先日見つけたネット上の記事が気になったので、今回はそれを取り上げてみたいと思います。
その記事というのはHIV検査を勧める記事だったのですが、こんな文章が掲載されていました。
『HIV感染症は早期に治療すればエイズの発症を抑え、命を落とすことはなくなりました。しかし、HIV感染に気が付かずエイズを発症すると命を落とすことが多いのです。』
このような記事です。
さて、これって本当でしょうか?
◇「エイズ発症は命を落とす!」ってホント?
先の記事の言わんとすることは分かります。
エイズ発症前にHIV感染が見つかれば薬でエイズを防ぐことが出来るので、HIV感染が心配な人はどうぞ早めにHIV検査を受けて下さい、と言いたいのです。
それは全くその通りで間違っていません。当サイトでも度々書いているように、早期のHIV検査は救命的検査となります。
しかし、問題は最後の一言です。
『エイズを発症すると命を落とすことが多いのです。』
これは事実でしょうか?本当でしょうか?
確かに、HIV感染症、エイズ関連サイトを見ると、
「エイズ発症前にHIV感染が分かればエイズを防ぐことが出来る。」
と言うことが繰り返しアピールされています。HIV検査の重要性を説いています。
では、すでにエイズを発症してしまった人は?エイズ患者はどうなるの?
ここはあまり書かれていない気がします。
だから先ほどのような一文が出てくると、
「そうか、エイズを発症してしまえば命が危ないのか。」
ついそう思ってしまうかも知れません。
ここ数年、日本における新規のHIV感染者は年間でほぼ1,500人ほどです。このうち約30%はすでにエイズを発症しています。
この30%の人たちは命が危ないのでしょうか。
では、実際にエイズ患者がどのくらい亡くなっているのか、厚生労働省エイズ動向委員会のデータを見てみましょう。
下のグラフをご覧ください。
1989年から2015年まで27年間の新規HIV感染者、新規エイズ患者、病変死亡者の推移です。
データはエイズ動向委員会から公表されたものを使ってグラフ化しています。
1997年頃から始まったART(多剤併用法)と呼ばれる抗HIV治療によってエイズ患者の予後は劇的に改善され、ここからエイズで亡くなる患者は激減していきます。
上のグラフでは赤い棒グラフが病変死亡者件数なのですが、今説明した通り1997年あたりから劇的に減少しています。
◇ART(多剤併用法)によってエイズ患者の死亡は激減
上のグラフからもお分かりのように、病変死亡報告件数はここ10年間は10件から20件ほどです。それに比べて新規エイズ患者の報告件数は400件から480件ほど報告されています。
冒頭ご紹介したサイト記事のように、
『エイズを発症すると命を落とすことが多いのです。』
というような事実を示すデータはありません。(現状を多いと解釈するなら話は別ですが)
ただしグラフの病変死亡者数の報告は任意なので、エイズで亡くなった方全てを合算した件数ではありません。(HIV感染者、エイズ患者は全数報告が義務づけられています)
従って、実際にはグラフ以上にエイズで亡くなっている方がいるかも知れません。そこは実態が不明です。
しかしエイズを発症した人の多くが命を落としていることはないはずです。
ARTによってHIV感染者がエイズを発症せずに済むのは体内のHIV増殖を抑え、ウイルス量を検出限界近くまで減らすからです。
それによって免疫力の低下を防ぎ、日和見感染症によるエイズ発症を防ぐのです。
同時にARTによってすでにエイズを発症した患者の免疫力を回復させることも可能になりました。エイズ指標疾患に指定された日和見感染症やカポジ肉腫などの腫瘍から回復することが出来るようになりました。
かつての致死的疾患だったHIV感染症は劇的に予後が改善され、今や慢性疾患に近いとさえ言われています。
◇それでも早期のHIV検査は救命的検査
しかし、エイズ患者の予後は劇的に改善されたとはいえ、エイズ発症前の治療開始とエイズ発症後の治療開始では、その後の生存率に差があるのは事実です。
エイズで多くの人が死ぬことはなくなりましたが、それでもエイズ発症は命にかかわります。ARTによって免疫力を回復できるようになったとは言えそれも限界があります。
それゆえ、エイズ発症前にHIV感染を見つけることはまさに救命的と言えます。
ところでつい最近、イギリスでHIV感染者の体内からHIVを完全駆除することに成功したというニュースが流れました。これが本当ならまさに画期的です。
ついに不治の病だったHIV感染症を完治させることが出来るようになるのです。
ただし、まだこの治療法は検証中だし、仮に広く実用化されるようになるとしても、それはまだまだ先の話でしょう。
だとすれば、今はまだHIVに感染しないよう予防すること、エイズを発症しないよう早期のHIV検査を受けること、これに徹するしかありません。
今回はネットで見つけた記事、
『エイズを発症すると命を落とすことが多い。』
この指摘が実際どうなのかを調べてみました。
私が調べた限りでは、ART導入以降はエイズを発症しても亡くなる患者さんは激減しています。
ただし、エイズ発症前に治療を開始した患者さんに比べれば生命が危険であることは事実です。やはり早期のHIV検査は救命的検査と言えます。
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