2011年第3四半期(7月~9月)のエイズ動向が、エイズ動向委員会より発表されました。(11月25日付け)

その概要を速報であなたにお届け致します。最新のエイズ動向としてご覧下さい。

今回新規に報告されたのは、2011年6月27日から9月25日までのエイズ動向実績です。従って2011年の第3四半期(7月~9月)にあたります。

この第3四半期の動向は、新規のHIV感染者は増加、エイズ患者は減少となっています。

エイズ動向委員会岩本委員長コメントでは、

「更なるHIV感染の早期発見に努め、個人においては早期治療、社会においては感染予防につなげたい。」

としています。

今回のデータから、HIV感染のリスクがあなたの日常生活の中に存在することを、改めて知って頂けたらと思います。

なお、今回の第3四半期(7月~9月)のデータは、上半期(1月~6月)のデータと合わせて、2011年(1月~9月)のデータとしてまとめてみました。

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・・1.2011年第3四半期 新規HIV感染者とエイズ患者の人数

項目 1月-6月 7月-9月 合計
新規HIV感染者数(人) 460 265 725
新規エイズ患者数(人) 253 108 361
合計数(人) 713 373 1,086
いきなりエイズ発症率(%) 35.5 28.9 33.2

表1.新規HIV感染者とエイズ患者

2011年第3四半期(7月~9月)における新規のHIV感染者は265人で四半期ベースでは過去9位でした。

同じく第3四半期の新規エイズ患者は108人で、過去14位でした。

これらの数値を昨年(2010年)の同時期と比較してみると、

●新規HIV感染者
2010年第3四半期 257人⇒2011年 265人 昨年同時期に比較すると8人増加

●新規エイズ患者
2010年第3四半期 111人⇒2011年 108人 昨年同時期に比較すると3人減少

となっています。

更に、1月から9月までの合計を昨年同時期と比較してみます。

◇2010年1月~9月と2011年1月~9月の比較

分類 新規HIV感染者 新規エイズ患者 いきなりエイズ発症率
2010年 747人 334人 30.1%
2011年 725人 361人 33.2%

表2.2010年1月~9月と2011年1月~9月の比較

表中の「いきなりエイズ」とは、HIV感染者が自分の感染に気がつかず、エイズを発症して初めてHIV感染に気付くことを言います。

現在の抗HIV医療では、早期にHIV感染が分かればエイズ発症を防ぐことも可能になっており、早期のHIV検査によるいきなりエイズ発症率の低減が求められています。

早期のHIV検査については冒頭にご紹介したエイズ動向委員会の岩本委員長のコメントでもその重要性、必要性が述べられています。

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・・2.2011年第3四半期 新規HIV感染者とエイズ患者の感染ルート


2-1)新規HIV感染者感染ルート

2011年第3四半期(7月~9月)の新規HIV感染者の感染ルートは以下の通りです。

感染ルート 件数 比率 (%)
異性間性的接触 63 23.8
同性間性的接触 178 67.2
静注薬物使用 2 0.8
母子感染 0 0.0
その他 7 2.6
不明 15 5.7
合計 265 100.0

表3.2011年第3四半期 新規HIV感染者の感染ルート

これをグラフにしたものが図1です。


図1.2011年第3四半期 新規HIV感染者の感染ルート

図1をご覧頂いてお分かりのように、新規HIV感染者の約7割近くが同性間の性的接触による感染です。全て男性で、女性による同性間の性的接触による感染はありません。

どうして男性の同性間性的接触によるHIV感染が多いかと言うと、コンドームを使用しないことが多く、かつアナルセックスによる出血、傷などによる感染リスクの高さが指摘されています。

2-2)新規エイズ患者感染ルート

2011年第3四半期(7月~9月)の新規エイズ患者の感染ルートは以下の通りです。

感染ルート 件数 比率 (%)
異性間性的接触 28 25.9
同性間性的接触 60 55.6
静注薬物使用 0 0.0
母子感染 0 0.0
その他 2 1.9
不明 18 16.7
合計 108 100.0

