HIV・梅毒・B型肝炎の重複感染

HIV・梅毒・B型肝炎は重複感染が多く、単独で感染するより重症化することがあります。

あなたがHIV感染の不安を感じるなら、梅毒・B型肝炎にもご用心下さい。

かつて私はHIV感染の不安に悩んで、やっとの思いで保健所に行ってHIV検査を受けました。その時はまるで余裕がなく、HIV以外の性感染症のことなんてまるで頭にありませんでした。

私が行った保健所では、HIV検査以外にも梅毒、クラミジア、B型肝炎、C型肝炎の検査もやっていました。私がHIV検査の予約申し込みをしたとき、保健所の担当者から「HIV以外の検査をどうしますか?」と聞かれました。でも、当時は私に性感染症の知識がなかったのでHIV以外の検査はしませんでした。

これは今考えると、大間違いでした。私の場合、かなり危ない行為を繰り返し、そのためにHIV感染が不安でたまらなかったのです。その状況を考えれば、クラミジア、淋菌、梅毒、B型肝炎は必須の検査項目でした。あのとき、保健所のスタッフがもう少し検査の意味を教えてくれていたら、私もきっと考えたと思います。

◇HIV感染が不安なら、梅毒、B型肝炎もご用心

もともとHIV以外の性感染症も、同じ性行為感染という共通感染ルートですから、HIVが不安なら当然のごとく他の病気も危ないのは当たり前です。その中でも、特に次の4つの性感染症にはご用心下さい。

梅毒・B型肝炎・クラミジア感染症・淋菌感染症、この4つです。この4疾患は、保健所などで配布している「HIV/エイズの基礎知識」の中でも特に要注意疾患として取り上げられています。

実際に、これらの性感染症はHIVとの重複感染が非常に多い性感染症です。次の図1をご覧ください。

HIVと他の性感染症との重複感染
図1.HIVとの重複感染

このデータは、国立国際医療センター(ACC)で2002年9月17日から同年10月31日の間に、HIV感染者が他にどんな性感染症に感染しているかを調べたものです。(ただし、調査対象は男性の同性間性的接触感染者に限られる)

データが2002年と古いデータであること、調査対象者が男性の同性間性的接触者に限定されていることなどの条件付きではありますが、HIVと重複感染が最も多かったのは何とB型肝炎でした。調査対象となったHIV感染者の71%がB型肝炎ウイルスにも感染していたのです。「HIV感染者の早期発見と社会復帰のポイント」(医薬ジャーナル社)による。

また、保健所などが配布している「HIV/エイズの基礎知識」によれば、

●梅毒⇒HIVと一番重複感染が多い性感染症

●B型肝炎⇒HIVと重複感染が多い性感染症

●クラミジア⇒一番感染者が多い性感染症

●淋菌感染症⇒男女に拡大している性感染症

このように説明されています。国立国際医療センターのデータとも合致する内容です。

では、ここではHIVと特に重複感染が多い梅毒・B型肝炎について、どんなリスクがあるのか見ていきましょう。

◇HIVと重複感染すると、重症化したり進行が早くなる梅毒

梅毒だけなら2年から3年かかって感染第三期まで進行するところが、HIVにも感染しているとわずか数ヶ月で第三期まで達することがあります。第三期の症状までいくと、全身に硬いコブのような「結節性(けっせつせい)梅毒ゴム腫」ができます。放置しておけば自然と消えますが、跡が残ります。

そして、ゴム腫は繰り返し発生するため、段々と跡が増えて外見的にひどい状態になっていきます。ゴム腫が鼻骨にできると、鼻骨がくずれて「梅毒で鼻が落ちる」と言われる状態になります。

通常、梅毒に感染してもほとんどの場合第二期までに感染に気づき、治療を受けることによって第三期まで進行することはありません。それだけにHIVと梅毒の重複感染には要注意です。

◇HIVと重複感染すると症状が重くなるB型肝炎

B型肝炎を性感染症だと認識している人はとても少ないと思います。確かに、かつては輸血や注射器による血液感染、及び母子感染が主な感染ルートでした。しかし、医療環境が整った今日、B型肝炎の最大感染ルートは性行為感染です。B型肝炎ウイルスは非常に感染力の強いウイルスです。

HIVがキスで感染することはありませんが、B型肝炎は唾液にも感染するだけのウイルスが含まれていることがあり、ディープキスによって感染する可能性があります。

そしてB型肝炎とHIVを重複感染すると、死亡率が高くなったり、慢性化する確率も高くなります。「これでわかるHIV/AIDS診療の基本」(南江堂)によれば、

1.HIVとHBVを重複感染した場合の死亡率
●HIV単独の死亡率=1.7/1000

●HBV単独の死亡率=0.8/1000

●HIV+HBVの死亡率=14.2/1000

このように重複感染すると死亡率が8倍から17倍と、格段に高くなります。

また、死亡率だけでなく、B型肝炎が慢性化するリスクも高くなります。

2.B型肝炎慢性化率
●HBV単独の慢性化率=6%前後

●HIV+HBVの慢性化率=10%~18%

と、書かれています。

このように、B型肝炎感染者がHIVにも感染している場合、肝炎がより重症化し死に至る危険性も高くなります。これはB型肝炎に限らず、C型肝炎においても肝硬変への移行を早めたり肝がん発生のリスクを高めたりします。

