HIVの治療薬が感染予防に役立つと言うニュースをご紹介します。ニュースソースはこちら

国連合同エイズ計画(UNAIDS)と世界保健機関(WHO)は2011年7月13日、エイズ治療用の
飲み薬の服用でHIV感染が6割から7割予防できることが明らかになった、と発表しました。

「えーーー!!ホンマかいな?」

と言うのが私の第一感です。治療薬で予防が出来る?それが本当なら画期的ではないか?

HIV感染はまだ完治させる薬もワクチンもない。そこに予防可能な方法が見つかったとなれば、
それはもう画期的!

と思ったのですが、よくよく記事を読んでみると、無条件で画期的と喜べる話でもなさそうです。

同発表によれば、次の2つの実験結果から、HIV感染の予防が出来るとしています。

1.実験その1

アメリカワシントン大学が東部アフリカのケニアとウガンダで臨床試験を行いました。

まず、試験の対象者ですが、どちらか一人はHIV陽性で、もう一人は陰性というカップルを
4,758組選びました。

そして、カップルを3つのグループに分け、それぞれのグループで、HIVに感染していない方の
パートナーに薬を飲んでもらいます。

その薬の飲み方は次の3通りです。

○グループA
抗ウイルス剤テノフォビルを1日1錠飲む。

○グループB
抗ウイルス剤テノフォビルとエムトリシタビンの両方を1日1錠ずつ飲む。

○グループC
偽薬を飲む。

すなわち、グループAとBのHIV陰性パートナーはエイズ治療薬を飲み、グループCの
パートナーには偽薬を飲んでもらったのです。

この条件で、HIVに感染していないパートナーへどのくらいHIVが感染するかを調べたのです。

ここで、グループCについて説明しておきます。何のために偽薬を飲ませるのか?
これは一般に新薬の治験のときにも同じことをします。

ある新薬が開発されて、その薬の効果や副作用を確かめるとき、本物の新薬と小麦粉のような
無害でかつ何の効果も副作用も出ない偽薬を別々の患者に飲ませます。

むろん、偽薬を飲む患者にも、これは新薬だと信じこませて渡します。
それで、新薬を飲んだ患者と、偽薬を飲んだ患者で、その効果や副作用を比較するのです。

人間と言うのは、例え小麦粉であっても飲んだ本人が新薬だと信じ込むと、何らかの効果や
副作用が出るのです。これをブラセボ効果と言います。

新薬の効果や副作用はこのブラセボ効果を差し引いて検証しないと本当のメリット、デメリットが
分かりません。

新薬が小麦粉と同じ効果しか出なかったら、それは新薬としての価値がないことになります。

このように、ブラセボ効果を考慮して今回の試験もグループCを作って偽薬を飲ませたのです。
さて、この試験の結果はどうだったのでしょうか。

偽薬を飲んだグループCに対して、テノフォビルを飲んだグループAは62%の感染減、
テノフォビルとエムトリシタビンの両方を飲んだグループBは73%の感染減だったそうです。

すなわち、エイズ治療薬を飲んだグループにおいては、HIV感染予防効果が顕著に現れたと
言うことになります。

2.実験その2

また、アメリカ疾病管理センター (CDC)も南部アフリカのボツワナで、1200組のカップルに
対して同様の臨床試験を行っています。

その結果、偽薬に対して、テノフォビルとエムトリシタビンの両方を飲んだグループは、63%の
感染減だったそうです。

3.それでどうなる?

以上の2つの試験から、エイズ治療薬を飲めばHIV感染を予防する効果があると分かりました。
ただ、記事の中ではなぜHIV感染が予防出来るのか、その理由については何も触れていません。

もともとエイズ治療薬と言うのは、体内でのHIV増殖を抑える働きをする薬なので、仮にHIVが侵入
してきても感染初期の増殖を抑えてしまうと言うことでしょうか。

HIVはキスなどの唾液では感染しないことが分かっていますが、唾液の中にもHIVは含まれています。
ただ、HIVの量が少なくて感染しないのです。

同様に、エイズ治療薬を飲んでいる人は体内でHIVが増えないから結果として感染しないと言う
理屈なのでしょうか。ここは素人の私には全く分かりませんでした。

いずれにしても、エイズ治療薬がHIV感染予防に効果があるからと言って、毎日薬を飲み続ける
訳にはいかないですね。

費用の問題、副作用の問題、それに耐性の問題もあるのではないでしょうか。

国連合同エイズ計画(UNAIDS)と世界保健機関(WHO)ではHIV感染者の多いアフリカに
おいて、今回の試験結果がHIV感染予防につながると期待しています。

私には具体的にこの試験結果をどう医療現場で活用するのか分かりません。
予防薬として普及させるのは色々と難しい点があるように思うのですが。

むろん、これによってHIV感染者が減る施策が打てるなら、それは非常に喜ばしいことだと
思います。

特に坑HIV医療がまだまだ行き届かないアフリカにおいて活用されればこんな素晴らしい
ことはありません。そうなることを願うばかりです。

以上、エイズ治療薬がHIV感染予防に効果的と言うニュースをお届け致しました。

なお、文中のブラセボ効果についての説明は記事の中にはありません。
私が補足的に付けくわえました。

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