平成26年(2014年)のエイズ動向、正式版データをお届けします。

8月11日に厚生労働省エイズ動向委員会から平成26年エイズ動向報告が発表されました。その主要数値データを私が作成したグラフや表などを使ってお伝えしたいと思います。あなたのHIV感染予防にお役立て下さい。

(本ページのソースはこちら⇒『平成26年(2014年)エイズ発生動向年報』)

【 目 次 】

■エイズ動向委員会 委員長コメント

1.エイズ発生動向の概要

2.HIV感染者/エイズ患者の報告状況

3.HIV感染者/エイズ患者の感染ルート

4.HIV感染者/エイズ患者の年齢別分布

5.いきなりエイズ

6.都道府県別の新規HIV感染者とエイズ患者

7.保健所におけるHIV抗体検査件数

8.献血件数と陽性件数

HIV感染者、エイズ患者の動向データが、あなたのHIV感染予防、エイズ発症予防に役立てば幸いです。

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■エイズ動向委員会 委員長コメント

厚生労働省エイズ動向委員会の岩本委員長からのコメントです。私の独断と偏見で抜粋しました。

●平成26年(2014年)の新規HIV報告者件数は過去3位、新規エイズ患者報告件数は過去4位、両方を合わせた新規報告件数は過去3位であった。

●平成26年にHIVに感染したと報告された患者の3割はすでにエイズを発症していた。エイズ発症前にHIV感染が分かればエイズを抑えることも可能であり、早期のHIV検査が重要である。

●新規HIV感染者、新規エイズ患者、共に最大感染ルートは同性間(男性同士)の性的接触である。

●新規HIV感染者では20代が最も多く、新規エイズ患者も20代で増えている。

●HIV感染の早期発見は個人にとっては早期治療社会全体としてはHIV感染拡大防止に結びつくので保健所HIV検査を積極的に利用して欲しい。

 

1.エイズ発生動向の概要

まずは、平成26年に報告された新規HIV感染者と、新規エイズ患者の件数をご紹介します。

表1をご覧下さい。

平成26年(人) (昨年)
1.新規HIV感染者 1,091 1,106
2.新規エイズ患者 455 484

(表1)平成26年新規HIV感染者・エイズ患者

平成26年の新規のHIV感染者は、平成25年よりも15件減って1,091件でした。これは、過去3番目に多い数字となっています。ちなみに過去最多は平成20年の1,126件となっています。

一方、平成26年における新規のエイズ患者は、平成25年よりも29件減って455件でした。これは過去4番目に多い数字となっています。

では、新規HIV感染者、新規エイズ患者の推移をグラフでご覧ください。

HIV・エイズ
(図1)新規HIV感染者・エイズ患者の推移

ここ数年は新規HIV感染者、新規エイズ患者ともに横ばい状態です。急増している、という状況にはないように見えますが、減少しているとも言えないように思います。

ここでいう新規エイズ患者はHIV感染が分かったときにはすでにエイズを発症していた患者さんのことです。冒頭の岩本委員長のコメントにもありましたが、早期にHIV感染と分かればエイズ発症を防ぐことも可能です。

確かにエイズで亡くなる人は減りましたが、それでもエイズ発症前の治療開始とエイズ発症後の治療開始では生存率も違うし後遺症の問題もあります。まさに早期のHIV検査は救命的検査と言えます。

 

2.新規HIV感染者/エイズ患者の報告状況

では、ここからもう少し詳しく平成26年の動向を見て行くことにしましょう。まずは、新規HIV感染者の報告件数を、過去からの推移で男女別に見てみることにします。

HIV推移
(図2)新規HIV感染者の推移

毎回同じフレーズを書いていますが、圧倒的に男性の方にHIV感染者が多くなっています。身体の構造からくる感染確率では男性より女性の方が高いのに、感染者の実数では男性が多いのです。

これは男性同士の性的接触がHIVの最大感染ルートになっているからです。これはコンドームなしのアナルセックスが最大感染ルートの原因とされています。

アナルセックスでは小さな傷がつきやすく、また出血もしやすいのです。そこからHIVが感染しやすくなります。

次に、新規エイズ患者の推移を見てみましょう。

エイズ推移
(図3)新規エイズ患者の推移

新規エイズ患者もまた、新規HIV感染者同様、男性の方が圧倒的に多くなっています。理由はHIV感染者と同様です。

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3.新規HIV感染者/エイズ患者の感染ルート

3-1)新規HIV感染者の感染ルート

平成26年における新規HIV感染者の感染ルートは以下の通りでした。

感染ルート 件数 比率(%)
異性間性的接触 179 16.4%
同性間性的接触 789 72.3%
静注薬物使用 3 0.3%
母子感染 1 0.1%
その他 24 2.2%
不明 95 8.7%
合計 1,091 100.0%