事実、全HIV感染症死亡者のうち、肝疾患による死亡率は30%から55%に及ぶとした報告もあるそうです。

◇もともと要注意、HIV・梅毒・B型肝炎

今、重複感染にご用心との話をしていますが、そもそもHIV・梅毒・B型肝炎は重複感染していないくても要注意疾患です。この3つとも感染症法の分類では第5類感染症に分類され、医師が感染者を診察した場合は7日以内に保健所に届け出をする義務があります。(B型肝炎は急性肝炎のみで慢性肝炎、無症候キャリアを除く)

同じ第5類でもクラミジア感染症や淋菌感染症は定点報告のみで全数報告の義務はありません。HIV・梅毒・B型肝炎は感染動向の把握と、感染防止により力を入れているのだと思います。

●HIV感染症
言うまでもなく、感染に気が付かずに放置していればエイズを発症し、生命の危機に直面します。逆に早期に発見できればエイズを防げます。

●梅毒
かつては不治の病でしたが、現在ではペニシリンなどの抗生物質で完治できます。ただし、感染初期の第一期、第二期がもっとも感染力が強く、早期に気がつかないとパートナーにうつしてしまいます。

また、感染発見が第一期なら治療は約1ヶ月、第二期なら2ヶ月と、早期発見によって治療期間が短くて済みます。

●B型肝炎
性行為によって感染したB型肝炎は急性肝炎を発症して治癒するか、何も症状が出ない不顕性感染を維持します。しかし、まれに慢性化して、放置していると肝硬変から肝がんに至ることがあります。あるいは1%~2%は劇症肝炎に移行することがあり、この場合肝臓移植が出来なければ致死率50%との報告もあります。

B型肝炎は感染しても自覚症状が出ないことも多く、知らない間に症状が進行することもあります。あなたに性行為感染の可能性があれば、自覚症状がなくても検査をお勧めいたします。

なお、一般的な健康診断による血液検査では肝機能チェックしかしません。ウイルスの感染有無は分からないのです。肝機能に異常がなくてもウイルスが感染している可能性があります。

以上の説明からお分かり頂けるように、もしもあなたにこれらの感染不安があるなら、思い当たる行為があるなら、早期に検査を受けることをお勧め致します。出来ればHIV・梅毒・B型肝炎の同時検査が望ましいと思います。多くの保健所では、無料で検査を行っています。あなたの最寄の保健所でご確認下さい。

◇どうしても保健所や病院に行けないあなたは

あなたが保健所や病院に行けない事情があるなら、あなたの自宅で検査をすることも可能です。ただし、あくまでもスクリーニング検査であって、すでに何かの自覚症状が出ているような場合は速やかに専門医で検査を受けて下さい。

◇HIV・梅毒・B型肝炎が一度にまとめて検査できる検査キットです

検査キットタイプ名 STDチェッカー TypeO(男女共通)
検査対象の性感染症 HIV/梅毒/B型肝炎
価格 ¥7.750+消費税
あなたへのオススメポイント あなたの都合でいつでも検査が可能です。しかも誰にも知られずに検査できます。

●HIV検査
HIV抗体検査です。感染の可能性があった日から3ヶ月以上経過して使用して下さい。検査結果が陽性の場合は、医療機関にて確認検査が必要となります。検査結果が陰性であればこの検査で確定します。

●梅毒検査
TPHA法による検査です。感染の可能性があった日から1ヶ月以上経過して使用して下さい。陽性の場合、現在感染しているのか、過去に感染してすでに治癒しているのか、区別が出来ません。従って過去に梅毒感染の経験があるあなたは医療機関にて検査を受けて下さい。

●B型肝炎検査
HBs抗原を見つけるウイルス学的検査です。感染の可能性があった日から2ヶ月以上経過して使用して下さい。一般的なスクリーニング検査で保健所などでも行っているものと同じです。陽性判定の場合、自覚症状がなくてもウイルスに感染しています。


◇もっと他の性感染症も不安だと思うあなたにはこちらがお勧めです。

検査キットタイプ名 STDチェッカー Type R(男性用)
検査対象の性感染症 HIV/梅毒/クラミジア/淋菌/
B型肝炎
クラミジア(喉)/淋菌(喉)
価格 ¥14,750+消費税
あなたへのオススメポイント 一度にまとめて7種類の検査が出来ます。私もこのTypeRのお世話になりました。取りあえず一安心。

検査キットタイプ名 STDチェッカー TypeT(女性用)
検査対象の性感染症 HIV/梅毒/クラミジア/淋菌/
B型肝炎/C型肝炎/カンジダ
トリコモナス/細菌性膣炎/
ヒトパピローマウイルス/
クラミジア(喉)/淋菌(喉)
価格 ¥20,000+消費税
あなたへのオススメポイント あなたと、あなたの大切な人のために。まとめて12種類の検査が出来ます。感染ルートはみな同じです。


●TypeRとTypeTの検査仕様詳細は公式サイトでご確認下さい。

以上、HIV・梅毒・B型肝炎の検査について、重複感染リスクと合わせて説明しました。私もそうだったのですが、感染に心当たりのあるあなたは、一通り危ない病気は検査を受けて感染リスクをリセットし、その後セーファーセックスに注意する、これが大事だと思います。