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毎年12月1日は世界エイズデーです。この日を中心とした色んなイベントが全国各地で催されています。あなたの地元ではいかがですか?

さて、世界エイズデーと言うこともあって、ここ数日はHIVやエイズに関するブログ記事が目立ちました。ちょっと検索するだけで5つ、6つと出てきます。そんな記事の中で「あれ?」と違和感を感じる記事を見つけました。

記事全体の趣旨としては、HIV感染者は増加傾向にあるので気をつけましょう、といった全く賛成すべき主旨です。ただ、記事の中で気になったのが次のような表現です。

『最近のHIV感染者、エイズ患者の増加は性行為感染が多いと考えられます』

そして、その前段には『以前は輸血や血液製剤による感染が多かった』とあります。どちらも書かれている内容はその通りで間違っていません。ただ、私が違和感を感じたのは、ちょっと時間軸がずれているように感じたからです。

つまりHIV感染が性行為によって拡大しているのは最近ではなく、ずっと以前からです。ブログで言う「最近」が10年前を指すならその通りですが。

確かに1980年代後半、日本にエイズが上陸した頃は多くの血友病患者がHIVに汚染された血液製剤で感染しました。正確な感染者数は不明ですが、『薬害エイズ「無罪判決、どうしてですか?』(中公新書ラクレ)によると、2001年の段階で血友病患者5000人のうち、1500人がHIVに感染し、500人以上が亡くなったとあります。

ですから、当時の日本においてはHIV感染者、エイズ患者の問題は社会問題、医療問題としての色合いが強く、性感染症としての問題意識は小さかったかも知れません。

しかし、エイズ動向委員会の報告を見てもわかるように1985年以来、新規のHIV感染者は薬害を除けば圧倒的に性行為感染が多く、改めて性感染症として対策が必要だと分かります。

ですから、ブログ記事にあるような「最近の・・・・性行為感染が多い」ではなく、とっくの昔から性行為感染が多いのです。決して最近になって多くなったのではありません。

ついでに言えば、HIVの感染ルートは性行為の他に、血液感染、母子感染があります。しかしこの3つを並べて同じ比重で問題とするのはナンセンスだと思います。なぜなら性行為感染が圧倒的に多く、まさにこの感染ルートに的を絞って対策を打つべきだと思うからです。

今回、私があえて重箱の隅をつつくような取り上げ方をしたのは、もしかしたらあなたが『HIV感染は自分には関係ない』と思っているかも知れないと考えたからです。あなたはHIVやエイズは社会問題、医療問題であって自分の身近な問題ではないと思っていませんか?もしかしていまだにHIVを薬害問題だと思っていませんか?

でも、間違いなくHIV感染は性感染症であり、あなたのすぐ身近に存在する大きなリスクです。社会的には大きく問題視されることも少なくなりましたが、深く静かに拡大の一途をたどっています。そして1年前の私のように、いざ自分自身の身の上にHIV感染の疑いが降りかかると慌てます。「まさか自分が・・・・」と思ってあせるのです。

どうかあなたはHIV感染を遠い世界の人ごとだと思わないでください。どんなに感染確率が低くても、いったん感染してしまえば確率など何の意味もありません。

今回はちょっと細か過ぎる話だったかも知れませんが、どうぞHIV感染にご用心ください。

まだHIV感染リスクがピンと来ないと言うあなたにはこちらの記事をどうぞ⇒『HIV検査があなたの命を救います』


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