県 103 71
和歌山県 59 47
鳥取県 14 16
島根県 18
岡山県 129 74
広島県 205 109
山口県 57 21
徳島県 34 21
香川県 57 45
愛媛県 72 53
高知県 35 23
福岡県 458 224
佐賀県 30 14
長崎県 48 31
熊本県 76 57
大分県 49 26
宮崎県 49 37
鹿児島県 77 57
沖縄県 201 102
合計 236 17,582 103 7,954

表6.都道府県別新規HIV感染者・エイズ患者数

なお、このデータはあくまでも報告地ベースであり、新規のHIV感染者、エイズ患者が報告された都道府県に居住しているとは限りません。例えば北海道に住んでいる人が東京に遊びに来てHIV感染が見つかれば東京でカウントされます。

表6から、新規のHIV感染者、エイズ患者の多い都道府県は、東京、大阪、神奈川、千葉、愛知などです。

また、あなたのお住まいの都道府県でHIV感染者やエイズ患者が少ないからといって、それはあなたがHIVに感染するリスクが少ないと言うことではありません。どうぞ誤解されないようにお気をつけ下さい。

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5.保健所などの抗体検査数

2015年第3四半期(7月~9月)に保健所や地方自治体の実施するHIV抗体検査を受けた件数は以下の通りでした。

◇2015年7月~9月の保健所などにおける抗体検査件数

時期 今回 前回 昨年同時期
件数(件) 29,335 31,576 33,998

表7.保健所抗体検査数(保健所以外の自治体が実施する検査を含む)

ご覧のように、前回から2,241件減少、昨年同時期から4,663件の減少となっています。

保健所でのHIV検査は無料・匿名だしスタッフも揃っています。まずは保健所でのHIV検査がオススメです。でも、どうしても保健所に行けないあなたには自宅で使えるHIV検査キットもあります。心配や不安があれば放置しないで下さい。

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6.献血件数、及びHIV抗体検査陽性件数

2015年の1月~9月に献血を受けた件数、及びHIV陽性が発見された件数をご紹介したいと思います。

◇2015年1月~9月の献血件数

時期 献血件数 HIV陽性件数 10万人当り
件数(件) 3,670,194 35 0.954

表8.献血件数とHIV陽性件数

献血はHIV検査の代わりにはなりません。HIV感染が心配なあなたは献血ではなく保健所で検査を受けて下さい。

 

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7.まとめ

以上、厚生労働省エイズ動向委員会が11月24日付で発表した2015年の第3四半期(7月~9月)のエイズ動向をご紹介しました。前回(2015年4月~7月)と比較すると新規HIV感染者、新規エイズ患者、共に減少しています。

エイズ動向委員会、岩本委員長のコメントにもありますが、あなたに少しでも不安があるなら早期のHIV検査を受けて下さい。現在、HIV感染は致死的疾患ではありませんが、それでもエイズを発症してからの治療は困難です。死に至らなくても重大な後遺症が残ることもあります。

早期のHIV検査はあなたにとって救命的検査であることを忘れないで下さい。

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