表4.2011年第3四半期 新規エイズ患者の感染ルート

これをグラフにしたものが図2です。


図2.2011年第3四半期 新規エイズ患者の感染ルート

HIV感染者同様、新規のエイズ患者においても男性の同性間性的接触が最も多い感染ルートとなっています。

ただ、この第3四半期では珍しく女性の同性愛者による新規エイズ患者が1件報告されています。

ただし、この集計で同性愛者の定義は「同性愛者+両性愛者」となっているため、実際の感染が同性だったのか、異性だったのは不明です。

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・・3.2011年第3四半期 都道府県別新規HIV感染者・エイズ患者数


各都道府県別の新規HIV感染者、エイズ患者の報告件数は以下の通りです。

◇2011年第3四半期 都道府県別HIV感染者・エイズ患者

区分 新規HIV感染者 新規エイズ患者
都道府県 1月-6月 7月-9月 合計 1月-6月 7月-9月 合計
北海道 6 6 12 5 1 6
青森県 0 3 3 0 1 1
岩手県 0 0 0 1 1 2
宮城県 4 4 8 2 2 4
秋田県 0 1 0 0 0
山形県 0 1 1 1 0 1
福島県 2 0 2 0 1 1
茨城県 8 4 12 6 1 7
栃木県 3 5 8 5 2 7
群馬県 4 1 5 6 0 6
埼玉県 11 7 18 12 0 12
千葉県 14 10 24 12 5 17
東京都 150 79 229 50 17 67
神奈川県 27 17 44 13 7 20
新潟県 2 3 5 1 2 3
山梨県 5 2 7 1 0 1
長野県 3 7 10 3 0 3
富山県 1 0 1 1 0 1
石川県 3 2 5 2 2 4
福井県 3 1 4 1 1 2
岐阜県 7 4 11 7 3 10
静岡県 8 4 12 4 3 7
愛知県 35 10 45 33 7 40
三重県 2 4 6 4 1 5
滋賀県 1 1 2 1 1 2
京都府 4 3 7 3 2 5
大阪府 71 41 112 25 21 46
兵庫県 17 7 24 9 5 14
奈良県 4 2 6 2 0 2
和歌山県 3 2 5 1 2 3
鳥取県 1 0 1 0 0 0
島根県 4 0 4 0 0 0
岡山県 2 4 6 4 1 5
広島県 10 5 15 7 1 8
山口県 2 1 3 2 0 2
徳島県 3 1 4 0 0 0
香川県 2 2 4 1 3 4
愛媛県 5 0 5 2 2 4
高知県 1 0 1 1 1 2
福岡県 13 10 23 9 4 13
佐賀県 0 1 1 2 1 3
長崎県 3 2 5 1 1 2
熊本県 4 0 4 0 1 1
大分県 1 2 3 0 2 2
宮崎県 2 3 5 4 1 5
鹿児島県 5 0 5 5 0 5
沖縄県 4 3 7 4 2 6
合計 460 265 725 253 108 361

表5.都道府県別新規HIV感染者・エイズ患者数

なお、このデータはあくまでも報告件数ベースであり、新規のHIV感染者、エイズ患者が報告された都道府県に居住しているとは限りません。

例えば北海道に住んでいる人が東京に遊びに来てHIV感染が見つかれば東京でカウントされます。

表5から、新規のHIV感染者、エイズ患者の多い都道府県は、東京、大阪、愛知などです。

また、あなたのお住まいの都道府県でHIV感染者やエイズ患者が少ないからといって、それはあなたがHIVに感染するリスクが少ないと言うことではありません。どうぞ誤解されないようにお気をつけ下さい。

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・・4.2011年第3四半期 新規HIV感染者・エイズ患者年代別分布


新規HIV感染者とエイズ患者の年代別分布データをご紹介します。

4-1)2011年第3四半期 新規HIV感染者の年代別分布

年齢区分 件数 比率 (%)
10歳未満 0 0.0
10歳~19歳 8 3.0
20歳~29歳 77 29.0
30歳~39歳 90 34.0
40歳~49歳 53 20.0
50歳以上 37 14.0
合計 265 100.0

