HIV感染症が完治した、とするニュースが過去にいくつかありました。あれって、ホントなのでしょうか?

あなたもよくご存知のように、現在の医学ではHIVに感染した人を完治させることは出来ません。体内のHIV増殖を抑えてエイズの発症を防ぐことが可能になった段階です。

ところが、過去にほんの数例ですがHIV感染症が完治したとする報道がありました。もしもそれが本当だとしたら、いったいどうやってHIV感染症から完治したと断定することが出来たのでしょうか?その根拠は?

・・◇HIV感染症が完治した、というけれど・・・


当サイトでもHIV感染症が完治した、とするニュースを過去にいくつか記事にしています。最近では、『世界で2例目?エイズが治った?』という記事を書きました。

ところが、私はつい最近こんな記事を見つけました。『HIV 薬で撃退は本当か? 海外で治癒報告相次ぐが・・・』

この記事で問題提起しているのは、

「HIV感染が完治したと判断する方法」

についてです。

先の記事の例では患者に抗HIV治療を中止して5ヶ月後に検査をしても血液中にウイルスが見つからなかったそうです。それをもって完治したと判断しています。

これはいったいどういうことか説明します。現在の医学ではHIVに感染した人を完治させることは出来ませんがエイズの発症を防ぐことは出来ると書きました。

それは抗HIV薬によって体内のHIV増殖を抑えることが可能になったからです。HIVが増えることを防げば人間の免疫機能が働いてHIVはどんどん減っていきます。

薬で治療しないときはHIVが減る量よりも増える量が多いのでやがて免疫力が低下してエイズを発症するのです。

では、薬でHIVの増殖を抑え、その量を減らすといってもどのくらいまで減らすことが可能なのでしょうか。完治出来ないということはゼロにはならない、ということです。

実は体内のHIVの量を測定するのには限界があります。これ以上少ない量は検出できない、という検出限界があるのです。

国立国際医療センター エイズ治療・研究開発センターの運営するホームページによれば、血液中のウイルス量測定は高感度測定で

●50コピー/ml

ままで測定可能なのだそうです。(1mlは1リットルの1/1000です)

これ以下のウイルス量は測定出来ません。従って抗HIV薬による治療においては血液中のHIVが検出限界以下になることを目指します。そして薬によってそれが達成される患者さんも多く存在します。

HIVが検出限界以下まで減ると免疫力低下による日和見感染症のリスクは小さくなります。薬に対する耐性が生まれる可能性も小さいし、感染力も下がります。

ただし、残念ながら抗HIV薬の投与を中止してしまうと数週間から数ヶ月後に再びHIVが増殖します。これが一般的なHIV治療における現状です。

従って先の例のように抗HIV薬の投与を中止して5ヶ月も経過してなおウイルスが見つからないのは画期的なのです。それゆえ「HIV感染症が完治した」と報告されている訳です。

しかし、本当にもうHIVが現れることがないのか、それはもっと長いスパで調査を継続してみないと分からないとする専門家もいます。体内のHIVは血液中だけでなく細胞や神経の中にも隠れていることがあるのだそうです。

もしも血液中のウイルス量測定に検出限界がなく、例え1コピーでも存在すれば見つけることが可能であれば完治の判定も可能でしょう。むろん、細胞や神経に隠れているHIVも見つけることが条件です。

現実にはそこまで見つけることが出来ないので、検査でウイルスが検出できなくても、まだ体内にHIVが存在する可能性があるわけです。

っという・

・・◇抗体検査で完治判定は可能か?


ここで1つ素朴な疑問が湧きます。私たちが保健所で受けるHIV抗体検査、これでHIV感染症の完治判定は可能でしょうか?もしも体内からHIVが完全にいなくなった状態でHIV抗体が消えるなら、それはHIV感染の完治判定に使えると言えないでしょうか?

しかし、残念なことにそれについて書かれた記事を見つけることが出来ません。本にも医療サイトにも出て来ません。

ただ、私が見つけた医療サイトでこんな記事がありました。

●一度体内で作られたHIV抗体は、どんなに薬で治療して体内のHIVが減少しても消えることはない。検出限界以下になってもHIV抗体は消えない。

●エイズ患者が亡くなる直前、免疫機能が破壊された状態ではHIV抗体が消えることがある。それはウイルスが消えたのではなく免疫力がもはや抗体を作る力さえ残っていない末期状態であることを示すものである。

⇒『HIV抗体が消えることがあるのか?』

この2つの記事からは、本当にHIVが完全に消えたとき、HIV抗体も消えるのか、それは分かりません。何しろいったんHIVに感染して完治したとされる人が極めて少ないので研究も進まないのだと思います。

もしもこれから先、医学がHIVを完治させることが可能になる日がやってくれば、きっとHIV完治の判定方法も研究されることでしょう。

まぁ、判定方法はともかくとして、そう遠くない将来にHIVが完治できる日が来ることを願っています。

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