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HIVと重複感染の事例が多い性感染症をご紹介します。性感染症とは、性行為を感染ルートとする感染症ですから、当然重複感染はあり得ます。特に梅毒、クラミジア、淋菌などに感染していると、健康な人の何倍もHIVへの感染リスクが高くなります。(理由は本文にて)

では、実際にHIVとの重複感染が多い性感染症はどんなものがあるのかご紹介しましょう。情報元は「HIV感染者の早期発見と社会復帰のポイント」(医薬ジャーナル社)です。下のグラフをご覧下さい。



このデータは男性同性愛者におけるHIV感染者がHIV以外の性感染症にも感染しているかを調べたデータです。(調査時期、母数については不明です。)

男性同性愛者だけでみると、HIVとの重複感染が最も多いのはB型肝炎で71%、次いで梅毒の68%となっています。私が保健所でHIV検査を受けたときにもらったHIV小冊子には、『HIVと最も重複感染が多いのは梅毒』と書いてありました。

HIVと梅毒の重複感染は、梅毒の感染速度が速くなったり、症状が重症化したりすることがあり要注意です。

また、アメーバ赤痢と言う、あまり名前を聞かない性感染症が登場しています。これは赤痢アメーバと言う病原体によって起きる大腸炎です。感染ルートは性行為だけでなく、病原体のついた食物をとることでも感染します。国立感染研究所のホームページによれば、性行為感染の場合には男性同性愛者に感染者が多いそうです。

今回はHIVとその他の性感染症との重複感染をご紹介しました。この重複感染を調べるには保健所を利用することもできます。多くの保健所ではHIV検査と同時にクラミジア、梅毒の検査もHIV同様無料・匿名で行っています。ぜひ利用されてみてはいかがでしょうか。

逆に、HIV以外の性感染症が心配で検査を受けるときには、同時にHIV検査を受けることをお勧めします。HIVに感染しても自覚症状はまずありませんから、何かの機会を利用してHIV検査を受けることはとても大事です。何といっても、感染に気付くのが遅れて一番危険なのはHIVです。

最後に、クラミジアや梅毒などに感染すると、HIVに感染しやすくなる理由について説明しておきます。

梅毒、クラミジア感染症、性器ヘルペスなどは感染すると性器に炎症や潰瘍(かいよう)が起きます。するとそこからウイルスが侵入しやすくなります。そして、人間が持つ自然治癒力が働いて、そういった患部にはリンパ 球が集まってきます。リンパ球が炎症の元になっている細菌を殺しに集まるのです。ところが、これもHIVには好都合なのです。

HIV はそのリンパ球に含まれるヘルパーT細胞と言う免疫機能の中枢細胞に取り付き、増殖を繰り返すのです。炎症や潰瘍によって、HIVは侵入はたやすくなる し、増殖もしやすくなる。まさにHIVにしてみれば願ったり叶ったりです。

では、実際にはどのくらいHIVの感染確率が上がるのでしょうか。これについては色んな専門書に書かれていますが、「ストップHIV/AIDS 岡  慎一 少年写真新聞社刊」(2006年)の中にはこう書かれてあります。

「性感染症による粘膜局所(性器の粘膜部分)に炎症があると、正常な場合の2倍から5倍感染しやすい。更に潰瘍(かいよう)があると50倍から 300倍感染しやすい。」

この記述の元データは示されていませんでしたが、医療現場からの報告には重みがあります。一般に、性行為によるHIVの感染確率は、1回あたり 0.1%だそうです。これから計算すると、粘膜局所に潰瘍のある人が、HIV感染者と性行為を持つと実にたった1回で30%の感染確率になります。

HIV感染予防と言う観点から、これらの性感染症を知り、予防や早期発見に努めることは大事だと思います

以上、HIVと重複感染の多い性感染症についてお伝えしました。

ご参考までですが、検査キットを使うと重複感染が心配な性感染症がまとめて検査できます。

*HIVとの重複感染チェックはこちら

男性用 複合型検査キット STDチェッカー TypeE
HIV・梅毒・B型肝炎・クラミジア(喉の検査は含まず)・淋菌(喉の検査は含まず)
女性用 複合型検査キット STDチェッカー TypeF
HIV・梅毒・B型肝炎・クラミジア(喉の検査は含まず)・淋菌(喉の検査は含ま ず)
トリコモナス・カンジダ


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