表6.2011年第3四半期 新規HIV感染者の年代別分布

表6をグラフにしたものが図3です。


図3.2011年第3四半期 新規HIV感染者の年代別分布

表6、図3からもお分かりのように、新規HIV感染者は20代、30代が最も多くなっています。しかし、50歳以上にも全体の14%の新規HIV感染者が存在しています。

中高年においてはHIV、エイズに対する認識・知識不足から感染リスクが高いのではないかと指摘されているところです。

50歳以上のあなた、ご自分だけは絶対大丈夫などと、根拠のない自信を持っていませんか?それが一番危険です。くれぐれもご用心下さい。

4-2)2011年第3四半期 新規エイズ患者の年代別分布

年齢区分 件数 比率 (%)
10歳未満 0 0.0
10歳~19歳 0 0.0
20歳~29歳 13 12.0
30歳~39歳 38 35.2
40歳~49歳 31 28.7
50歳以上 26 24.1
合計 108 100.0

表7.2011年第3四半期 新規エイズ患者の年代別分布

表7をグラフにしたものが図4です。

図4.2011年第3四半期 新規エイズ患者の年代別分布

新規のエイズ患者については、エイズ発症までの潜伏期間が入るため、新規のHIV感染者に比べると高齢化しています。

ただ、私の周囲では高齢者になるほど保健所でHIV検査を受けるのを嫌がる人が多くいます。世間体を気にする、保健所職員との対面検査を嫌がるなどが理由です。

グラフをご覧頂いてお分かりのように、50歳以上の新規エイズ患者が全体の24%を占めています。中高年のあなたは保健所が嫌なら自宅で検査キットを使う方法もあります。

少しでもHIV感染の不安があればいきなりエイズ発症前にHIV検査を受けて下さい。

しかも、エイズ発症までの潜伏期間は近年短くなる傾向にあり、かつての7年、10年から2,3年でエイズを発症する事例が増えています。

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・・5.保健所などの抗体検査数


2011年第3四半期(7月~9月)に保健所や地方自治体の実施するHIV抗体検査を受けた件数は以下の通りでした。

◇2011年1月~9月の保健所などにおける抗体検査件数

時期 1月ー3月 4月ー6月 7月ー9月
件数(件) 31,155 31,553 31,307
合計(件) 94,015

表8.保健所抗体検査数

ご覧のように、

●2011年 1月~9月に保健所などで実施されたHIV抗体検査の合計件数
94,015件

これを昨年同時期と比較すると、

●2010年 1月~9月に保健所などで実施されたHIV抗体検査の合計件数
95,330件

と言うことで、昨年同時期よりも更に受検者数が1,315件減少しています。ここ数年前年割れが続いており、HIV検査を保健所で受ける人は減る一方です。

HIVやエイズに対する世間の関心が薄れてしまったことが要因と言われています。しかし、いきなりエイズを未然に防ぐ唯一の方法は早期のHIV検査です。

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・・6.献血件数、及びHIV抗体検査陽性件数


2011年の1月~9月に献血を受けた件数、及びHIV陽性が発見された件数をご紹介したいと思います。

○2011年1月~9月 献血件数 3,936,332件

○同HIV陽性件数 70件

ご参考までに、2010年の年間データを記載しておきます。

○2010年 献血件数 5,318,586件

○同HIV陽性件数 86件

2011年も9月までに70件、献血で集められた血液からHIVが見つかっています。HIV感染直後は、HIVに感染した血液が検査をすり抜ける可能性があります。

あなたは献血をHIV検査代わりに使う事のないようお願いします。

ちなみに献血では仮にあなたがHIVに感染していても、検査結果は教えてくれません。HIV検査の代用には出来ない仕組みになっているのです。

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・・7.まとめ


冒頭ご紹介したように、エイズ動向委員会岩本委員長のコメントが次のように出されています。

「更なる HIV感染の早期発見に努め、個人においては早期治療、社会においては感染予防につなげたい。」

保健所や地方自治体で実施するHIV抗体検査の件数は減少傾向を続け、潜在的なHIV感染者の増加が懸念されます。、

もし、あなたにHIV感染の不安や、思い当たる感染の可能性があれば、どうかいきなりエイズを発症する前に、HIV検査を受けて下さい。

現代医学はエイズ発症前に治療を開始すればエイズの発症を防ぐことが可能になっています。

早期のHIV検査こそ、あなたにとって救命的検査になるかも知れません。

どうしても保健所や病院に行きたくなければ、あなたのご自宅でもHIV検査は可能です。

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