TOP コラム一覧コラム(HIV/エイズの現状編>HIV・エイズと同性間性行為感染

今回はHIV感染者、エイズ患者における男性の同性間性的接触による感染についてお届けしたいと思います。

国内におけるHIV感染者、エイズ患者の感染ルートの中で、最も多いルートは男性同士の性的接触によるものです。例えば、2009年のエイズ動向委員会実績データを見てみましょう。

◇2009年 HIV感染者 1,021人
このうち、日本人男性の同性間性的接触による感染 659人=64.5%

◇2009年 エイズ患者 431人
このうち、日本人男性の同性間性的接触による感染 205人=47.6%

なぜ、このように男性の同性間性的接触による感染が多いのでしょうか。それは、コンドームを使用しないアナルセックスによる感染リスクが非常に高いからです。

避妊の必要がないのでコンドームの使用率が低く、かつ小さな傷がついたり、出血しやすいのです。それはHIVが侵入しやすい、感染しやすいことを意味しています。

「HIV・エイズに関する意識調査」によれば、一般の男女間でのコンドーム使用率は39%だったそうです。避妊目的が入ってこの数値ですから、同性間の性行為ではもっと使用率は低いのかも知れません。

さて、山本敏晴氏のブログで「日本のエイズ対策の現状」と言う記事を見つけました。この中で、日本におけるMSMの人口を推計で出し、感染リスクについて考察されています。

◇MSM=Men who have Sex with Men(男性と性交する男性)・・・国内で約70万人

なのだそうです。詳しい根拠はオリジナルの記事をご覧下さい。

更に記事の中では、2008年までのHIV感染者、エイズ患者のデータを使って考察を進めています。それに習って、ここでは最新の2009年までのデータで検証してみることにします。

◇1985年~2009年までの累計データ


表1.1985年~2009年 累計データ

表1のように、累計のHIV感染者・エイズ患者の合計では、MSMの場合が57.4%を占めています。MSMでない場合と言うのは、MSMを除く全ての感染ルートです。異性間の性的接触、血液感染、ルート不明など、残り全部です。

ここまでのデータはよく目にします。感覚的にも男性同士の性的接触による感染が一番多いのだなと分かります。ところが、先のブログ記事は、更にここからもう一段突っ込んで検証しています。

MSMの人口を推定し、MSMの場合と、MSMでない場合の、それぞれで人口10万人当たりでどのくらいのHIV感染者・エイズ患者がいるのかを推計しているのです。

同じ基礎データ、考え方を使って、データを2009年までの最新でやってみた結果が次の表です。

◇MSMの場合と、MSMでない場合 人口10万人あたりのHIV感染者・エイズ患者


表2.MSM、MSMでない場合の人口10万人当たりのHIV感染者・エイズ患者
推計基礎データ
1)20歳から59歳までの日本人男性人口=34,140,037人(2005年国勢調査)
2)MSMの推定人口=682,800人(計算方法はブログ記事参照)

MSMの推定人口については、サンプリング調査からの推計なので、精度の問題はあると思います。また、MSMでない場合の計算方法も厳密さに欠けます。従って大まかな概算としてとらえてください。

一応、このデータがある程度信頼出来るものとして表2を見れば、いかに男性同時の性的接触がリスクが高いか分かります。HIV感染に関しては、MSMでない場合よりも実に94倍も多いのです。

単に絶対数が多い、と言う見方よりも、人口10万人当たり、と測る基準を揃えるとより分かりやすくなりますね。山本氏のブログ記事では、このデータの分析を進めて、今後のエイズ対策をどう行うべきかを考察しています。とても参考になる内容なので、よかったらぜひのぞいてみて下さい。

こちらから⇒「日本のエイズ対策の現状」

山本氏は、国内においてはHIVやエイズ、MSMについても偏見や差別が存在し、そういったものを総合的に改善していくことが重要だと指摘されています。単にHIV検査のキャンペーンを張るだけでは効果は薄いのだそうです。
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