(表2)新規HIV感染者感染ルート

同性間の性的接触が72.3%を占めています。この感染ルートは全て男性でした。ただし、ここで言う同性間性的接触者は、同時に異性間の性的接触を持つ人を含みます。

また、母子感染が昨年に続き1件報告されています。詳細な発生状況は分かりませんが、出産前のHIV検査で感染が分かっていればかなりの高率で母子感染を防ぐことが可能です。このケースは事前のHIV検査はどうだったのでしょうか。

表2をグラフにしたものが図4です。

HIV感染ルート正式版
(図4)新規HIV感染者感染ルート

新規HIV感染者の88.7%が性的接触によって感染しています。いかにセーファーセックスが重要かお分かり頂けると思います。

余談ですが、未だにHIVの感染ルートを説明するのに、性的接触と血液感染、母子感染を同等に説明しているサイトを見かけます。このグラフをご覧頂けば一目瞭然、あなたがHIVに感染しないためには何が重要か、これでお分かり頂けると思います。

3-2)新規エイズ患者の感染ルート

平成26年における新規エイズ患者の感染ルートは以下の通りでした。

感染ルート 件数 比率(%)
異性間性的接触 120 26.4%
同性間性的接触 258 56.7%
静注薬物使用 4 0.9%
母子感染 1 0.2%
その他 11 2.4%
不明 61 13.4%
合計 455 100.0%

(表3)新規エイズ患者感染ルート

表3からお分かり頂けるように、感染ルートの56.7%は同性間性的接触です。このルートは女性は0件でした。

表3をグラフにしたものが図5です。

エイズ感染ルート正式版
(図5)新規エイズ患者感染ルート

新規エイズ患者の83.1%が性的接触による感染です。

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4.HIV感染者/エイズ患者の年齢層

それでは、新規HIV感染者とエイズ患者は、どんな年齢層が多いのでしょうか。

年齢層別に見てみましょう。

4-1)新規HIV感染者の年齢層分布

新規HIV感染者(人) 比率(%)
10歳未満 1 0.1
10-19 16
1.5
20-29 349 32.0
30-39 347 31.8
40-49 243 22.3
50-59 79 7.2
60-69 49 4.5
70歳以上 7 0.6
不明 0 0
合計 1,091 100.0

(表4)新規HIV感染者の年齢層分布

表4をグラフにしたのが下の図6になります。


HIV年代別正式版
(図6)新規HIV感染者の年齢層分布

新規のHIV感染者は20代から40代が多いのですが、今回は20代が最多となっています。今年の5月に平成26年のエイズ動向速報値が出てから色んなメディアで20代の感染者が多いとニュースになっていました。

また、60代、70代にも新規HIV感染者は存在します。改めてHIV感染に年齢は関係ないことが分かります。中高年のあなたもご用心下さい。

4-2)新規エイズ患者の年齢層分布

新規エイズ患者(人) 比率(%)
10歳未満 1 0.2
10-19 3 0.7
20-29 49 10.8
30-39 135 29.7
40-49 151 33.2
50-59 72 15.8
60-69 34 7.5
70歳以上 10 2.2
不明 0 0
合計 455 100.0

(表5)新規エイズ患者の年齢層分布

表5をグラフにしたのが下の図7です。

エイズ年代別正式版
(図7)新規エイズ患者の年齢層

新規エイズ患者については30代、40代に多いのですが、50歳以上にも全体の25.5%分布しています。高齢者ほど「いきなりエイズ」の割合が高く、HIV感染の可能性があるのにHIV検査を受けていない人が多いのではないかと思われます。

次のいきなりエイズで詳しく説明したいと思います。

 

5.いきなりエイズ

次に、新規HIV感染者におけるいきなりエイズの割合を見てみましょう。いきなりエイズ、と言うのはHIVに感染している人が、自分のHIV感染に気が付かずそのまま放置して、文字通りいきなりエイズを発症してしまうことを言います。

いきなりエイズの割合=(新規エイズ患者)/(新規エイズ患者+新規HIV感染者)×100%

では、実際には新規にHIVに感染したと報告された件数のうち、どのくらいいきなりエイズだったのか、過去16年間の推移をグラフで見てみましょう。図8をご覧下さい。

いきなりエイズ正式版
(図8)いきなりエイズの割合

平成26年のいきなりエイズの割合は29.4%で平成25年より1%下がりました。しかし、この10年間はほど30%前後で推移しています。

さらにいきなりエイズの割を50歳未満と50歳以上に分けてみると・・・。

●50歳未満のいきなりエイズ=26.2%

●50歳以上のいきなりエイズ=46.2%

こんな結果になります。50歳以上ではHIVに感染していると分かった時点でほぼ2人に1人はですでにエイズを発症していることになります。

むろん、HIV感染からエイズ発症までの潜伏期間は数年から10年以上と、非常に長いので高齢者にエイズ患者が多いのは分かります。

しかし、何度も繰り返し書いていますがHIVは早期に感染が見つかればエイズ発症を抑えることも可能です。高齢者ほどHIV検査を受けていないのではないかと思われます。「いきなりエイズ」を防ぐ早期のHIV検査は、救命的検査と言えます。

