ここでは、エイズ指標疾患と呼ばれる23の疾患についてお話します。
「感染するとどうなるの?」のページでも書きましたが、もしもあなたがHIVに感染すると、あなたの免疫力はどんどん低下していきます。HIVがあなたの免疫細胞を破壊するためです。
免疫機能が低下したあなたは、健康なときなら問題にならないような弱いウイルスや細菌にも感染してしまいます。このように、HIVに感染して、免疫力低下状態となって発症する疾患を、エイズ指標疾患といい、現在は23種類が指定されています。
23疾患は厚生労働省が、「HIV感染症/AIDS診断基準」として決めているものです。あなたがHIV感染者で、この23疾患のどれか1つでも発症すれば、その時点であなたはエイズ患者と認定されます。
従って、この認定前は、あなたがHIV感染者であっても、エイズ患者ではありません。私も以前はここを勘違いしていました。HIVに感染すると、すぐにエイズ患者だと思っていたのです。
23疾患には、色んなウィルスや細菌によって感染する日和見感染症や日和見悪性腫瘍、HIV脳症、消耗性症候群などがあります。
日和見感染症とは、通常の抵抗力のある人なら何でもないような毒性の弱い病原体によって発症する感染症のことです。
では、まず23疾患を全部あげて見ます。
◆真菌症(カビなど)
1.カンジダ症(食道、気管、気管支、肺など)
2.クリプトコッカス症(肺以外)
3.コクシジオイデス症
4.ヒストプラズマ症
5.ニューモシスチス肺炎
◆原虫症
6.トキソプラズマ脳症(生後1ヶ月以後)
7.クリプトスポリジウム症(1ヶ月以上続く下痢を伴ったもの)
8.イソスポラ症(1ヶ月以上続く下痢を伴ったもの)
◆細菌感染症
9.化膿性細菌感染症
10.サルモネラ血症(再発を繰り返すもので、チフス菌によるものを除く)
11.活動性結核
12.非結核性抗酸菌症
◆ウィルス感染症
13.サイトメガロウィルス感染症
14.単純ヘルペスウィルス感染症
15.進行性多巣性白質脳症
◆腫瘍
16.カポジ肉腫
17.原発性脳リンパ腫
18.非ホジキンリンパ腫
19.浸潤性子宮頸癌
◆その他
20.反復性肺炎
21.リンパ性間質性肺炎/肺リンパ過形成
22.HIV脳症(認知症、または亜急性脳炎)
23.HIV消耗性症候群(全身衰弱、またはスリム病)
・
以上、23疾患がエイズ指標疾患です。日頃なじみのない病名ばかりで、病名を見ただけではどんな病気なのか、さっぱり分かりませんね。
どれも、健康で免疫力のある人なら、簡単に感染したり発症しない病気なのですが、HIVによって免疫力が低下しているためにかかる病気です。
この23疾患の中から、代表的な病気を4つばかり、『エイズ指標疾患 その2』でご紹介したいと思います。
文中にも書きましたが、HIVに感染してもこの23疾患を発症するまではエイズ患者ではありません。そして、現在の抗HIV医療ではエイズ発症前にHIV感染が分かれば、エイズの発症を抑えることも出来るようになりました。すなわち、23種類のエイズ指標疾患を発症せずに済むのです。
かつてはHIVに感染すれば平均余命は7年と言う致死的疾患であったHIV感染は、今では死亡者は激減しています。しかし、それには早期発見、早期治療が条件です。
あなたがエイズは他人事、遠い世界のお話とばかりに、
「自分に限っては大丈夫・・」
なんて根拠のない気休めや自信に頼っていると、エイズ指標疾患を発症し、
「まさか自分がHIVに感染するとは・・」
となる危険性もあります。
2010年の厚生労働省の調査結果では、HIV感染者の30.1%は自分がHIVに感染したことに気がつかず、「いきなりエイズ」を発症しているのです。
繰り返しますが、「いきなりエイズ」発症前にHIV感染が見つかればエイズ発症を防ぐことも出来ます。HIV検査はあなたにとって救命的検査になるかも知れません。
最後に、私が自分のHIV感染を疑ったときに使用した検査キットをご紹介します。あなたが保健所に行く時間がなかったり、誰にも知られたくない、誰にも会わずにHIV検査を受けたいと思うならこれがお勧めです。
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