HIVに感染した血液が献血後に行われるNAT検査を陰性でパスし、後でそれが陽性だと分かりました。

当サイトで何回も記事にしていますが、

「献血をHIV検査代わりに使ってはいけない」

ということを改めて記事にしてみたいと思います。

◇HIVがNAT検査をすり抜けた日

今から9年前の2003年7月16日、新聞各社に次のような見出しが並びました。

「HIV感染血、高精度献血検査を素通り !」

HIVに感染した献血者の血液が、献血後に行われた高精度のHIV検査を素通りし、「HIVに感染していない血液」として使われたというニュースでした。ここでいう「高精度のHIV検査」とは、血液センターが1999年(平成11年)から導入を始めたNAT検査のことです。NAT検査ではHIVの遺伝子検査を行います。

NAT検査導入前はHIV抗体検査によってHIVに感染した血液を見つけていました。しかし、抗体検査では感染後のウインドーピリオドが長いため、その間に感染者が献血を受けると感染したことが分からない危険性がありました。感染してもすぐにはHIV抗体が現れないためです。

事実、1997年1人、99年2人の計3人が、検査をすり抜けた感染血液の輸血を受け、HIVに感染したと報告されています。HIVに感染した血液を輸血された場合の感染確率は90%と非常に高いのです。(HIV検査相談マップによる)

そこで導入されたのがNAT検査です。日本赤十字社のホームページによると、HIV抗体検査では感染後22日間は検出不可と書いてあります。保健所などのHIV抗体検査ではウインドーピリオドを3ヶ月と設定していますから、それに比べるとかなり短いです。

これは私の理解ですが、日本赤十字社の22日という意味は、絶対に検査出来ない期間だと思います。HIVに感染した後に現れるHIV抗体の出現時期はかなり個人差があります。保健所では最も遅い人でも確実に検査が出来るよう、3ヶ月というかなりマージンを持った設定にしています。

実際には3ヶ月にならなくても早い人はすでにHIV抗体が現れています。でも、「どんなに早い人でも感染して22日までは現れない。」それが日本赤十字社の意味するところだと思われます。

一方、NAT検査のウインドーピリオドについて、日本赤十字社は抗体検査よりも短いとしながらも具体的な日数をホームページ上には公表していません。私が調べたところ、一般的には11日間とされているようです。抗体検査の22日に対しては半分になっています。

この点で確かにNAT検査導入により献血で集めた血液の安全性は高くなりました。しかし、NAT検査においてもウインドーピリオドはゼロではありあせん。わずかな可能性であっても、可能性があることはいつか必ず起きます。

そして冒頭の新聞記事です。HIVに感染した血液がNAT検査をすり抜けてしまいました。


◇不幸中の幸い、血液は未使用だった

ただ幸いだったことに、このHIV感染者の血液は輸血には使われず、血液凝固因子製剤などの原材料として保管中でした。危ういところで血液感染を免れたのです。先ほども書きましたが、もしもこの血液が輸血に使われていたら、90%の確率で血液感染が起きているところでした。

しかし、HIVに感染した血液がNAT検査をすり抜けてしまった事実は多くの関係者にショックを与えたそうです。(「からだを蝕むウイルスのすべてがわかる本」中経出版による)

当時の検査体制としては、献血で集めた血液を最初に抗体検査し、陰性となった血液をNAT検査にかけていました。従って問題の血液は抗体検査とNAT検査の2回の検査をパスしたことになります。

当時の新聞記事によると、通常のNAT検査では献血者1人当りから0.004mlの血液を取り出して検査します。これでHIVを見つけることが出来ませんでした。

しかし、個別NAT検査と呼ばれるもっと精度の高い検査では献血者1人当りから0.2mlの血液を取り出して検査を行います。この検査においては問題の血液から微量のHIVが検出されたそうです。

だったら初めから個別NAT検査にすればいいとも考えられますが、恐らく個別NAT検査は時間的な問題や経費の点で全数検査には使えないのだと思います。


以上、今から9年前の2003年に、HIVに感染した血液が献血のNAT検査をパスしてしまったという当時のニュースをお伝えしました。最先端の検査技術をもってしてもHIV感染直後の検査は不可なのです。従って、もしもあなたにHIV感染の不安や心当たりがあるなら、絶対に献血には行かないで下さい。献血を検査代わりに使わないで下さい。

あなたの最寄の保健所に行けば無料・匿名でHIV検査を受けることが出来ます。もし、あなたがどうしても保健所には行きたくないのなら、あなたの自宅でHIV検査を行うことも可能です。

*保健所や病院に行かなくても、簡単にHIV検査ができます。

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