関連記事:HIV検査があなたの命を救います

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6.都道府県別の新規HIV感染者とエイズ患者

平成26年の都道府県別の新規HIV感染者、エイズ患者は以下の通りです。昭和60年(1985年)からの累計データといっしょにまとめてみました。

やはり東京、神奈川、大阪、愛知など人口の多い大都会に集中しているようですね。

区分 新規HIV感染者 新規エイズ患者
都道府県 2014年 累計 2014年 累計
北海道 19 235 9 145
青森県 2 48 3 28
岩手県 2 28 1 30
宮城県 8 117 4 81
秋田県 1 21 0 23
山形県 1 22 1 24
福島県 3 63 2 43
茨城県 10 516 11 314
栃木県 12 236 10 189
群馬県 14 180 7 133
埼玉県 24 480 23 328
千葉県 36 735 21 500
東京都 410 6,312 96 1,956
神奈川県 68 1,158 29 563
新潟県 2 85 1 57
山梨県 1 107 1 44
長野県 4 300 4 194
岐阜県 9 128 11 108
静岡県 16 386 8 195
三重県 9 144 2 85
愛知県 67 995 32 506
富山県 2 36 0 26
福井県 2 47 6 31
石川県 9 73 3 36
滋賀県 4 69 5 55
京都府 12 221 6 106
大阪府 156 2,122 53 689
兵庫県 23 365 11 207
奈良県 8 98 6 67
和歌山県 3 57 1 46
鳥取県 0 13 3 14
島根県 1 17 2 7
岡山県 13 117 7 70
広島県 16 204 10 101
山口県 1 54 2 19
徳島県 4 29 1 20
香川県 1 50 1 37
愛媛県 5 69 1 50
高知県 4 34 3 19
福岡県 46 434 24 205
佐賀県 4 27 1 13
長崎県 7 46 3 28
熊本県 5 74 6 54
大分県 9 48 2 25
宮崎県 8 41 5 31
鹿児島県 7 75 5 54
沖縄県 23 187 12 102
合計 1,091 15,812 455 7,658

(表6)都道府県別新規HIV感染者と新規エイズ患者

仮にあなたのお住まいの都道府県で、HIV感染者が少なかったとしても、だからと言ってあなたが安全だと言うことにはなりません。かつて私もそうでしたが、何となく勘違いしてしまいがちです。くれぐれも誤解なきようお願い致します。

 

7.保健所などにおけるHIV抗体検査件数

続いて、平成26年における保健所など自治体でのHIV抗体検査の件数をご紹介します。ここ数年減少傾向でしたが、歯止めはかかったのでしょうか。

保健所HIV検査正式版
(図9)保健所でのHIV抗体検査件数

グラフを見ると過去3年間は少しずつですが件数は増加しています。平成20年(2008年)のピーク時にはまだ及びませんが、かなり回復してきたと言えるのではないでしょうか。

全国の保健所では無料・匿名検査が可能です。また、梅毒やクラミジアなどの性感染症も同時に検査出来るところが多くあります。ぜひあなたも最寄の保健所をご利用下さい。

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8.献血件数と陽性件数

次は、平成26年に全国の血液センターなどで行われた献血の件数と、その中から見つかったHIV陽性件数をご紹介します。

献血HIV正式版
(図10)献血件数とHIV陽性件数

図10では1987年から2014年(平成26年)までの献血件数、及び献血で見つかったHIV陽性件数を表しています。グラフをご覧頂いてお分かりのように、2008年(平成20年)をピークにHIV陽性件数は減少しています。

この献血におけるHIV陽性件数の持つ意味は、潜在的なHIV感染者の動向を表しているとされています。何しろ年間に500万件以上の不特定多数の献血を行った中でのHIV陽性です。潜在的なHIV陽性者の動向を反映している一面はあると思います。

それからすると、潜在的なHIV感染者は減少しているのかも知れません。

ただ、このサイトでも幾度となく記事にしてきましたが、献血を受けてもHIV検査の代わりにはなりません。どうぞあなたはHIV感染が少しでも心配、不安であれば献血に行かずに保健所へ行って下さい。どうしても保険所に行けないのなら、自宅で検査キットを使う方法もあります。

決して献血をHIV検査の代用にしないようお願いします。

 

以上、平成26年の新規HIV感染者、新規エイズ患者の動向報告をお届け致しました。

最後にもう一度繰り返します。あなたに何も自覚症状がなくてもHIV感染の不安や心当たりがあるなら、早期のHIV検査をお勧め致します。

本文の中でもご紹介しましたが日本では新規のHIV感染者として報告された人の30%以上が、自分の感染に気が付かないまま、「いきなりエイズ」を発症しています。あなたのHIV感染は検査を受けるしか判定する方法はありません。

早期のHIV検査は救命的検査です。

あなたが、HIV検査を受ける決心はついたけど、どうしても保健所に行く時間がなかったり、誰にも知られず、誰にも会わずにHIV検査を受けたいと思うならこんな方法もあります。かつて私が深刻なHIV感染疑惑に陥ったときにも使いました。

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