TOP コラム一覧コラム(検査・治療)>HIV検査を更に早く・その理由は


今回はHIV(エイズ)検査を今まで以上に早く受けて下さい、と言うお話をお伝えします。

HIV検査は感染の心配や不安があるなら出来るだけ早く受けた方がいいに決まっています。もしもHIVに感染していれば、体内ではどんどんHIVが増殖するし、免疫力は低下していくからです。治療を受けないと数年のうちにエイズを発症してしまいます。

だから、もしもHIVに感染してたら・・・と考えると、検査は早く受けた方がいいのです。それは改めて言うまでもなく、分かりきっています。しかし、このHIV検査を早期に受ける重要性が更に高まっている、と言うのが今回お伝えしたい内容です。

2010年3月に、「抗HIV治療ガイドライン」の最新版が公開されています。この「抗HIV治療ガイドライン」と言うのは1998年から公開され始めたもので、日本のエイズ治療を世界標準レベルに保ち、国内のHIV診療に役立てることを目的としています。

このガイドライン作成を担当しているのは、厚生労働科学研究費補助金エイズ対策研究事業「HIV感染症及びその合併症の課題を克服する研究」班(白阪琢磨班長)です。とても名前が長いのですが、国内の抗HIV医療の第一線で活躍されている専門医が担当されています。

「抗HIV治療ガイドライン」は全部で143ページに及び、内容は多岐に渡っています。その中で、特にHIV検査に関連する情報を抜き出してお伝えしようと思います。

その最も重要な点は、HIV感染を早く見つけることの重要性が高まっている、と言う点です。それはイコールHIV検査を早期に受ける必要性が高まっていることを意味します。なぜなら、HIV感染は検査を受ける以外に知る方法がないからです。

では、どうしてHIV感染を早く見つける重要性がが高まったのでしょうか。ガイドラインから2つの理由が読みとれます。

●理由その1

HIV感染者に対して抗HIV治療を開始すべきと思われる免疫力低下の指標が見直しになった。これ、ちょっと何のことか分かりにくいですね。分かりやすく説明します。

私たちがHIVに感染すると、体内ではHIVがどんどん増え続け、同時に免疫力が低下していきます。もしも治療を受けずに放置していると、やがては免疫機能が働かなくなって、健康な人であれば問題ないような病原体も退治することが出来なくなります。いわゆる免疫不全状態となり、日和見感染症と言われるいろんな病気(エイズ指標疾患)を発症して、最後には死に至ります。

現在の抗HIV治療は、HIVに感染した人の体内でHIVが増えるのを抑え、免疫力の低下を防ぐものです。私たちの免疫力がどのくらいあるのか、その指標としてCD4と言う値が使われます。CD4の値が大きいほど免疫力は強く、逆に小さくなると免疫力の低下を示します。普通、健康な人だとCD4は700から1000くらいです。このCD4の値が200を切ると、エイズ指標疾患といわれる色んな病気を発症するのです。

CD4はヘルパーT細胞という、免疫機能の中枢をつかさどる細胞の数を表しています。実は、HIVは人の体内に侵入すると、このヘルパーT細胞に取り付き、破壊していきます。私たちは免疫機能のおかげでいろんな外敵から守られているのですが、このヘルパーT細胞が減っていくと免疫機能も低下して色んな病気にかかってしまうのです。

そして、2009年の「抗HIV治療ガイドライン」では、このCD4が350を下回ったら、抗HIV薬の投与を開始するのがよいとされていました。それが2010年のガイドラインでは、350より多い段階での治療開始を積極的に推奨する、と言う表現に変わっています。具体的な指標としては、CD4が500を下回ったら治療開始を考えてもよいとされているのです。

調査報告によれば、CD4の値が、350以下になってから治療を開始した患者と、CD4が351から500の間にあるときに治療を開始した患者で は、前者の方が死亡率が高かったそうです。

また、CD4が351から450までの間にある患者に治療を開始した場合と、451から550までの間にある患者で治療を開始した場合では、エイズ発症率、死亡率は同程度だったそうです。この報告の結果、治療開始の目安、指標としてCD4が500と言うラインが出てきました。

こうなると、抗HIV治療の有効性からみれば、HIV検査もより早い時期が望ましいわけです。HIV感染が分かったとき、CD4がまだ500以上あれば、より効果的な治療を受けることが出来るからです。ただ、HIVに感染してどのくらいの期間でCD4が500以下になるのか、それは個人差が大きく一概には言えないそうです。

従って、私たちにすればHIV感染の可能性、心当たりがあればすぐに検査を受けるのが、今まで以上に大事ということになります。

●理由 その2

HIV感染から、エイズ発症までの潜伏期間が短くなっている。これは、そのものズバリです。早くHIV検査を受けないと、エイズ発症に間に合わないのです。CD4が500以下になったら・・・なんて言ってる猶予さえなくなります。

このサイトでも、「エイズの潜伏期間が短くなる?」という記事をお伝えしました。今度のガイドラインでもそのことにふれています。アメリカでは、新たにHIVに感染した人の36%が1年以内にエイズを発症した、と言う報告があったそうです。潜伏期間が短くなっているのは、HIVが人の免疫攻撃から逃れるために変異した可能性が示唆されているそうです。ただ、この潜伏期間の短縮と原因については、まだ確定した見解は得られていないとガイドラインでは書かれています。

しかし、日本でもアメリカでもそういった傾向が出ていることは事実であり、私たちが自分の身を守る観点から言えば、早期検査はより必要性と重要性を増したと言えます。

以上の2点から、HIV検査を早期に受ける必要性をお分かり頂けたでしょうか。抗HIV治療を従来の基準よりも早く開始した方が、より効果的だと分かったこと、エイズ発症までの潜伏期間が短くなる傾向が分かってきたこと、この2点です。

エイズ動向委員会から発表された2010年の第2四半期(4月~6月)の新規エイズ患者報告件数は、四半期ベースでは過去最多となる129件でした(HIV感染者は同263件)。 今後の拡大が懸念されています。こうした現実を知るにつれても、自分の身は自分で守ることが大事だと思います。むろん、同時に自分の大切な人を守ることにもなります。

「HIV検査のススメ」=「いきなりエイズ」を防ぐには、早期の検査でHIV感染をみつける以外 に方法はありません。=

HIV感染からエイズ発症までの潜伏期間がどんどん短くなっているデータをご存知ですか? でも、HIV感染は早期に発見できればエイズ発症を抑え る(遅らせる)ことができるようになりました。「いきなりエイズ」の前に、絶対HIV検査を受けてください。

・・増加する「いきなりエイズ」を防ぐには、早期にHIV検査を受ける以外に方法はありません。⇒ 「HIV検査のススメ」








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